アンバランサー・ユウと世界の均衡 第二部「星の船」編

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アンバランサー・ユウと世界の均衡「星の船」編

<おまけ> 大聖堂七不思議 (「王都観光ガイドブック」より)

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 王都を代表する大聖堂には、その長い歴史と伝統にふさわしく、いくつもの不思議が伝えられています。
 大聖堂七不思議とよばれる、その不思議をみなさまにご紹介しましょう。

<その一>  徘徊する少女の霊

  大聖堂のあちこちで、さまよう少女が目撃されています。少女は、なぜか、神官服を身にまとっているそうです。ひょっとしたら、神官になりたくてなれなかった、かわいそうな女の子の霊なのかもしれませんね。少女の霊は、大司教さまの前にも現れたことがあるそうです。大司教さまは、そのときすこしもあわてず、「また、おたわむれを……」少女の霊を諭されたとのことです。さすがは大司教さまですね。

<その二>  ポーズをかえる女神像

  大聖堂に安置されている女神ミネーヴァさまの立像。慈悲深いミネーヴァさまの姿をかたどったこの立像が、深夜、ポーズをかえることがあるそうです。本来は、両手を広げ、すべての人々をあまねく受け入れるミネーヴァさまの姿ですが、なにごとか思案するように腕を組んでいる姿に変わっているのを、夜警のものが目撃したそうです。あわてて人を呼んでくると、像は、もう元に戻っているといいます。親指を立てて、得意気なポーズをとっている姿をみた、という話もありますが、これは、だれかが作った性質たちの良くない冗談でしょう。神聖なミネーヴァ様にたいする冒涜です。

<その三> どこからともなく聞こえてくる笑い声

  大聖堂のどこかから、ひと気もないのに、女性のささやく声や笑い声が聞こえてくることがあるそうです。その声は、まるでだれかと会話をしているようだったといいます。深夜、祈りをささげるために回廊を歩いていた神官が、「ご冗談を、ヴリトラさま」という言葉につづく楽し気な笑い声をきいたそうです。神官は、恐ろしくなって、あわててその場をはなれたけれど、笑い声はいつまでも続いていたということです。

<その四> 鎖で封鎖された扉を通り抜ける霊体

  大聖堂には、ふだんは施錠した上で鎖で厳重に封鎖され、開かないようになっている扉がいくつかあります。その扉を、まるで鍵もかかっていないかのように開けて、中に入っていく人影が、ときおり目撃されているようです。影が中に入っていった後、近づいてみると、扉は元通りに鍵がかかり、鎖も封鎖されたままで、そもそも開けることができるような状態ではないそうです。おそらく、かつてこの大聖堂で修行をしていた人たちの霊ではないでしょうか。

<その五> 尖塔の物見窓に現れる謎の人影

  立派な大聖堂の二つの尖塔は、王都のどこからでも見える、大聖堂のシンボルです。現在、尖塔には、人は立ち入れないようになっています。しかし、まったく人が入れないはずの、尖塔の最上部にある物見窓に、人影がみえることがあるようです。人影は、一人だけではなく、楽しそうに話し合ったり、景色を眺めていたりするようです。大司教さまは、なんと、尖塔の下をとおりがかった時に、その人影から呼びかけられたこともおありだそうです。

<その六> だれもたどりつけない秘密の庭

  大聖堂のどこかに、白い花の咲く、秘密の庭があるそうです。その庭は、いくらさがしても見つけられず、訪ね歩いてもたどりつくことはできないが、たまたま、何かの拍子にその庭にたどりつくことができた者は、女神ミネーヴァさまの歓待をうけることができるのだそうです。もし、そんな庭が、大聖堂の中に本当にあったら、とってもすてきですね。大聖堂を観光するあなたも、その庭に偶然たどりつけるかも知れませんよ。

<その七> 満月の夜、月をみあげるミネーヴァさま

  いつも慈愛にあふれ、優しい笑顔でわたしたちを見守ってくれるミネーヴァさまですが、ゆいいつ、満月の夜に月を見上げるとき、そのお顔に憂いが浮かぶのだそうです。なにがあったのでしょうか。わたしたちには、ミネーヴァさまの御心ははかりしれません。もっとも、これは、目撃者がいるわけではなく、言い伝えですので、本当の事かどうか誰も知りません。

 いかがでしょうか。大聖堂七不思議。あなたも、大聖堂で体験するかも知れませんよ。
 もし、そんなことがあったら、弊社観光ガイドブック編集部までご一報下さい。
 採用された体験談には、規定の掲載料をお支払いします。
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