33 / 117
新しい扉
34壁の下半身
しおりを挟むユニコーン達が俺をこの壁に挟むようにしたのだろうか……ああ……しかしあのユニコーンの大群に対して死ななかったのは本当に幸運だったのかも知れない。
しかし遭遇したほとんどの冒険者達は殺されるので幻の幻獣種とも呼ばれている恐ろしい生物。
それがこのダンジョンには信じられない程の大群がいたんだ。
流石に上級冒険者でも生きては帰れなかっただろう……1人だけ戻って来たのも瀕死の冒険者だったのも頷ける。
そのユニコーンに遭遇して奇跡的に助かったのは良いが、これは果たして助かったと言えるのだろうか……だって俺は今良く分からない壁の下半身にされてしまっている。
そしていつ死んでもおかしくない状況なのは変わらない。
あれからどのくらい時間がたったのか……
そういえばランズは無事なんだろうか……
俺が最後に見たのはランズの転移が発動したのと、ユニコーンの大群がランズの魔法陣を襲っていたのは同時くらいでランズの生死は分からないけど……
俺はおもむろに手のひらを見てみた。
ランズと契約した契約紋様は未だ消えてはいない。
契約紋様は作戦が成功した時や失敗した時に契約者同士が認め合えば消える仕組みになるが、契約相手が死んだ時にも消える。
今まだ消えていないという事はとりあえずランズは生きているという事だから、きっとユニコーンの大群を逃れられて元気だと思いたい。
だがランズの転移が上手くいったとして、俺はどうなる?
ランズがダンジョンの外に転移できて上手く逃げられたとしても今回の俺とのダンジョンアタックは完全に失敗だ。
だから逃げ切れたランズが契約仲裁所にいって違約金を支払えばこの契約は無効になるんだ。
お金に余裕がありそうなランズなら高い違約金でも払えるだろうし、今回はアタックしたけど最初から成功率の低い童貞ダンジョンだし、不可抗力の失敗という事で違約金も大幅に減額されるだろう。
そうなると、俺は自力でここを脱出して仲裁所の手数料を差し引いたランズからの違約金を貰うだけだけど……この壁に挟まった俺はダンジョンから抜け出せそうにない。
「はははっ俺はここまでか……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
126
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる