【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと

文字の大きさ
94 / 124
本編8

94この世界が消えてく

しおりを挟む

「アンドル!!アンディの事はエドから聞いたわ!!私ずっとエドを孫のアンディだと思って一緒に暮らしていたなんて馬鹿みたいでしょ。でもね、よく考えたらアンディの魂はちゃんと恋人と一緒にいる事ができて幸せだったんだと思ったの。それに呪いの影響がある私やアンディの姿が生まれない様にずっと侯爵家を守ってくれていたに違いないわ。私今度こそ孫のアンディに会って沢山お話する予定だからっ!!」

  
  そうか……アンは本当のアンディの魂がこの世界に来ていなかったって知ったんだね。

 アンは身体が消えながらも笑って一生懸命僕に伝えてくれていた。明るいアンの性格で僕がどれだけ救われたか……もっとお話をしたかったのに。

「アン……僕はアンに会えて本当に良かった。アンディに会えたら宜しく伝えてね」


「ええ勿論よっ!!ああ……王族達より私の方が先に魂が解放されたのね。王族の皆様、それではお先に失礼致します。それとアンドル、私は王族の人達が嫌いだったけど、エディの事は大好きだわ!!だからエディと末長く幸せになってね!!」


「あっそんな!!ア、アン、まだ行かないで!!」


 アンともっと沢山話したい事もあったのに何も話せないまま消えてしまって……本当に急なお別れしてしまった。
 時間がないと言って本当にすぐ居なくなってしまうなんて……。
 それに王族の人達が嫌いだったと消える直前に王族の人達の前で爆弾発言するなんて、ここにいる元王族達が苦笑いしているじゃないかっ!!

   
    最後は王族は嫌いだけどエディの事は大好きってどういう事?ああ……アンに質問したいのに消えてしまったからモヤモヤしてしまう。


 それでもアンとの突然のお別れが辛い……僕がこの世界で迷子になってから初めて優しく声をかけてくれたご先祖様のアン。


 僕が今自分にも失望して心が弱くなっている時に、エディだって瀕死な状態でうずくまっているのに……アンまで突然のお別れをする事になるなんて……辛いよ。

「うう……アン……うっ……うっ」


「アンドルさん、エドワードは無事だから安心して欲しい」

「うえっエドワード王子!!エドワード王子がここにっ!!ど、どこにいるのですか!!」

 その時突然若い王族から声をかけられたが、いきなりエドワード王子が今無事だと言うのでこの部屋にいるのかとキョロキョロ探してしまった。

 この部屋にいる沢山の男の人達は元はついても王族なんだから、この中にエドワード王子がいたとして何ら不思議では無いのかもしれない。
 しかしエドワード王子らしき人物はやっぱり何処にも見当たらなかった。


「そうか……そうだったな。アンドルさん、私はエドマイヤと申します。私とした事が名前を間違えて呼んでしまいました。
 アンドルさんの膝にいるエディは無事です。
 ちょっと頑張り過ぎたようで鼻の粘膜の弱い部分や、眼球周辺の毛細血管、それに身体全体の毛細血管などに負担がかかり、そこから一時的に血が滲んでしまったんです。
 安静にしていれば少しずつですが治りますので、手厚い看護をお願いします」


「あっ……エディの状態を詳しく診て下さったんですね!!有難う御座います!!良かった!!またエディが元気になれる事が分かっただけでも安心しましたっ!!」

 しっかりとエディの状態を丁寧に説明してくれた青年は僕か……もしくは僕よりも若い王族の青年だった。
 お名前は「エドマイヤ」と名乗って下さった。王族だろうが僕の中ではその名前には記憶はない。
 王族名鑑に載っているだろうか……しかし成人王族しか掲載されていないから探してもエドマイヤという名前は載っていないかも……それでも一応自分の世界に戻った時には調べてみよう。


「アンドルさんはエドワードの婚約者ですね。エドワードは貴方との将来の為に一生懸命頑張っています。中々会えない日々が続いていると思いますが、どうか見捨てずにいて貰えませんか……ずっと王族の使命を全うしているのです」


 エドマイヤさんがエドワード王子の事を伝えてくれている。今、エドワード王子と僕が会えていないのを知っているのか……?
 確かにどこかで繋がっているのかも……王族同士ならそんな事もあるかもしれない。

 それでエドワード王子は留学中に王族の使命を全うしていたなんて知らなかった。だからエドワード王子の情報が流れない様にしていたのか!!


 だけど……「見捨てずにいて貰えませんか」って……見捨てるとかの問題ではない。だって僕は……僕の方こそ……


「エドマイヤ様……僕は違うんです。……僕の方こそエドワード王子に見捨てられるべきなんです。」



  自分で自分の事をこんな風に伝えるのは辛いな。でも自分に向き合い、正直に答えなければ僕も次には進めない。


「…………アンドルさん……それは違います。ちゃんとエドワード王子としっかりと話し合って下さい。自分1人で勝手に決めつけてはいけません。必ず2人で解決すべきなのです!!そうでしょっ!!」


「えっ……」


「必ずエドワードと話し合うんですよ!!きっと納得いく答えが見つかる筈です!!」


「はっ……はい」


 エドマイヤ様の勢いと圧が強くて、押し切られる様に返事をしてしまった。しかしエドマイヤ様や他の裸の王族の人達は少しずつアンと同じ様に姿が消えかかっていく。

「必ずだよっ!!私はエドワードに感謝している。他の王族もだ。だからエドワードが幸せになるには君の力が必要なんだよ!!分かったね!!必ずだよ!!」


「え……はっ……わかりました」

 エドマイヤ様の姿はどんどん消えかかっているのに、本人の顔は嬉しくてたまらなそうな表情でずっと笑っていた。笑ったまま最後の時を待っているかのようだ。しかし最後に何かを思い出したかの様に僕に言った。

「アンドルさん、国王に伝えておいてくれっ!!「エドワードがやってくれた」となっ。それだけでいいからっ!!じゃあ……またいつかどこかの世界でまた会えるさっ!!エドワードと仲良くなっ!!」

「あっ……エドマイヤ様!!」

 エドマイヤ様は終始嬉しそうに消えていった。他の王族達も皆笑顔で手を振りながら消えていってしまった。呪いからようやく解き放たれたんだ。消えてしまったけれど、これは良かった事なんだよな……。

 辺りはもう薄暗くなってしまい、僕がいるベットと……魔石がある場所だけがほんの少しまだ明るい。魔石はこのままどうなってしまうのか……だけど僕は危険な魔石に近づいてはいけない。


「うわっ!!」


 気づかなかった!!
 まだ姿が消えていない男の人がいた!!砂の上に落ちている魔石の前で静かに佇んでいるこの男の人も王族なんだろうか……。

   しかし消えた王族の方達とは違い、1人だけヨレヨレの服を着ているし、腰は曲がってしまっていてかなり………何というか王族特有の威厳や威圧感が全くない人だった。その男の人はゆっくりと僕の方に振り向いたので目が合ってしまう。


「アンドルさん……私はエドの兄です。この度は私が元になった王家の問題に……永い永い刻を侯爵家にも被害を与えてしまい、申し訳ありませんでした」


「!!…………」



ーーーーーーーー
明日も投稿予定です。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...