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学園内にあっても難航不落のカップルがいる。それがこの国の第2王子と公爵の娘である。
彼らは生まれた時から双方の家が取り決めた政略的な許嫁であったにも関わらず、2人とも相手を思いやり仲むつましいカップルというもっぱらの評判だった。
魔女設定の俺が変装した男爵の娘はまず自分の魅力を最大限に発揮したピンクのツインテールを跳ねさせ、偶然を装って王子とぶつかろうとしてみた。
しかし王子の護衛が身代わりでぶつかってくる。
そして王子に近づき魅了を発揮させていても魅了防御ブレスネットを常に身につけているので思うようには事が運ばない。
やはり王子だけあってガードは固いようだ。
この王子は一筋縄ではいかないな……と思った。だから少し王子の様子を観察する事にした。何処かで何か隙ができる突破口が見つかる筈だ。
王子はとても優秀な上、熱心に勉強している。将来はこの国の王となる兄を支える為に一生懸命学ぶんだと普段から言っているらしい。
時間があれば図書館にも足繁く通って読書をしている。特に政治の分野の本と魔術の本がお好きなようだ。
本を読みながら歩いているので周りの護衛達は王子が転ばないようにヒヤヒヤしてみている事に笑う。注意しろよw。
剣術の練習も欠かさない。
王子の身体はまだ未発達だろうが、騎士団の騎士相手にも立ち向かって相手を負かせる事もある。
そして手合わせをした相手にも敬意を払って「ありがとうございました」とお礼を言って相手を恐縮させていた。
何だよ……めちゃくちゃ良い王子様じゃないか……
其れこそ理想の男性像と言ってもいい位誠実な男性だと思うのに、こんな王子を嵌めようとするなんで公爵く娘はとんだクズ……いやいや、ちゃんと報酬を頂くまでは依頼者を悪く思うのはやめよう。
「ねえ、まだなの?全然王子は嵌められていない様だし、婚約破棄の連絡も全く届いていないわよ」
「申し訳ありません。あの王子は誠実ですし、全く隙がないのです」
「誠実なのは知ってるわ。だって王子は私の事が大好きなんですもの。私との将来の為に一生懸命学んでいるんでしょ!!」
「それならば……何故?王子が可哀想だとは思わないのすか?」
「はあ?貴方の質問に答える義務はないけれど……私も王子に寄り添って生きていこうと思っていたわ……でもワイルドで強引にリードしてくれる隣国の王子を見つけてしまったから……王子は誠実過ぎてつまらないのよ」
「そんな事で……」
「そんな事じゃないのよ!!私にとってはね!!私だって公爵の娘なんだから公爵家の悪い噂は立てたくないのよ。王子には悪いと少し思っているけど……とにかく王子をどんな酷くしてもいいから早く誑かして!!」
「……わかりました」
はあ……あんな良い王子を誑かすなんて気が引けるけど、あの公爵の娘と結婚しない方が王子にとっては幸せになりそうだと思う事にしよう。王子の幸せを願って。
俺は色々と考えを巡らせてみる……王子はあんな公爵の娘の事が好きなんだよなぁ。
それならば、別に男爵の娘で無くても王子の好きな公爵の娘に変装してもいいのではないか。
公爵の娘は定期的に王宮に行き、王子と交流を持ったり未来の王子妃としての教育を受けているので、そのタイミングで王子に会いに行くのだ。
よし、そう決めたら決行だ。
彼らは生まれた時から双方の家が取り決めた政略的な許嫁であったにも関わらず、2人とも相手を思いやり仲むつましいカップルというもっぱらの評判だった。
魔女設定の俺が変装した男爵の娘はまず自分の魅力を最大限に発揮したピンクのツインテールを跳ねさせ、偶然を装って王子とぶつかろうとしてみた。
しかし王子の護衛が身代わりでぶつかってくる。
そして王子に近づき魅了を発揮させていても魅了防御ブレスネットを常に身につけているので思うようには事が運ばない。
やはり王子だけあってガードは固いようだ。
この王子は一筋縄ではいかないな……と思った。だから少し王子の様子を観察する事にした。何処かで何か隙ができる突破口が見つかる筈だ。
王子はとても優秀な上、熱心に勉強している。将来はこの国の王となる兄を支える為に一生懸命学ぶんだと普段から言っているらしい。
時間があれば図書館にも足繁く通って読書をしている。特に政治の分野の本と魔術の本がお好きなようだ。
本を読みながら歩いているので周りの護衛達は王子が転ばないようにヒヤヒヤしてみている事に笑う。注意しろよw。
剣術の練習も欠かさない。
王子の身体はまだ未発達だろうが、騎士団の騎士相手にも立ち向かって相手を負かせる事もある。
そして手合わせをした相手にも敬意を払って「ありがとうございました」とお礼を言って相手を恐縮させていた。
何だよ……めちゃくちゃ良い王子様じゃないか……
其れこそ理想の男性像と言ってもいい位誠実な男性だと思うのに、こんな王子を嵌めようとするなんで公爵く娘はとんだクズ……いやいや、ちゃんと報酬を頂くまでは依頼者を悪く思うのはやめよう。
「ねえ、まだなの?全然王子は嵌められていない様だし、婚約破棄の連絡も全く届いていないわよ」
「申し訳ありません。あの王子は誠実ですし、全く隙がないのです」
「誠実なのは知ってるわ。だって王子は私の事が大好きなんですもの。私との将来の為に一生懸命学んでいるんでしょ!!」
「それならば……何故?王子が可哀想だとは思わないのすか?」
「はあ?貴方の質問に答える義務はないけれど……私も王子に寄り添って生きていこうと思っていたわ……でもワイルドで強引にリードしてくれる隣国の王子を見つけてしまったから……王子は誠実過ぎてつまらないのよ」
「そんな事で……」
「そんな事じゃないのよ!!私にとってはね!!私だって公爵の娘なんだから公爵家の悪い噂は立てたくないのよ。王子には悪いと少し思っているけど……とにかく王子をどんな酷くしてもいいから早く誑かして!!」
「……わかりました」
はあ……あんな良い王子を誑かすなんて気が引けるけど、あの公爵の娘と結婚しない方が王子にとっては幸せになりそうだと思う事にしよう。王子の幸せを願って。
俺は色々と考えを巡らせてみる……王子はあんな公爵の娘の事が好きなんだよなぁ。
それならば、別に男爵の娘で無くても王子の好きな公爵の娘に変装してもいいのではないか。
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よし、そう決めたら決行だ。
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