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奴隷で人気のない男娼
4また売られる
男性は教育係に俺の事で交渉していた。
「……本当にこいつで良いんですね?こいつは別にどうなろうが知った事じゃないけど、後から話が違ったと文句は言わないで下さいよ」
「……ああ」
教育係は溜息を一つ付いて俺を立たせた。急に立ったのでフラフラしてしまったのを背中をバンッと叩かれて「もっとしっかり立て」と怒られる。
「おいおい!!もう私の物なんだから手荒なマネはすんじゃない!!」
「ははっすいません。つい癖でね」
笑いながら教育係は謝っていて新品の薄いローブの様な服を俺に着せた。
そっか……俺は売られるんだ。
教育係から体罰は与えられなかったが、お客様と教育係の話の流れから俺はこの初老の男性が新しいご主人様になるようだ。
店から出たら果たして俺は生きていけるのだろうか……
俺の出来る事は昔、お手伝いでやっていた子守りと閨の仕事位しかやった事はない。後はファン爺ちゃんの家で野菜を少し育てていた位だ。
新しいご主人様は俺の奉仕した相手の中では記憶がないし、見た事もなかった。
もしかしてこの男性は別の娼館の経営者で俺を自分の店で売り出すのだろうか……。
人気のない俺でもお客様がつけば良いのだが、つかなければ店から放り出されて野垂れ死になるしかなくなるんだからしっかりしなくては。
初老の男性は俺の身請けをする為の手続きを教育係に急がしていて、教育係は忙しく手続きを処理していた。お金も上乗せして支払った上客だったようで教育係は俺が期待以上の値段で売れた事に嬉しそうな顔を隠せないでいた。
「さあ、君……店を出て行こうか」
「はい……」
男性は俺の腰に手を当てて、俺の歩幅に合わせてゆっくり店を出て馬車に乗せてくれた。
教育係は「またごひいきにして下さいね」っと作り笑顔で初老の男性と俺を見送りまでしてくれて、もしかしたらこの教育係に出会ってから俺の方を向いて笑顔を見せてくれたのは初めてかもしれないと、ぼんやり考えてしまった。
もう2年位にはなるのかな……店の中が俺の世界の全てで、久しぶりに店を出て嬉しい事もあるはずなのに不安しかなかった。
別に俺が自由を手に入れた訳じゃない。ご主人様が変わっただけで俺の出来る事ができなくなれば放り出されて捨てられるだけだ。
馬車の中でも男性は俺の腰を支えたままだった。
この男性はいつから俺の事を気に入ってくれたのだろうか……俺にはこの男性に全く見覚えは無い。こんな金持ちそうで地位もありそうな人なら覚えている筈なのに……。
こんなに長い時間馬車に乗るのは、初めてで何処まで行くのか分からないままずっと揺られていると、とても眠くなってきた。
ご主人様が隣にいるというのに……寝たらきっと怒られる。
そう思っていたら男性の方がこっちを向いて微笑みながら「寝てていいよ」と言ってくれた。
本当に良いんだろうか……でも眠くて頭がゆらゆらしているのが自分でもわかる。
俺に優しく笑ってくれた人を久しぶりに見たような気がして不思議と幸せな気持ちになった。
そんな幸せな気持ちのままこのまま目を閉じて死ねたらいいのにと思いながら瞼が重くなって眠ってしまった。
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