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18 レオの救出
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『ほら、見てごらん。ウンディーネ達がまた若い男を水の中に引きずり込もうとしているよ。あのままじゃ、レテ川に連れて行かれて何もかも忘れてしまう。彼女達に恨みはないが、こうして目撃してしまった以上は彼を助けないとね』
…誰かが言った言葉が僕の頭の中で蘇る。
これを言ったのは誰だったろうか…。
思い出さなくちゃいけないのに、頭の中にモヤがかかったようにぼんやりとしている。
「さあ、レオ。いらっしゃい」
そのウンディーネの言葉に僕はハッと我に返る。
そうだ!
レオをウンディーネに連れて行かせるわけにはいかない!
「やめろ! レオ! しっかりするんだ!」
僕はレオの顔の前に回り込んだが、レオは視点の定まらない目をしていて、僕の事など見えていないようだった。
「ウンディーネ達、やめろ! レオを連れて行くんじゃない!」
「あら? そんな小さな身体で私達を止める事が出来るのかしら?」
「あなたには用はないわ。さっさと何処かへ行っておしまいなさい」
ウンディーネにパシッと払われて僕の身体は岸辺へと叩きつけられる。
「くそっ! こんな小さな身体じゃなかったら…」
こうしている間にもレオの足が水の中へと入ろうとしている。
ウンディーネ達も手を伸ばして今にもレオの身体を水の中へと引きずり込もうとしている。
このままレテ川に連れて行かれたら、レオは僕の事を忘れてしまう。
「そんなのは嫌だ!」
そう叫んだ瞬間、僕の身体の中がカッと熱くなり、気が付けば普通の人間の大きさになっていた。
(え? これが僕?)
突然の自分の変化に驚いたが、今はそれに構っている場合ではない。
僕は急いでレオの身体を後ろから抱きとめて、川から引きずり出した。
「キャアッ!」
「ま、まさか! フィルバート様!?」
「は、早く逃げなきゃ!」
ウンディーネ達は大きくなった僕の姿を見ると、バシャバシャと飛沫をあげて水の中へと消えていった。
僕は未だにぼうっとしているレオの肩を掴んで揺さぶった。
「レオ! レオ! しっかりして!」
何度か揺さぶるうちに、レオはようやく我に返った。
「あ、あれ? 僕は何をしてたんだ?」
目を瞬かせたレオは僕の顔を見て首を傾げた。
「えっと、君は誰?」
まさかウンディーネに連れて行かれかけただけで、僕の事を忘れちゃったのか?
「何を言ってるんだ? 僕だよ! フィルだよ!」
「え? フィル? だってフィルはこんな小さな妖精で、君みたいな大きさじゃないよ」
レオにそう言われて僕は自分が、元の大きさに戻っていた事を思い出した。
「僕がそのフィルだよ。さっき、君がウンディーネに連れて行かれそうになっていたのを止めようとしたら、何故か元の大きさに戻れたんだ」
そう説明すると、レオは目を丸くして驚いていた。
「僕がウンディーネに連れて行かれそうになっていた?」
…そっちかよ!
「そうだよ! 覚えていないのか?」
「うーん。『いらっしゃいな』と言われたのは覚えているけど、その後はなんか頭がぼうっとしちゃって、よく覚えていないんだ」
「ウンディーネに誘われて鼻の下を伸ばしてたんじゃないのか?」
「え、そんなつもりは…」
そう言いながら何故かレオは顔を赤くしている。
…やれやれ。
色仕掛けには弱いみたいだな。
「とにかく、ウンディーネに連れて行かれなくてよかったよ。あのままだったらレテ川に連れて行かれて何もかも忘れるところだったんだからね」
「え?『レテ川』ってあの忘却の川? まじかよ」
「なんだ。レテ川が忘却の川だって知ってたのか」
「…ああ。前に何かの本で読んだ事があるんだ」
「そうか。…やれやれ。寄り道なんてするもんじゃなかったな。まあ、こうして元の身体に戻れたから…」
そこまで言った時、シュルシュルっと僕の身体が縮んで、先ほどまでの小さな妖精の姿に戻った。
「ええーっ! せっかく元の身体に戻れたと思ったのに!」
まさか、こんな糠喜びをさせられるとは思ってもいなかった。
レオも複雑そうな表情で僕を見ている。
「あー、もう! やっぱり寄り道なんてするんじゃなかった!」
思い切り叫ぶと僕達はまた元来た道へと戻っていった。
…誰かが言った言葉が僕の頭の中で蘇る。
これを言ったのは誰だったろうか…。
思い出さなくちゃいけないのに、頭の中にモヤがかかったようにぼんやりとしている。
「さあ、レオ。いらっしゃい」
そのウンディーネの言葉に僕はハッと我に返る。
そうだ!
レオをウンディーネに連れて行かせるわけにはいかない!
「やめろ! レオ! しっかりするんだ!」
僕はレオの顔の前に回り込んだが、レオは視点の定まらない目をしていて、僕の事など見えていないようだった。
「ウンディーネ達、やめろ! レオを連れて行くんじゃない!」
「あら? そんな小さな身体で私達を止める事が出来るのかしら?」
「あなたには用はないわ。さっさと何処かへ行っておしまいなさい」
ウンディーネにパシッと払われて僕の身体は岸辺へと叩きつけられる。
「くそっ! こんな小さな身体じゃなかったら…」
こうしている間にもレオの足が水の中へと入ろうとしている。
ウンディーネ達も手を伸ばして今にもレオの身体を水の中へと引きずり込もうとしている。
このままレテ川に連れて行かれたら、レオは僕の事を忘れてしまう。
「そんなのは嫌だ!」
そう叫んだ瞬間、僕の身体の中がカッと熱くなり、気が付けば普通の人間の大きさになっていた。
(え? これが僕?)
突然の自分の変化に驚いたが、今はそれに構っている場合ではない。
僕は急いでレオの身体を後ろから抱きとめて、川から引きずり出した。
「キャアッ!」
「ま、まさか! フィルバート様!?」
「は、早く逃げなきゃ!」
ウンディーネ達は大きくなった僕の姿を見ると、バシャバシャと飛沫をあげて水の中へと消えていった。
僕は未だにぼうっとしているレオの肩を掴んで揺さぶった。
「レオ! レオ! しっかりして!」
何度か揺さぶるうちに、レオはようやく我に返った。
「あ、あれ? 僕は何をしてたんだ?」
目を瞬かせたレオは僕の顔を見て首を傾げた。
「えっと、君は誰?」
まさかウンディーネに連れて行かれかけただけで、僕の事を忘れちゃったのか?
「何を言ってるんだ? 僕だよ! フィルだよ!」
「え? フィル? だってフィルはこんな小さな妖精で、君みたいな大きさじゃないよ」
レオにそう言われて僕は自分が、元の大きさに戻っていた事を思い出した。
「僕がそのフィルだよ。さっき、君がウンディーネに連れて行かれそうになっていたのを止めようとしたら、何故か元の大きさに戻れたんだ」
そう説明すると、レオは目を丸くして驚いていた。
「僕がウンディーネに連れて行かれそうになっていた?」
…そっちかよ!
「そうだよ! 覚えていないのか?」
「うーん。『いらっしゃいな』と言われたのは覚えているけど、その後はなんか頭がぼうっとしちゃって、よく覚えていないんだ」
「ウンディーネに誘われて鼻の下を伸ばしてたんじゃないのか?」
「え、そんなつもりは…」
そう言いながら何故かレオは顔を赤くしている。
…やれやれ。
色仕掛けには弱いみたいだな。
「とにかく、ウンディーネに連れて行かれなくてよかったよ。あのままだったらレテ川に連れて行かれて何もかも忘れるところだったんだからね」
「え?『レテ川』ってあの忘却の川? まじかよ」
「なんだ。レテ川が忘却の川だって知ってたのか」
「…ああ。前に何かの本で読んだ事があるんだ」
「そうか。…やれやれ。寄り道なんてするもんじゃなかったな。まあ、こうして元の身体に戻れたから…」
そこまで言った時、シュルシュルっと僕の身体が縮んで、先ほどまでの小さな妖精の姿に戻った。
「ええーっ! せっかく元の身体に戻れたと思ったのに!」
まさか、こんな糠喜びをさせられるとは思ってもいなかった。
レオも複雑そうな表情で僕を見ている。
「あー、もう! やっぱり寄り道なんてするんじゃなかった!」
思い切り叫ぶと僕達はまた元来た道へと戻っていった。
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