捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅

文字の大きさ
13 / 57

13 公爵家

しおりを挟む
 執事は側にいたメイドに貸馬車への対応を任せると僕に向かって手を差し出してきた。

 どう対応していいかわからない僕にシヴァが降りる様に鼻で僕の体を押し出す。

 僕がおずおずと執事さんの手を取ると、馬車を降りる様にエスコートされる。

 うへぇ。

 女の子でもないのにエスコートってアリなの? と思ったがこの場合は僕が子供だから降りるのを手助けしてくれただけだろう。そこまで小さい子供じゃないと思うんだけどね。

 僕とシヴァが馬車を降りると「こちらへどうぞ」と玄関へと案内された。

 玄関の扉が開くとそこにはズラリと使用人が並んで僕達を出迎えてくれた。

 これってよくドラマや漫画で見るシーンだな。まさか自分が体験するとは思ってもみなかったな。

 シヴァってば何処まで術をかけたんだ?

 お辞儀をして並ぶ使用人達の間を通って屋敷の中に足を踏み入れるとそこはまるでお城の様に豪華絢爛な造りだった。

 足元の絨毯もフカフカで、こんな汚い靴で歩くのが申し訳なくなってくる。

 執事の後に付いて歩いていくと、ある扉の前で立ち止まった。

 執事が扉をノックすると、「入れ」と返事が返ってきた。もしかしてこの声の持ち主が僕の父親だろうか。

 心臓が痛いくらいにドキドキする中、扉が開かれ奥の執務机に向かっている人物が目に入ってきた。

「何だ、バトラー? 何の…」

 その人が言い終わる前に僕の懐からアーサーが飛び出して、その人の元へと飛んでいった。

「アルフレッド! 会いたかったよ!」

「アーサー?! お前、今迄何をやってたんだ! 何故こんなに戻るのが遅くなった!」

 僕とシヴァが部屋の中に入ると執事は扉を閉めて出ていってしまった。

「仕方がないだろう。ジェレミーがようやく数日前に魔法が覚醒したんだからな。私だってここまで遅くなるとは思ってもいなかったよ」

 アーサーの反論にその人はようやく僕がいる事に気が付いたようだ。

 突き刺すような冷たいブルーの瞳で僕を見据える。

「…あの子が、そうなのか?」 

 その視線にいたたまれなくなり、後ろに下がろうとするとシヴァが鼻で僕の体を前に押しやった。

「お前の息子、ジェレミーだよ」

 アーサーに告げられ、その人は立ち上がると僕に向かって歩いてきた。

 その人が近付くにつれ、非常に背の高い人物だとわかった。

 目の前に来て上から見おろされて、ますます僕は萎縮してしまう。

 アーサーがスーッと近付いて来ると、その人に向かってバシッと叩いた。

「目線を合わせてやれよ、アルフレッド。まったく気が利かないな。そんなんだからジュリアに逃げられるんだよ」

 アーサーの暴挙にムッとした顔をしながらもその人は腰を下ろして僕に目線を合わせてくれた。

 こうして間近で見ると、物凄いハンサムだとわかる。きっと今でもモテるんじゃないのかな。

「…ジェレミーか? ようやく帰って来たな」

 真っ直ぐに僕を見つめる目が潤んでいるように見える。その目を見ていて僕はほんの少し理解した。

 きっとこの人は感情を表すのが下手なんだろう。だから僕の母親はストレートに思いを寄せてくれたランスロットに惹かれたのだろうと。

「…お父さん?」 

 今迄言ったことのない言葉を絞り出すように口にすると「父上と呼びなさい」と訂正される。

 あ~、ダメだ、こりゃ。

 せめて抱きしめてから訂正するとか、他にやりようがあると思うんだけどね。

「アルフレッド! そんな事だから…」

 アーサーがお説教をしようとした時、部屋の左側にあるドアがガタガタと音を立てだした。

 何事だ? と思っていると父上がスッと手を上げた。

「入って来い」

 するとドアが開いて一本のペーパーナイフが勢いよく飛び込んで来た。

「アーサー! 酷いわ! 何年私を待たせるのよ! 他に女なんて作ったりしていないでしょうね」

「グィネヴィア! 会いたかったよ!」

 アーサーがそのペーパーナイフの側に寄って行って、バツの形を作るように二本がクロスした。

 するとペーパーナイフからアーサーの人型ともう一人女性の人型が浮かび上がる。

 向こう側が透けて見える幽霊のような状態だ。

 二人は抱き合い、見つめ合うと唇を…

「おっと! 子供が見るもんじゃないな」

 シヴァが僕の目の前に顔を出した。

 そりゃまぁ、他人のキスシーンなんてそんなに見せられたくはないけどね。

 ようやくシヴァが僕の目の前から顔を退けるとアーサー達はまだ抱き合っていた。

 まぁ、10年も離れていたんだから仕方がないけどね。

「アーサー。グィネヴィアとの語らいは後にして、ジュリアに付いてこの家を離れてからの事を話してくれないか?」

 父上はアーサーに告げるとシヴァに向き直った。

「あなたはもしやひいお祖父様の従魔だった方ですか?」

 父上のひいお祖父様って事は僕のひいひいお祖父様? 

「何だ、エリオットを知っているのか?」

「直接は存じ上げませんが、お祖父様から少し聞いた事があります。銀色の毛並みの綺麗な従魔がいたと。今度はジェレミーの従魔になられたのですね。どうか息子をよろしくお願いします」 

 それから父上はベルを鳴らしてメイドを呼ぶとお茶の準備をさせて、僕達はソファーへと移動した。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...