20 / 57
20 訓練開始
しおりを挟む
母上と食堂に向かうと扉の前に立っていたメイドが扉を開けてくれた。
食堂の中にいた別のメイドが僕と母上を座席へと案内してくれる。
父上は先に座席に着いていたが、僕と母上が席に着くのを見届けると給仕に合図を送った。
父上の合図でテーブルの上に料理が並べられる。昨日と同じように誰も喋らない食事の時間が始まった。
僕は食事中に話をして良いのかわからなくて話しかけられずにいるんだけど、父上と母上はどうなんだろう。
そう思ってチラチラと二人の様子を探ってみるけれど、二人共食事に集中しているように見える。
そうなると食事中に話をするのは貴族としてはマナー違反になるのだろう。
そう思って食事を続けていると何やら母上がチラチラと父上の様子を伺っているようなシーンを目撃した。
どうも父上に話しかける機会を伺っているようだ。
だが、結局母上は父上と会話をすることもなく父上は食事を終えてしまった。
するとそれを待っていたかのようにバトラーが父上に近付き、何やら父上に耳打ちをしている。
バトラーの報告を受け取った父上は「お先に失礼する」と告げて食堂を出ていってしまった。
僕も食事を終える頃には、体のだるさも抜けて力がみなぎってくるような感覚を覚えていた。やっぱり食事は大事って事かな。
僕が食事を終えるとバトラーが僕の元にやってきてお茶を入れてくれた。
「ジェレミー様。森に訓練に行くと伺っております。しばらく休憩をされた後でご案内させて頂いてもよろしいですか?」
食後すぐに体を動かさない方がいいよね。消化に悪そうだし、下手すると吐いちゃうかも。
僕はゆっくりとお茶を楽しんだあとで立ち上がると、バトラーの後を付いて行った。食堂の隅で食事をしていたシヴァとアーサーも僕に続く。
母上に「気を付けて行ってらっしゃい」と見送られて食堂をあとにする。
バトラーと一緒に玄関を出るとそこには馬車が用意されていた。
その馬車がまた豪華なのなんのって、昨日の馬車が酷くみすぼらしく思える位だった。
父上はこの家の裏手にあるって言って無かったっけ? 馬車で移動ってどんだけ広いんだよ。
バトラーは馬車に僕とシヴァとアーサーを乗せると「失礼いたします」と言って僕の前の座席に座った。
バトラーの合図で馬車が走り出す。窓から外を眺めていると。馬車は屋敷をぐるりと回って屋敷の裏手に回ると庭園の脇を走り抜けた。
やがて前方に森が見えてくる。
魔獣がいるって言っていたけど。森を出て屋敷を襲ったりしないのかな?
だが森が近付くにつれてその疑問は解消された。その森は大きなドーム型の結界に覆われていたのだ。それに森の入り口には門番が二人立っていた。
馬車が門番達の前に止まると、門番が扉を開けてバトラーが先に降りた。僕が馬車から降りるのに手を添えてくれる。
森全体を覆った結界に扉があって、その扉には魔石が付いていた。
「ジェレミー様。こちらの魔石に触れますと扉が開きます。出られる時も内側の魔石に触れてください。それではお気を付けて行ってらっしゃいませ」
僕が軽く魔石に触れるとスッと扉が開いた。扉の奥にはどこにでもあるような森が広がっている。
僕とシヴァが中に入るとすぐに扉が閉まった。
あれ? そう言えばアーサーは?
置いてきてしまったかと思って後ろを振り返ろうとするとスッと目の前にアーサーが現れた。
どうやら僕の体に張り付いていたようだ。
「この森も久しぶりだな。アルフレッドの奴、学院を卒業すると訓練をしなくなったからな」
アーサーが懐かしそうに辺りを飛び回る。さっきまで意識がなかったのに僕が魔力を与えた途端に元気いっぱいだ。僕が魔力を与えたからだとわかっていても無性に腹が立つ。父上がアーサーに対して辛辣な理由がなんとなくわかった。
あいつは放っておけ、とばかりにシヴァが森の中に足を踏み入れる。置いて行かれまいと僕はシヴァの後を追った。
森の木々を抜けて少し開けた場所に出ると、シヴァは振り返るとニヤリと笑った。
「ここならば森の中でも火魔法を使っても大丈夫だぞ」
いつの間にかシヴァにまでその話が伝わっている。そんなにやらかした覚えはないんだけどね。
アーサーが僕の目の前にスッと現れる。
「さあ、始めようか、ジェレミー」
僕がアーサーの柄を握りしめるとペーパーナイフから普通の剣のサイズに変わる。それを両手で握りしめると「ファイヤー!」と唱えた。
途端に剣身が炎に包まれる。
「ふむ。なかなかやるじゃないか。あそこにグリズリーがいる。それで切ってみろ!」
シヴァに言われた方向に目をやると、グリズリーがこちらに向かって突進してくる所だった。
ちょっといきなりすぎない?
ワタワタしているとアーサーが叫んだ。
「ジェレミー! グリズリーに向かって炎を飛ばすように私を振れ!」
アーサーに言われた通りに剣を振り下ろすと、切っ先からグリズリーに向かって炎が飛び出した。
炎が当たった所に黒い焼け焦げが出来るが、その一撃だけてはグリズリーを倒せなかった。
だが足止めにはなったようで、グリズリーはこちらに攻撃してくるのを躊躇っている。
「今度は風魔法だ」
アーサーに言われて炎を消して切っ先に風を纏わせ、グリズリーに向かって振り下ろす。
風の刃がグリズリーに向かって繰り出され、グリズリーを真っ二つに切り裂く。
「フン! まぁまぁだな」
アーサーは素っ気ないがシヴァは「良くやった」と褒めてくれた。
僕は褒められて伸びるタイプなんだよ。
シヴァに褒められて悦に入っていると、何処からともなく変な匂いが漂ってきた。
何だ、コレ?
食堂の中にいた別のメイドが僕と母上を座席へと案内してくれる。
父上は先に座席に着いていたが、僕と母上が席に着くのを見届けると給仕に合図を送った。
父上の合図でテーブルの上に料理が並べられる。昨日と同じように誰も喋らない食事の時間が始まった。
僕は食事中に話をして良いのかわからなくて話しかけられずにいるんだけど、父上と母上はどうなんだろう。
そう思ってチラチラと二人の様子を探ってみるけれど、二人共食事に集中しているように見える。
そうなると食事中に話をするのは貴族としてはマナー違反になるのだろう。
そう思って食事を続けていると何やら母上がチラチラと父上の様子を伺っているようなシーンを目撃した。
どうも父上に話しかける機会を伺っているようだ。
だが、結局母上は父上と会話をすることもなく父上は食事を終えてしまった。
するとそれを待っていたかのようにバトラーが父上に近付き、何やら父上に耳打ちをしている。
バトラーの報告を受け取った父上は「お先に失礼する」と告げて食堂を出ていってしまった。
僕も食事を終える頃には、体のだるさも抜けて力がみなぎってくるような感覚を覚えていた。やっぱり食事は大事って事かな。
僕が食事を終えるとバトラーが僕の元にやってきてお茶を入れてくれた。
「ジェレミー様。森に訓練に行くと伺っております。しばらく休憩をされた後でご案内させて頂いてもよろしいですか?」
食後すぐに体を動かさない方がいいよね。消化に悪そうだし、下手すると吐いちゃうかも。
僕はゆっくりとお茶を楽しんだあとで立ち上がると、バトラーの後を付いて行った。食堂の隅で食事をしていたシヴァとアーサーも僕に続く。
母上に「気を付けて行ってらっしゃい」と見送られて食堂をあとにする。
バトラーと一緒に玄関を出るとそこには馬車が用意されていた。
その馬車がまた豪華なのなんのって、昨日の馬車が酷くみすぼらしく思える位だった。
父上はこの家の裏手にあるって言って無かったっけ? 馬車で移動ってどんだけ広いんだよ。
バトラーは馬車に僕とシヴァとアーサーを乗せると「失礼いたします」と言って僕の前の座席に座った。
バトラーの合図で馬車が走り出す。窓から外を眺めていると。馬車は屋敷をぐるりと回って屋敷の裏手に回ると庭園の脇を走り抜けた。
やがて前方に森が見えてくる。
魔獣がいるって言っていたけど。森を出て屋敷を襲ったりしないのかな?
だが森が近付くにつれてその疑問は解消された。その森は大きなドーム型の結界に覆われていたのだ。それに森の入り口には門番が二人立っていた。
馬車が門番達の前に止まると、門番が扉を開けてバトラーが先に降りた。僕が馬車から降りるのに手を添えてくれる。
森全体を覆った結界に扉があって、その扉には魔石が付いていた。
「ジェレミー様。こちらの魔石に触れますと扉が開きます。出られる時も内側の魔石に触れてください。それではお気を付けて行ってらっしゃいませ」
僕が軽く魔石に触れるとスッと扉が開いた。扉の奥にはどこにでもあるような森が広がっている。
僕とシヴァが中に入るとすぐに扉が閉まった。
あれ? そう言えばアーサーは?
置いてきてしまったかと思って後ろを振り返ろうとするとスッと目の前にアーサーが現れた。
どうやら僕の体に張り付いていたようだ。
「この森も久しぶりだな。アルフレッドの奴、学院を卒業すると訓練をしなくなったからな」
アーサーが懐かしそうに辺りを飛び回る。さっきまで意識がなかったのに僕が魔力を与えた途端に元気いっぱいだ。僕が魔力を与えたからだとわかっていても無性に腹が立つ。父上がアーサーに対して辛辣な理由がなんとなくわかった。
あいつは放っておけ、とばかりにシヴァが森の中に足を踏み入れる。置いて行かれまいと僕はシヴァの後を追った。
森の木々を抜けて少し開けた場所に出ると、シヴァは振り返るとニヤリと笑った。
「ここならば森の中でも火魔法を使っても大丈夫だぞ」
いつの間にかシヴァにまでその話が伝わっている。そんなにやらかした覚えはないんだけどね。
アーサーが僕の目の前にスッと現れる。
「さあ、始めようか、ジェレミー」
僕がアーサーの柄を握りしめるとペーパーナイフから普通の剣のサイズに変わる。それを両手で握りしめると「ファイヤー!」と唱えた。
途端に剣身が炎に包まれる。
「ふむ。なかなかやるじゃないか。あそこにグリズリーがいる。それで切ってみろ!」
シヴァに言われた方向に目をやると、グリズリーがこちらに向かって突進してくる所だった。
ちょっといきなりすぎない?
ワタワタしているとアーサーが叫んだ。
「ジェレミー! グリズリーに向かって炎を飛ばすように私を振れ!」
アーサーに言われた通りに剣を振り下ろすと、切っ先からグリズリーに向かって炎が飛び出した。
炎が当たった所に黒い焼け焦げが出来るが、その一撃だけてはグリズリーを倒せなかった。
だが足止めにはなったようで、グリズリーはこちらに攻撃してくるのを躊躇っている。
「今度は風魔法だ」
アーサーに言われて炎を消して切っ先に風を纏わせ、グリズリーに向かって振り下ろす。
風の刃がグリズリーに向かって繰り出され、グリズリーを真っ二つに切り裂く。
「フン! まぁまぁだな」
アーサーは素っ気ないがシヴァは「良くやった」と褒めてくれた。
僕は褒められて伸びるタイプなんだよ。
シヴァに褒められて悦に入っていると、何処からともなく変な匂いが漂ってきた。
何だ、コレ?
73
あなたにおすすめの小説
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる