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38 アーサーの昔話
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パーティの翌朝、目を覚ますと僕の足元でシヴァが眠っていた。
いつもなら僕が起き上がるとシヴァも起きて大きな伸びをするのに今日はピクリとも動かず眠ったままだ。
「あれ? シヴァ、どうした? 具合でも悪いのか?」
声をかけても反応がない。
手を伸ばしてシヴァに触ろうとするとアーサーがスッと僕とシヴァの間に入り込んできた。
「ジェレミー。いいから寝かせてやれ」
アーサーがそういうって事はシヴァがどうして起きないのか知っているんだろう。
「アーサー、シヴァはどうしたんだ?」
アーサーはしばらく黙っていたが、スッと僕に近付いてきた。
「後でアルフレッドの所に行こう。二人に話がある」
やけに改まった口調のアーサーに少し戸惑いつつも僕は了承した。
その後、僕か目覚めた事に気付いた使用人達に身支度を整えられ、朝食の席についた。
祖父母も両親もまだ起きてきてはいなかった。四人ともお酒が入っていたからまだ起きてはこないだ守ろう。
僕が朝食を終えて部屋に戻ろうとする時に父上が食堂に、入ってきた。
「おはようございます、父上。…アーサーが話があるって言ってるんですが…」
後半をこそっと父上に耳打ちすると、父上は軽く頷いた。
「後でお前の部屋に行く」
それだけを告げるとさっさと自分の席へと向かったので、僕は食堂を出て部屋へと戻った。
部屋に戻るとベッドでは相変わらずシヴァが丸くなって寝ている。
僕が側に腰を下ろしても一向に起きる気配はない。
シヴァの毛並みを撫でているとそのモフモフを堪能したくなって思わず顔を埋めてしまった。
「うわっ! …何だ、ジェレミーか…」
一瞬起き上がったシヴァだったが、僕が顔を埋めただけだとわかるとまた夢の中へと戻っていった。
シヴァが夢を見るのかは知らないけどね。
シヴァの側に寝っ転がってまったりしているとトントントンと扉がノックされた。
「はい」と返事をして体を起こすと父上が部屋に入ってきたが、何故かグィネヴィアが一緒だった。
「何だ。グィネヴィアも来たのか」
いつの間にかアーサーが扉の近くに行ってグィネヴィアを出迎えていた。
宙に浮いている2本のペーパーナイフってシュールだね。
父上は部屋に入ると迷うことなく一人がけのソファーに腰を下ろす。
「それで話って何だ?」
僕も慌てて父上の真向かいに腰を下ろすと、間にあるテーブルの上にアーサーとグィネヴィアが移動してきた。
「昨日のパーティでジェレミーが視線を感じたと言っていたが、その正体がわかった」
アーサーの言葉に僕は驚き、父上はちょっと目を見開いた。
「その人物の事を告げるには昔の話をしなくてはいけないな。アルフレッドも私がどうしてこんな姿になったのか知らないだろう。まずは昔話をするとしよう」
そう言ってアーサーはペーパーナイフの体をテーブルに横たえるとスッと元の姿の幻影を浮かび上がらせ静かに語り始めた。
******
アーサー王は王城から街並みを見下ろして深い感慨を覚えていた。
この地に国を興してようやく軌道に乗ってきた頃だった。
勿論アーサー王だけの力では無いことは十分承知していた。
神獣であるシヴァや妻のグィネヴィア、宰相を務めてくれる弟やその他の家臣、それに魔女マーリンのおかげであると。
跡継ぎである息子も生まれて、これからも安泰だと思っていた矢先、それは起こった。
執務室で仕事をしていると何故かグィネヴィアが入ってきた。
「どうした? 何か用か?」
アーサー王が尋ねるとグィネヴィアは首を傾げた。
「わたくしにもわかりません。どうしてわたくしはここに来たのかしら?」
不思議がるグィネヴィアに近寄ろうとアーサー王が立ち上がると突然バンと扉が開いて魔女マーリンが入ってきた。
マーリンが部屋に入ると同時に扉が閉まり、遮音の結界が張られた。
「マーリン?! 急にどうした?」
アーサー王が問いかけてもマーリンは薄っすらと笑うだけで答えない。
その笑いにゾクリとする不気味さを感じてアーサー王はグィネヴィアを庇うように立ちはだかった。
「マーリン! 答えろ!」
アーサー王が恫喝するとマーリンは真っ赤な口を開いた。
「アーサーに用は無いわ。私はこの女に引導を渡しに来たの。アーサーはそこで黙って見てればいいのよ」
マーリンはそう言うなりアーサーの体を魔力の紐で縛り上げた。アーサー王は手足を拘束されその場に横倒しになる。
盾を失ったグィネヴィアにマーリンはゆっくりと近付いて行く。
「グィネヴィア。もう十分いい思いをしたでしょう。これからは私があなたに代わってアーサーを愛してあげるわ」
アーサー王はマーリンの言葉を聞いて驚愕した。確かに彼女の気持ちには薄々気づいていたところもあったし、国を興す為にその思いを利用したと言われても反論は出来ない。
しかし、だからといって今の状況を許すわけにはいかなかった。
「止めろ! マーリン! お前の気持ちを知っていたのは認める。だけどグィネヴィアに手を出すのは止めてくれ!」
マーリンはアーサー王の言葉に聞く耳を持たずにグィネヴィアをアーサー王と同じように魔力の紐で拘束する。
グィネヴィアは後ろ手に拘束されたままマーリンに追い詰められジリジリと壁際に後ずさりしていく。
もう少しでマーリンの手がグィネヴィアに届くという時にガシャンと音がして窓から何かがが飛び込んできてグィネヴィアの前に立ち塞がった。
「シヴァ! 戻って来たのか!」
そこには神木に帰って行った筈のシヴァがいた。
いつもなら僕が起き上がるとシヴァも起きて大きな伸びをするのに今日はピクリとも動かず眠ったままだ。
「あれ? シヴァ、どうした? 具合でも悪いのか?」
声をかけても反応がない。
手を伸ばしてシヴァに触ろうとするとアーサーがスッと僕とシヴァの間に入り込んできた。
「ジェレミー。いいから寝かせてやれ」
アーサーがそういうって事はシヴァがどうして起きないのか知っているんだろう。
「アーサー、シヴァはどうしたんだ?」
アーサーはしばらく黙っていたが、スッと僕に近付いてきた。
「後でアルフレッドの所に行こう。二人に話がある」
やけに改まった口調のアーサーに少し戸惑いつつも僕は了承した。
その後、僕か目覚めた事に気付いた使用人達に身支度を整えられ、朝食の席についた。
祖父母も両親もまだ起きてきてはいなかった。四人ともお酒が入っていたからまだ起きてはこないだ守ろう。
僕が朝食を終えて部屋に戻ろうとする時に父上が食堂に、入ってきた。
「おはようございます、父上。…アーサーが話があるって言ってるんですが…」
後半をこそっと父上に耳打ちすると、父上は軽く頷いた。
「後でお前の部屋に行く」
それだけを告げるとさっさと自分の席へと向かったので、僕は食堂を出て部屋へと戻った。
部屋に戻るとベッドでは相変わらずシヴァが丸くなって寝ている。
僕が側に腰を下ろしても一向に起きる気配はない。
シヴァの毛並みを撫でているとそのモフモフを堪能したくなって思わず顔を埋めてしまった。
「うわっ! …何だ、ジェレミーか…」
一瞬起き上がったシヴァだったが、僕が顔を埋めただけだとわかるとまた夢の中へと戻っていった。
シヴァが夢を見るのかは知らないけどね。
シヴァの側に寝っ転がってまったりしているとトントントンと扉がノックされた。
「はい」と返事をして体を起こすと父上が部屋に入ってきたが、何故かグィネヴィアが一緒だった。
「何だ。グィネヴィアも来たのか」
いつの間にかアーサーが扉の近くに行ってグィネヴィアを出迎えていた。
宙に浮いている2本のペーパーナイフってシュールだね。
父上は部屋に入ると迷うことなく一人がけのソファーに腰を下ろす。
「それで話って何だ?」
僕も慌てて父上の真向かいに腰を下ろすと、間にあるテーブルの上にアーサーとグィネヴィアが移動してきた。
「昨日のパーティでジェレミーが視線を感じたと言っていたが、その正体がわかった」
アーサーの言葉に僕は驚き、父上はちょっと目を見開いた。
「その人物の事を告げるには昔の話をしなくてはいけないな。アルフレッドも私がどうしてこんな姿になったのか知らないだろう。まずは昔話をするとしよう」
そう言ってアーサーはペーパーナイフの体をテーブルに横たえるとスッと元の姿の幻影を浮かび上がらせ静かに語り始めた。
******
アーサー王は王城から街並みを見下ろして深い感慨を覚えていた。
この地に国を興してようやく軌道に乗ってきた頃だった。
勿論アーサー王だけの力では無いことは十分承知していた。
神獣であるシヴァや妻のグィネヴィア、宰相を務めてくれる弟やその他の家臣、それに魔女マーリンのおかげであると。
跡継ぎである息子も生まれて、これからも安泰だと思っていた矢先、それは起こった。
執務室で仕事をしていると何故かグィネヴィアが入ってきた。
「どうした? 何か用か?」
アーサー王が尋ねるとグィネヴィアは首を傾げた。
「わたくしにもわかりません。どうしてわたくしはここに来たのかしら?」
不思議がるグィネヴィアに近寄ろうとアーサー王が立ち上がると突然バンと扉が開いて魔女マーリンが入ってきた。
マーリンが部屋に入ると同時に扉が閉まり、遮音の結界が張られた。
「マーリン?! 急にどうした?」
アーサー王が問いかけてもマーリンは薄っすらと笑うだけで答えない。
その笑いにゾクリとする不気味さを感じてアーサー王はグィネヴィアを庇うように立ちはだかった。
「マーリン! 答えろ!」
アーサー王が恫喝するとマーリンは真っ赤な口を開いた。
「アーサーに用は無いわ。私はこの女に引導を渡しに来たの。アーサーはそこで黙って見てればいいのよ」
マーリンはそう言うなりアーサーの体を魔力の紐で縛り上げた。アーサー王は手足を拘束されその場に横倒しになる。
盾を失ったグィネヴィアにマーリンはゆっくりと近付いて行く。
「グィネヴィア。もう十分いい思いをしたでしょう。これからは私があなたに代わってアーサーを愛してあげるわ」
アーサー王はマーリンの言葉を聞いて驚愕した。確かに彼女の気持ちには薄々気づいていたところもあったし、国を興す為にその思いを利用したと言われても反論は出来ない。
しかし、だからといって今の状況を許すわけにはいかなかった。
「止めろ! マーリン! お前の気持ちを知っていたのは認める。だけどグィネヴィアに手を出すのは止めてくれ!」
マーリンはアーサー王の言葉に聞く耳を持たずにグィネヴィアをアーサー王と同じように魔力の紐で拘束する。
グィネヴィアは後ろ手に拘束されたままマーリンに追い詰められジリジリと壁際に後ずさりしていく。
もう少しでマーリンの手がグィネヴィアに届くという時にガシャンと音がして窓から何かがが飛び込んできてグィネヴィアの前に立ち塞がった。
「シヴァ! 戻って来たのか!」
そこには神木に帰って行った筈のシヴァがいた。
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