みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅

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 いきなり「仲間になれ」と言われても知り合ったばかりの彼等が信頼に値するかどうかはわからない。

 勿論、彼等にしても僕をそこまで信用しているかどうかも怪しいものだ。

 答えに窮していると、それを感じ取ったらしいテオがフッと笑みをこぼした。

「まぁ、会ったばかりで仲間になれと言われても困るよな。それでもこの先、シリルが家族を探すのなら今のうちに側妃をどうにかしないと、先には進めないぞ。国王が死んだら側妃を止めることが出来る人間がいなくなるからな」

 まだ国王が生きている今でさえ獣人が迫害されている状態なのだ。

 これで国王が亡くなったら獣人への圧力は一気に加速しそうだ。

 そうなると家族を探すどころかこの国に居られるのかさえ危ぶまれそうだ。

 ここはやはり彼等に協力するのが、家族を探す近道になるのだろうか。

 そもそも仲間になるにしても僕に手伝える事があるんだろうか。

「協力するのは構いませんが、僕に出来る事ってありますか?」

 彼等がどういった活動をしているかわからないし、どうやって側妃を失脚させるつもりなのかもわからない。

 それなのに僕に協力出来る事があるのかどうかも怪しいものだ。

「シリルはどうして国王が病気になったのか知っているか?」

 テオの隣に座っている男が僕に問うてきた。

 最初から僕が探していたシリルではないと確信していた人物だ。

 後でジョスという名前を聞いたが、サブリーダーでテオと同じ狼の獣人だそうだ。

「…いえ。ただ病気だとしか聞いていません。何かあるんですか?」

 するとジョスは吐き捨てるように忌々しげに言葉を放つ。

「あの女が国王に毒を盛ったんだ。それを獣人の侍女に罪を擦り付けた。そこで獣人の侍女は処刑され、側妃から獣人への迫害が始まったんだ。だから俺達は側妃が毒を盛ったという証拠を集めている。それを持ってきてくれたのが、今日落ち合った兎のシリルだ」 

 自分の名前が出てきて兎のシリルは少し照れくさそうに頭をかいた。

 その仕草が先程の兎の姿を連想させてくれて、何とも言えない気分になる。

 また、さっきみたいに兎の姿になってくれないかな。

 今度はギュッと抱きしめてたっぷりとモフりたい、…とは口が裂けても言えない…かな?

「彼は姿をだ消す事が出来るんだ。そこで側妃の部屋に潜入させて証拠を集めていたんだ」

 兎のシリルを側妃の部屋に潜入させてすぐに彼女が持っていた毒を他の物にすり替えたそうだ。

 だが、それならば国王は今は毒を飲んでいない事になる。

 それなのにいまだに病気で臥せっているとは一体どういうことなのだろうか。

「国王は今は毒を飲んでいないんですよね。それなのに病気で臥せっているとはどういう事ですか?」

「国王の病気は側妃を欺くためのお芝居だよ。何しろ側妃の実家は公爵家だからな。油断させて証拠を集めて実家諸共叩き潰すつもりなんだ」 

 数代前の国王の弟が爵位を賜って出来たのが今の公爵家の始まりらしい。

 場合によっては自分達が国王になっていた、などと言っては権力を振りかざしているらしい。

 国王も公爵家を諌めてはいたが、一応身内に当たるため、あまり強く出られなかったようだ。

 そこへ来て側妃に毒を盛られてようやく公爵家を断罪する事を決意したらしい。

 もっと早く動けばよかったのではないかと思うのだが、何かきっかけがなければ決断には至らなかったのだろう。

「つまりテオ達は国王からの命令で動いていると言う事ですか?」

 てっきり獣人だけで活動をしているのだと思っていたから、まさかバックに王家がいるとは思わなかった。

「いや、国王ではなくて…」

 テオが言いかけた所で隣の部屋の扉の隙間から眩い光が漏れてきた。

 突然の事に僕は身構えるが、他の獣人達は平然している。

「ああ、いらっしゃったようだな」

 テオ達が一斉に立ち上がる中、僕がキョトンとしていると隣にいるエリクが僕を突いた。

「ほら、シリルも立って」

 訳も分からずに僕が立ち上がると、同時に扉が開いて一人のきらびやかな男性が入ってきた。

「お待ちしておりました、ファビアン様」

 獣人達が一斉に腰を折ってお辞儀をする。

 そこに現れたのはこの国の第二王子であるファビアン様だった。

 
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