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72 脱出
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突然現れた騎士に僕達は驚いたが、それは騎士にとっても同じだったようだ。
「何だ、お前達? いったい何処から現れたんだ?」
腰に下げている剣の柄に手をやって今にも抜こうと身構えている。
どうしよう…。
相手は一人だ。
捕まえて縛り上げようかと思っていると、後ろから一人の女性が騎士に駆け寄った。
「待って! 兄さん!」
彼女は確か、一番最後に人型に戻した獣人だったはずだが…。
騎士は駆け寄ってきた女性を見て更に驚いていた。
「デボラ? お前、どうして? 人型に戻れたのか?」
二人の会話を聞いたところ、どうやら兄妹らしいが、一体どういう事だ?
「この人達が私達を助け出して首輪まで解除してくれたの。だからこうして人型に戻れたのよ。兄さんからもお礼を言って!」
デボラさんに言われて騎士はようやく僕達が敵ではないとわかってくれたようだ。
この場にいる人達が檻の中に入れられていた獣人達が元の人型に戻った姿だとも知って安堵していた。
だけどデボラさんのお兄さんがこの国の騎士ってどういう事だ?
「ああ、良かった…。ここから連れ出してもあの姿のまま暮らさなきゃいけないかと不憫に思っていたんだ。…本当に良かった…」
騎士はデボラさんの体を抱きしめてポロポロと涙を溢している。
デボラさんも人型に戻れたのと、兄に会えた事を喜んていた。
「ありがとう。本当は今夜、デボラを連れ出して逃げようと思っていたんだ。他にもここに閉じ込められているのはわかっていたけれど、皆は連れて行かれないし、それに動けない人もいたからね。だけど君達が回復させてくれたのなら皆で逃げられるよ」
デボラさんとお兄さんが住んでいた里がハンターに襲われてデボラさんが連れ去られたそうだ。
お兄さんはハンターの後を追いかけてデボラさんを救出する隙を窺っていたが、それより先にデボラさんはこの国の王女に献上されてしまった。
お兄さんはデボラさんを助け出す為にこの国の騎士に志願してようやく採用された。
騎士になって王宮の内情を探っているうちにデボラさんは王女に飽きられてこの建物に閉じ込められてしまったそうだ。
そうしてデボラさんを助け出すチャンスを窺っていると、今日門の夜警の順番が回ってきたのでデボラさんを連れて逃げるつもりだったらしい。
「お兄さんが夜警と言う事は門を開けられるって事ですか?」
「ああ、そうだ。門を出て堀を泳いで渡るつもりだった。そのままこの国を脱出するつもりだったんだ」
お兄さんによれば堀には危険な生物は住んでいないようだ。
お兄さんも始めからデボラさんを連れて逃げるつもりだったらしいから、このまま皆で脱出すればいいだろう。
「だけど、ここに閉じ込められていた獣人がいなくなったら大騒ぎになりませんか?」
僕が尋ねるとお兄さんはフルフルと首を横に振った。
「ここにいるのが獣人だとは誰も知らないんだ。皆普通の動物だと信じている。それに王女が次から次へと動物を連れてこさせるのを誰も快く思っていないんだ。ここを世話している人も彼等がいなくなってくれたほうが清々するはずだ」
ここにいる獣人達を連れ出しても誰も咎められないのなら、それに越した事はない。
「それじゃ、さっさとここから脱出する事にしよう」
僕達は建物から出ると、お兄さんの後を付いて門へと向かった。
この王宮は周りを堀で囲まれているから夜警の門番は一人しか置かないそうだ。
最もそのおかげでこうやって連れて逃げることができるんだからね。
エリクが先導して泳いで向こう側に渡ると、次々と泳いで渡る人に手を貸していた。
デボラさんも無事に向こう側に渡れてお兄さんはホッとしていた。
「出来れば今王女の所にいる狐も連れて行きたかったが、そういうわけにはいかないだろうな…」
ポツリと呟いたお兄さんの言葉に僕は衝撃を受けた。
今王女の所にいるのは狐なのか?
まさか、兄さんが…?
「何だ、お前達? いったい何処から現れたんだ?」
腰に下げている剣の柄に手をやって今にも抜こうと身構えている。
どうしよう…。
相手は一人だ。
捕まえて縛り上げようかと思っていると、後ろから一人の女性が騎士に駆け寄った。
「待って! 兄さん!」
彼女は確か、一番最後に人型に戻した獣人だったはずだが…。
騎士は駆け寄ってきた女性を見て更に驚いていた。
「デボラ? お前、どうして? 人型に戻れたのか?」
二人の会話を聞いたところ、どうやら兄妹らしいが、一体どういう事だ?
「この人達が私達を助け出して首輪まで解除してくれたの。だからこうして人型に戻れたのよ。兄さんからもお礼を言って!」
デボラさんに言われて騎士はようやく僕達が敵ではないとわかってくれたようだ。
この場にいる人達が檻の中に入れられていた獣人達が元の人型に戻った姿だとも知って安堵していた。
だけどデボラさんのお兄さんがこの国の騎士ってどういう事だ?
「ああ、良かった…。ここから連れ出してもあの姿のまま暮らさなきゃいけないかと不憫に思っていたんだ。…本当に良かった…」
騎士はデボラさんの体を抱きしめてポロポロと涙を溢している。
デボラさんも人型に戻れたのと、兄に会えた事を喜んていた。
「ありがとう。本当は今夜、デボラを連れ出して逃げようと思っていたんだ。他にもここに閉じ込められているのはわかっていたけれど、皆は連れて行かれないし、それに動けない人もいたからね。だけど君達が回復させてくれたのなら皆で逃げられるよ」
デボラさんとお兄さんが住んでいた里がハンターに襲われてデボラさんが連れ去られたそうだ。
お兄さんはハンターの後を追いかけてデボラさんを救出する隙を窺っていたが、それより先にデボラさんはこの国の王女に献上されてしまった。
お兄さんはデボラさんを助け出す為にこの国の騎士に志願してようやく採用された。
騎士になって王宮の内情を探っているうちにデボラさんは王女に飽きられてこの建物に閉じ込められてしまったそうだ。
そうしてデボラさんを助け出すチャンスを窺っていると、今日門の夜警の順番が回ってきたのでデボラさんを連れて逃げるつもりだったらしい。
「お兄さんが夜警と言う事は門を開けられるって事ですか?」
「ああ、そうだ。門を出て堀を泳いで渡るつもりだった。そのままこの国を脱出するつもりだったんだ」
お兄さんによれば堀には危険な生物は住んでいないようだ。
お兄さんも始めからデボラさんを連れて逃げるつもりだったらしいから、このまま皆で脱出すればいいだろう。
「だけど、ここに閉じ込められていた獣人がいなくなったら大騒ぎになりませんか?」
僕が尋ねるとお兄さんはフルフルと首を横に振った。
「ここにいるのが獣人だとは誰も知らないんだ。皆普通の動物だと信じている。それに王女が次から次へと動物を連れてこさせるのを誰も快く思っていないんだ。ここを世話している人も彼等がいなくなってくれたほうが清々するはずだ」
ここにいる獣人達を連れ出しても誰も咎められないのなら、それに越した事はない。
「それじゃ、さっさとここから脱出する事にしよう」
僕達は建物から出ると、お兄さんの後を付いて門へと向かった。
この王宮は周りを堀で囲まれているから夜警の門番は一人しか置かないそうだ。
最もそのおかげでこうやって連れて逃げることができるんだからね。
エリクが先導して泳いで向こう側に渡ると、次々と泳いで渡る人に手を貸していた。
デボラさんも無事に向こう側に渡れてお兄さんはホッとしていた。
「出来れば今王女の所にいる狐も連れて行きたかったが、そういうわけにはいかないだろうな…」
ポツリと呟いたお兄さんの言葉に僕は衝撃を受けた。
今王女の所にいるのは狐なのか?
まさか、兄さんが…?
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