俺とあいつと貯金箱【短編】

ジェリージュンジュン

文字の大きさ
16 / 20

しおりを挟む



「ちょ、ちょっと待てよ……」


 《いずれは自分に返ってくるわよ。幸せ2倍、全てが2倍》


 自分に……返ってくる……


「あっ! ま、まさか!」

 瞬間的に、俺は一つの可能性に気づいた。
 勿論、自分の推測だから、当たっているかどうかは分からない。
だが、こう考えれば、全てにおいて合点がいく。

 「なあ!」

 俺は慌てて尋ねた。

 「『返ってくる』の意味って『半分返ってくる』の他にもあるのか?」
 「ピンポ~ン! さすがえいじちゃん!」

でも、とジェリックは言った。

 「あたしが教えてあげられるのはここまで!」
 「え! なんでだよ!」
 「あたしは、もう一人の所へお礼しに行かなきゃいけないし~、なにより、お金を支配できるかは、えいじちゃんの頑張り次第なのよ~」
 「俺の頑張り……?」
 「そうよ。ここでお金持ちになれるかどうかは、えいじちゃん自身が頑張らなきゃ。誰かに教えてもらうんじゃなくて自分で見つけなきゃ。今回は乗り越えられても、これから先、結局はどっかでお金に振り回されることになるわよ」
 「え……」
 「じゃあ、頑張ってね~! バイバイ~、チャオ~!」
 「お、おい! 待てよ!」

ジェリックは、そう言うと、夜の町へ消えていった。
だが、今の説明で充分だった。


そう。
この貯金箱は、決して『入れた分の半分が返ってくる』という夢のような貯金箱じゃない。


おそらく『楽して金は稼げない』という意味だ。

 「ちょ、ちょっと待てよ……」

 俺は記憶を辿り、今までの出来事を整理してみた。

 最初、貯金箱に百円入れたら、牛丼屋で50円のクーポンをもらった。
でも後日、自動販売機でジュースを買おうとして200円を落としてしまった。

 他にもまだある。

 貯金箱に288円を入れたあと、スーパーで買った『ほうれん草のおひたし』の代金、144円をレジの人が打ち忘れて得をしたことがあった。
だが後日、ゲームを買いに行く時、288円のちょうど倍、576円のポイントカードを落としてしまった。

 「あっ、そうだ……」

まだある。
 他にも、まだまだある。


 考えれば考えるほど、あの貯金箱を手に入れてから、同じようなケースを何度も経験している。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...