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しおりを挟む「ちょ、ちょっと待てよ……」
《いずれは自分に返ってくるわよ。幸せ2倍、全てが2倍》
自分に……返ってくる……
「あっ! ま、まさか!」
瞬間的に、俺は一つの可能性に気づいた。
勿論、自分の推測だから、当たっているかどうかは分からない。
だが、こう考えれば、全てにおいて合点がいく。
「なあ!」
俺は慌てて尋ねた。
「『返ってくる』の意味って『半分返ってくる』の他にもあるのか?」
「ピンポ~ン! さすがえいじちゃん!」
でも、とジェリックは言った。
「あたしが教えてあげられるのはここまで!」
「え! なんでだよ!」
「あたしは、もう一人の所へお礼しに行かなきゃいけないし~、なにより、お金を支配できるかは、えいじちゃんの頑張り次第なのよ~」
「俺の頑張り……?」
「そうよ。ここでお金持ちになれるかどうかは、えいじちゃん自身が頑張らなきゃ。誰かに教えてもらうんじゃなくて自分で見つけなきゃ。今回は乗り越えられても、これから先、結局はどっかでお金に振り回されることになるわよ」
「え……」
「じゃあ、頑張ってね~! バイバイ~、チャオ~!」
「お、おい! 待てよ!」
ジェリックは、そう言うと、夜の町へ消えていった。
だが、今の説明で充分だった。
そう。
この貯金箱は、決して『入れた分の半分が返ってくる』という夢のような貯金箱じゃない。
おそらく『楽して金は稼げない』という意味だ。
「ちょ、ちょっと待てよ……」
俺は記憶を辿り、今までの出来事を整理してみた。
最初、貯金箱に百円入れたら、牛丼屋で50円のクーポンをもらった。
でも後日、自動販売機でジュースを買おうとして200円を落としてしまった。
他にもまだある。
貯金箱に288円を入れたあと、スーパーで買った『ほうれん草のおひたし』の代金、144円をレジの人が打ち忘れて得をしたことがあった。
だが後日、ゲームを買いに行く時、288円のちょうど倍、576円のポイントカードを落としてしまった。
「あっ、そうだ……」
まだある。
他にも、まだまだある。
考えれば考えるほど、あの貯金箱を手に入れてから、同じようなケースを何度も経験している。
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