俺とあいつと貯金箱【短編】

ジェリージュンジュン

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「や、やっぱりそうだ……絶対そうだ……」

 半分返ってきても、元の2倍になって出ていく。

 楽して稼ごうとした怠慢な自分に、しっぺ返しとして返ってくるという意味だったんだ。

 「ま、まずい……」

 俺は顔が真っ青になった。
なぜなら、あの貯金箱に、320万円の預金額がある通帳を入れてしまったからだ。
ということは、その倍、640万円が自分の手元から出ていくということになる。

 「う、嘘だろ!」

 俺は、唇がガタガタと震え始めた。

 「ど、どうしよう……ジェリックが帰ってくるのを待って助けてもらおうかな……」

い、いや、おそらく無理だ。
いくら頼んでも無理だ。

ジェリックは、自分でお金を支配する方法を見つけろと言っていた。
それに、もう別の誰かの所に旅立ったから、ここには帰ってこないと考えたほうがいい。

と、とにかく、とにかくだ。
もう貯金箱に入れるのをやめなくては。

 俺は今後のことを考えた。
おそらく、640万円が、何らかの形で出ていく。

ど、どうやって、金を工面したらいいんだ??

 俺は脳をフル回転させて、必死で考えを張り巡らせていた。


――すると、その時。


 「あっ……」

 俺の携帯電話に着信が入った。

 「おやじ……?」

そう。
それは、父親からだった。

 「もしもし」

 俺はすぐに電話に出た。

 「どうしたの?」
 「おまえ、通帳知らないか?」
 「え?」
 「この間、貸してくれとか言ってただろう」
 「あ、あぁ……ごめん、すぐ返しにいくよ」
 「やっぱり、おまえか。なんか変なことに関わってるんじゃないだろうな」
 「何でもないよ、大丈夫だから」

 俺は平静を装おうと必死だった。
とにかく、言い訳も考えつかないほど、パニック状態だった。

 「まあ、いい。とにかく喜べ」
 「え?」
 「実はな……」

 父親は、嬉しそうに言った。

 「5千万円が手に入るんだ。おまえにも1千万ほどあげるからな」
 「え……?」
 「宝くじが当たったんだ」
 「な、何だって!?」

ま、まじかよ!

それはまさしく、天から舞い降りた救いの糸。


やった!

 助かった!!




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