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第 2 章
第 114 話
「グウゥ……」
エルヴィーノに斬られたデルフィーノは、血を撒き散らしながらバックステップして距離を取る。
「……さすがだな」
肩から斜めに斬り裂くつもりで放ったエルヴィーノの攻撃だったが、デルフィーノの胸の部分を斬るだけにとどまった。
というのも、斬られると思った瞬間、デルフィーノが体を捻って致命傷になる事を回避したからだ。
その無意識にも近い反射に感心し、エルヴィーノはデルフィーノのことを褒めた。
「時間の問題だがな」
たしかに即死は免れたが、その傷はかなり深い。
すぐに動けなくなるわけではないが、戦いが長引けば大量出血で命を落とすことになるだろう。
そう先を読んだエルヴィーノが呟く。
「このっ!!」
「待てっ!」
【黒蛇】頭領であるデルフィーノが斬られたことで、バンディーノたちが怒りの表情を浮かべる。
そして、その感情のままエルヴィーノに襲い掛かろうとした。
しかし、それをデルフィーノ止める。
「むやみに接近しても、さっきの良く分からない攻撃を食らうぞ」
「たしかに……」
全員が連携して襲い掛かったというのに、どこからともなく出現した魔力球を食らったことでデルフィーノは深手を負った。
そのからくりが分からない状態で攻めかかっても、また同じように誰かが斬りつけられることになる。
そうならないために、デルフィーノはバンディーノたちを止めたのだ。
「何か気付いたか?」
「自分は何も……」
「俺もです」
エルヴィーノを倒すには、先程の攻撃がどのようにして行われたのかを読み解く必要がある。
答えを導くためのヒントを求め、デルフィーノは3人に問いかける。
その問いに、チプリアーノとエフィージオは首を左右に振って返答した。
警戒していないところで、あまりにも一瞬の事だったために、どんな風にして魔力球が飛んできていたのか分からなかったようだ。
「一瞬魔法陣が出たような気が……」
衝撃を受ける直前のことを思い出し、バンディーノはふと感じたことを告げる。
しかし、確信がないため、尻つぼみのように声が小さくなる。
「……まさか、設置型魔法か……?」
「設置型……魔法ですか?」
バンディーノの言葉を受けたデルフィーノは、少し間をおいてあることに思い至り声を漏らす。
聞いたこともない魔法に、バンディーノたち3人は首を傾げた。
「その名の通り、特定の場所に設置する魔法のことだ。魔法は発動する瞬間だけ魔法陣が出現する。バンディーノの見た事と合う」
ピンと来ていない様子の3人を見て、デルフィーノは説明を始める。
「……と言うことは、我々は奴が魔法を設置した誘導されたということでしょうか?」
「恐らく……な」
デルフィーノの説明を受け、バンディーノは自分たちが受けた攻撃がどんなものだったのかを理解する。
それと同時に、いつ設置したのかは分からないが、エルヴィーノによって都合の良い場所に誘導されていたことに思い至る。
思わずでたその疑問に、デルフィーノも不確かな思いのため、若干曖昧気味に返事をした。
「そんな……」
「化け物が……」
冒険者ならAランク相当の実力がある自分たち4人を相手にしながら、何の違和感も感じさせずに魔法を設置していた場所に誘導する。
そんな常識外れのようなことを、エルヴィーノは難なくやりこなした。
そのことから、チプリアーノとエフィージオはエルヴィーノの実力の高さを垣間見たことで顔を青くした。
「これじゃあ戦いようがない!」
「どうしたら良いでしょう?」
【黒蛇】の組織の名をこれ以上下げるわけにはいかないため、この場から逃げるわけにはいかない。
デルフィーノの怪我を治療するためにも、少しでも早く倒さなければならない。
それなのに、どこに魔法が設置されているのか分からない状況で倒さなければならないなんて、戦いづらいことこの上ない。
そのため、チプリアーノとエフィージオは、今後の策をデルフィーノに求めた。
「我々でも気付かないほど違和感なく魔法を設置したということは、いくら奴が魔力操作の化け物でも多くの魔力を込めることはできないはず……」
「……つまり、高威力の魔法が飛んでくることはない……と?」
「あぁ……」
エルヴィーノがどこの魔法を設置したのかは分からないが、先程の魔法は3人を吹き飛ばす程度の魔力球が飛んできただけだ。
つまり、一撃で戦闘不能となる大怪我を負うような魔法が飛んでくることはないということだ。
「なるほど……」
「わかりました!」
デルフィーノとバンディーノの会話を聞いて、チプリアーノとエフィージオも今後の戦い方を理解した。
エルヴィーノがどこに魔法を設置しているかは分からないが、いつ衝撃を受けても良いように考えておけと言うことだ。
そして、衝撃を受けたとしても、その瞬間に踏ん張れば吹き飛ばされることは抑え込めるはずだ。
要は単純な発想だが、大雑把に言うと「我慢しろ!」ということだ。
「……よし! 行くぞ!」
「「「おうっ!」」
戦い方は決まった。
自分の怪我の治療のためにも、一刻も早く敵を倒すべく、4人はエルヴィーノに向かって行った。
エルヴィーノに斬られたデルフィーノは、血を撒き散らしながらバックステップして距離を取る。
「……さすがだな」
肩から斜めに斬り裂くつもりで放ったエルヴィーノの攻撃だったが、デルフィーノの胸の部分を斬るだけにとどまった。
というのも、斬られると思った瞬間、デルフィーノが体を捻って致命傷になる事を回避したからだ。
その無意識にも近い反射に感心し、エルヴィーノはデルフィーノのことを褒めた。
「時間の問題だがな」
たしかに即死は免れたが、その傷はかなり深い。
すぐに動けなくなるわけではないが、戦いが長引けば大量出血で命を落とすことになるだろう。
そう先を読んだエルヴィーノが呟く。
「このっ!!」
「待てっ!」
【黒蛇】頭領であるデルフィーノが斬られたことで、バンディーノたちが怒りの表情を浮かべる。
そして、その感情のままエルヴィーノに襲い掛かろうとした。
しかし、それをデルフィーノ止める。
「むやみに接近しても、さっきの良く分からない攻撃を食らうぞ」
「たしかに……」
全員が連携して襲い掛かったというのに、どこからともなく出現した魔力球を食らったことでデルフィーノは深手を負った。
そのからくりが分からない状態で攻めかかっても、また同じように誰かが斬りつけられることになる。
そうならないために、デルフィーノはバンディーノたちを止めたのだ。
「何か気付いたか?」
「自分は何も……」
「俺もです」
エルヴィーノを倒すには、先程の攻撃がどのようにして行われたのかを読み解く必要がある。
答えを導くためのヒントを求め、デルフィーノは3人に問いかける。
その問いに、チプリアーノとエフィージオは首を左右に振って返答した。
警戒していないところで、あまりにも一瞬の事だったために、どんな風にして魔力球が飛んできていたのか分からなかったようだ。
「一瞬魔法陣が出たような気が……」
衝撃を受ける直前のことを思い出し、バンディーノはふと感じたことを告げる。
しかし、確信がないため、尻つぼみのように声が小さくなる。
「……まさか、設置型魔法か……?」
「設置型……魔法ですか?」
バンディーノの言葉を受けたデルフィーノは、少し間をおいてあることに思い至り声を漏らす。
聞いたこともない魔法に、バンディーノたち3人は首を傾げた。
「その名の通り、特定の場所に設置する魔法のことだ。魔法は発動する瞬間だけ魔法陣が出現する。バンディーノの見た事と合う」
ピンと来ていない様子の3人を見て、デルフィーノは説明を始める。
「……と言うことは、我々は奴が魔法を設置した誘導されたということでしょうか?」
「恐らく……な」
デルフィーノの説明を受け、バンディーノは自分たちが受けた攻撃がどんなものだったのかを理解する。
それと同時に、いつ設置したのかは分からないが、エルヴィーノによって都合の良い場所に誘導されていたことに思い至る。
思わずでたその疑問に、デルフィーノも不確かな思いのため、若干曖昧気味に返事をした。
「そんな……」
「化け物が……」
冒険者ならAランク相当の実力がある自分たち4人を相手にしながら、何の違和感も感じさせずに魔法を設置していた場所に誘導する。
そんな常識外れのようなことを、エルヴィーノは難なくやりこなした。
そのことから、チプリアーノとエフィージオはエルヴィーノの実力の高さを垣間見たことで顔を青くした。
「これじゃあ戦いようがない!」
「どうしたら良いでしょう?」
【黒蛇】の組織の名をこれ以上下げるわけにはいかないため、この場から逃げるわけにはいかない。
デルフィーノの怪我を治療するためにも、少しでも早く倒さなければならない。
それなのに、どこに魔法が設置されているのか分からない状況で倒さなければならないなんて、戦いづらいことこの上ない。
そのため、チプリアーノとエフィージオは、今後の策をデルフィーノに求めた。
「我々でも気付かないほど違和感なく魔法を設置したということは、いくら奴が魔力操作の化け物でも多くの魔力を込めることはできないはず……」
「……つまり、高威力の魔法が飛んでくることはない……と?」
「あぁ……」
エルヴィーノがどこの魔法を設置したのかは分からないが、先程の魔法は3人を吹き飛ばす程度の魔力球が飛んできただけだ。
つまり、一撃で戦闘不能となる大怪我を負うような魔法が飛んでくることはないということだ。
「なるほど……」
「わかりました!」
デルフィーノとバンディーノの会話を聞いて、チプリアーノとエフィージオも今後の戦い方を理解した。
エルヴィーノがどこに魔法を設置しているかは分からないが、いつ衝撃を受けても良いように考えておけと言うことだ。
そして、衝撃を受けたとしても、その瞬間に踏ん張れば吹き飛ばされることは抑え込めるはずだ。
要は単純な発想だが、大雑把に言うと「我慢しろ!」ということだ。
「……よし! 行くぞ!」
「「「おうっ!」」
戦い方は決まった。
自分の怪我の治療のためにも、一刻も早く敵を倒すべく、4人はエルヴィーノに向かって行った。
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