復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

文字の大きさ
26 / 179
第1章

第26話 返り討ち

しおりを挟む
「こちらが金額になります」

 Aランク冒険者パーティーとの揉め事によって、限は彼らの全財産を没収した。
 それを全て売却して手に入れた金額が、ようやく提示できるという報告を受けて、限たちは冒険者ギルドへ顔を出した。
 受付の女性から明細書を受け取ると、合計金額をが書かれている部分を指差してくれた。

「……はい。確認しました」

 書かれている内容を確認し、限はこの内容で了承したことを示すために受け取り書にサインをする。
 少し待たされることになったが、これでこの町にいる理由もなくなった。
 そのため、限たちは寝泊まりしていた宿屋を引き払い、小人族のゼータを故郷へ送る旅を再開することにした。

「あいつら結構溜め込んでいやがったな……」

「かなりの金額でしたね」

 町の外へと向かう道すがら、明細書のに書かれた合計金額を見ながら、限は人の悪そうな笑みを浮かべる。
 さすがAランクの冒険者パーティーになっただけのこともあり、しばらく何もしないでも余裕で食べていけるだけの財産を所持していた。
 正式な契約によるものとは言え、全くの慈悲もなく財産を奪い取っているのにもかかわらず、元とはいえ聖女見習いだったレラは、限のことを止める気配はない。
 それどころか、短期間で大金を手に入れた限を褒めるような傾向になっている。

「これで一気にゼータを送り届けられるな」

 街中では小人族である自分が見られると面倒なことになるため会話ができないゼータは、レラのポケットの中から手だけ出して、ナイスとばかりに限へサムズアップした。

「じゃあ、早速ヴェールデへ向かうか?」

「はい!」

 これまでは宿泊費や移動資金を稼ぎながらの移動をしていたのだが、これだけ資金があるならもう一気に進んで行っても大丈夫そうだ。
 ヴェールデへ向かうことにした限たちは、南へ向かうため王都の門をくぐった。






「予想通りの展開だな?」

「ですね……」

 限たちが馬車に乗らずわざわざ徒歩で外へ出たのには意味がある。
 町中から付けられている感覚から、今のような状況になることがようそうしていたからだ。

「おいっ! 全部置いて行ってもらおうか?」

 限たちに全財産を奪われたAランク冒険者パーティーの3人と、彼らに雇われたのか多くの冒険者や荒くね者たちが限たちの前に立ち塞がり、まさかの盗賊まがいの台詞を言い放ってきた。
 いや、まがいというよりも盗賊と言ってもいい。
 巻き添えにならないように馬車に乗らなくて正解だったようだ。

「冗談だろ? お前らマジで言ってんのか?」

「当たり前だろ! 俺たちの金を返せ!」

 槍使いの男、確かカトゥッロとか言う名前の男が、限たちに対しておかしなことを言って来る。
 限とアルマンドの戦いで、限が勝ったら全財産を支払うという契約になっていた。
 カトゥッロたちもその書類にしっかりサインしていたのだから、負けてから文句を言うのはどう考えても頭がおかしい。
 
「あの真面目君とボコボコにしてやった奴がいないな?」

 限が気付いたように、真面目君ことアルマンドとボコボコにしたルッジエロの姿が見えない。
 こいつらのことだから、またアルマンドに気付かれないようにこのような計画を立てたのだろう。
 前回、限たちにちょっかいをかけてきた張本人であるルッジエロがいないのも、ある程度理由は思いつくが、とりあえず聞いてみることにした。

「アルマンドには教えるわけないし、ルッジエロはお前にやられてから大人しくなっちまって、誘いにも乗ってこなかったんだよ」

「あっそ……」

 ルッジエロには限たちにちょっかいをかけた責任として、念入りに痛めつけたことがトラウマになったのだろう。
 そうなっても構わないつもりでボコボコにしたのだが、どうやら成功していたようだ。
 予想通りの返答に、限は興味なさげに呟いた。

「お前たちもルッジエロって奴と同じように大人しくしていれば死なずに済んだのにな……」

「何っ!?」

 30人程の戦闘自慢たちを連れてきているのに、どうして自分たちが死ぬことになるのか。
 カトゥッロは限の言葉の意味が分からない。

「アルバ、レラたちを頼むぞ?」

「ワウッ!!」

 この状況になるのを予想していたということは、どうするかも決めていた。
 予定通りアルバにレラたちのことを任せ、限は一人で集団に向かってゆっくり近付いて行った。

「何だ? この人数と面子相手にやろうってのか?」

 素直に所持品を置いて行くのなら見逃してやろうと思っていたのだが、全くそんな素振りを見せずに寄って来る限に、カトゥッロたちだけでなく他の者たちも怒りを滲ませる。
 まるで自分たちのことなど相手にならないと言っているかのようだ。

「何を条件についてきたのか知らないが、お前ら殺されても文句ないんだろ?」

 近付きながら、限はゆっくりと右手で刀の柄を握る。

「てめえ! 調子に……」

 余裕そうな限へ、集団の一人が限へ向かって怒号を飛ばそうとした。
 しかし、それが言い終わる前に、限はその男の目の前へと接近していた。

「っ!!」

“ニッ!!”

 男が限の姿を確認して目を見開いた頃には、笑みを浮かべた限の振った刀が首へと迫っていた。
 そして、次の瞬間には血しぶきを巻き散らし、何かを発することができない肉片へと変わっていた。

「お前! いきなり……」

「何だ? 今から斬り殺しますよって言ってからかかって来いとでも言いたいのか?」

 いきなり斬りかかった限に、カトゥッロが非難めいたことを言おうとする。
 しかし、これだけの人間を集めておいて、そんなことを言われる筋合いがないので、バカにしたようにカトゥッロを咎める。
 何も返せなくなったカトゥッロを無視し、限は刀を振り回して敵たちを屠っていった。 






“ドサッ!!”

「ヒッ、ヒ~……!!」

 30人程いた冒険者や荒くれ者たちは、限によって一人残らず骸と化した。
 辺り一面が血の海へと変貌を遂げ、多くの四肢が散らばる中、限は全身返り血で染まった状態のままゆっくり足を進める。
 もう残っているのはカトゥッロ、ファブリツィオ、デチモのAランクパーティーだった3人のみ。
 彼らの武器である槍、弓、魔法も全く通用せず、わざと最後に残された状況だ。
 自分たちも地面に散らばっている他の者と同様に斬り殺されると分かり、3人は恐ろしさから腰を抜かして動けないでいる。

「う、うぅ……助けて……」

「オイオイ! 泣くなよ。Aランクだろ? 潔くかかって来いよ!」

 弓使いのファブリツィオは、恐ろしさのあまり泣き出してしまった。
 あまりにもみっともない反応に、限は思わず檄を飛ばす。
 しかし、むしろそれすら恐ろしいのか、小さく縮こまってしまった。

「う、うわー!!」

「おっと!!」

「がっ!!」

 ファブリツィオの相手をしているのを隙と判断したのか、魔法使いのデチモは見苦しくこの場から逃げ出そうとした。
 しかし、限が逃がす訳もなく、ファブリツィオに追いついて首を斬り飛ばした。

「駄目だろ? お前らのせいでこんなに死んでんだから……」

 もう何も聞こえない状態のファブリツィオの首に対し、限は注意するように告げる。

「………………」

「……静かに逃げようとするなよ!」

「ギャッ!!」

 恐怖で縮こまったのは演技だったのか、音を立てないようにデチモが逃げ出そうとしていた。
 それに気付いた限は、ツッコミを入れるが如く刀で心臓を突き刺した。

「あ、あぅ……」

 これで残ったのはカトゥッロのみ。
 仲間や雇った者たちは全員死んでしまった。
 まさか限がここまで恐ろしい強さをしているとは思っていなかったため、カトゥッロは口をパクパクして呻くことしかできなくなっていた。
 完全に誤算だった。
 限を脅して財産を奪い返し、雇った者たちへ依頼した時の条件通りに資金を払って、少しでも気持ちをスッキリさせたかった。
 ただそれだけだったのだが、蓋を開けてみれば限によって全滅させられた。
 こんなDランク冒険者がいるなんて思わず、ちょっかいかけた自分たちが愚かだったとようやく理解したのだった。

「じゃあな!」

 目の前に立つ限が刀を振り上げて一言呟くと、次の瞬間にカトゥッロの意識はなくなった。

「さあ、行こうか?」

「はい!」

 大量殺害をしたばかりなのに、もう興味が失せたような反応をし、限はレラたちと共に南へ向けて歩き出したのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...