復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

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第3章

第67話 全焼

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「限様は順調のようね」

「キュッ!」

 遠くから悲鳴が聞こえてくる。
 それを確認したレラは笑みを浮かべ、限の従魔のニールも頷きを返す。
 悲鳴が聞こえてくるということは、限の目的が達成されているという証明でもあるからだ。
 度重なる人体実験に対する報復行為。
 人や動物、更には魔物の命までも、実験と言う名のもとに好き勝手して来たのだから、ここにいる研究員たちだって殺されても文句は言えない。
 自業自得だ。

「こちらはこちらで動かないと」

 研究員の殺害は限の役割。
 自分の役割は、この研究所に蓄えられた実験データの処理だ。
 そのためにも、限に渡された地図をもとに、別行動のレラは資料室と思われる部屋へと向かった。

「ここね……」

「っ!? 何だ!?」

 資料室を見つけたレラは、躊躇うことなく部屋へと入る。
 すると、部屋の中には資料を手にした研究員がいた。
 突然入室してきたレラに、その研究員は慌てて声を上げる。

「ハッ!」

「がっ!」

 入室前から魔力を練っていたレラは、すぐさま火球の魔法を放つ。
 その火球によって研究員を殺すと共に、資料室内に火をつけた。

「ハッ! ハッ!」

 これまでどれだけの命を使って研究してきたのか分からないが、膨大な資料を始末するためにレラは火魔法を放ちまくる。
 燃え広がった火によって、加速度的に資料が焼却されて行った。

「ここはもういいですね。次に行きましょう」

「キュッ!」

 資料室らしき場所はここだけではない。
 他の資料も処理するために、レラは他の部屋へと移動を開始した。





「あと42人……」

 レラが資料室に火をつけてデータの処理を進めるなか、限の研究員たちの始末も順調に進んでいた。
 解剖室に駆け付けた6人を始末して研究所内を移動していると、研究員の反応が1人減った。
 そちらにはレラが向かったことから、遭遇したレラが始末したのだと限は判断した。
 その1人を減らし、残りの人数を呟いた限は、数人の研究員が集まっている場所へと移動した。

「食堂か……」

 30人以上の研究員を探知できた場所へ行くと、限は納得したように呟く。
 これだけの人数が集まるような研究がおこなわれているのかと思ったのだが、ただ夕食を取っていただけのようだ。

「何だったんだ? あの悲鳴は……」

「知るかよ!」

「実験体が逃げ出したのか?」

 どうやら、限が他の場所で研究員を殺した時の悲鳴が、ここまで届いていたようだ。
 アクシデントに弱いのか、食堂内にいる研究員たちは慌てた様子で言葉を飛ばし合っている。

「……34か」

 食堂内に入る前に、限はなかに何人いるかを数える。
 そして、数え切ったあとすぐに動いた。
 ゆっくりと食堂内へと入ると、限は研究員たちに対し左手を向ける。

「んっ?」

 喧々囂々けんけんごうごうしていた研究員たちは、突如入ってきた限に気付く。
 気付いたとしても戦闘の心得が全くないため、何かする訳でもない。
 そのため、次の瞬間限の左手から放たれた魔法に対処できない。

「「「「「…………!!」」」」」

 限から放たれた無数の風の刃。
 それがこの場にいる研究員たちに襲い掛かる。
 何もできない彼らは、悲鳴を上げる間もなく細切れの肉片へと変わっていった。

「気付いたか……」

 侵入してからここまで数分。
 その間に領兵が駆けつけてくることはなかった。
 それもぞのはず、限たちの行動が迅速だったためだ。
 限の虐殺による悲鳴が聞こえたのか。
 それともレラが資料消去のために起こした火災に気付いたのか。
 どちらにしても、領兵たちが地下の研究所へ向かって来ているのが探知できた。

「残り8人、急ぐか……」

 研究員は皆殺しにするつもりだが、ここの領兵はできる限り殺したくない。
 限がここに侵入したのはあくまでも復讐対象の研究員と、これまで色々な生物の命を使って得た研究資料の処分だ。
 その邪魔をするのなら仕方がないが、むやみやたらに人殺しをする敷島の人間のようなことはしたくない。
 領兵の邪魔を受けて研究員に逃げられることは避けたい限は、残りの研究員を始末するために、これまでよりもペースを上げることにした。





「ゲホッ! ゲホッ!」

「っ!! 火事か!?」

 研究所の上の階にいた領兵たちは、階段から降りてきて煙に咳き込む。
 何やら騒がしいと思って降りて来てみたら、その原因が火事だと理解した。

「水魔法の得意な奴は鎮火に当たってくれ!」

「他は研究員たちの避難誘導に向かうぞ!」

「了解した!」

 地下へと降りてきた領兵たちは、手分けしてことに当たることにした。
 鎮火に当たる者たちと、研究員たちを避難させるための誘導係だ。

「くっ! 火の手が速い……」

 分かれた領兵のうち、鎮火に向かった者たちは水魔法で火を消しにかかる。
 どこから火の手が上がったのか分からないが、火の勢いが強い。
 そのため、水を撒いても全然消える様子がない。

「おいっ! こっちは資料室がある方じゃなかったか?」

「マジか!? これじゃあ、これまでのデータが水の泡じゃないか!!」

 特に火の手の強い方を見つけ、領兵たちは慌てたように声を上げる。
 資料室が集中している方向だったからだ。
 この火の強さでは、資料は全焼してしまうだろう。
 これまで多くの生物を犠牲にして積み上げてきた苦労が全て水の泡になってしまう。
 領主がいない間にこのようなことになってしまい、兵たちは必死になって消火活動に当たった。

「誰かいないかー?」

「おかしいな……反応がない」

 火消しに向かった者たちと反対に向けて移動した誘導班の領兵たちは、大きな声を上げて研究員がいないかを探していた。
 しかし、何の反応もなく、なんとなく違和感を覚える。

「転移魔道具の方へ逃げたのか?」

「いや、あっちの方から煙が出ているんだから、それはないだろ……」

 研究員が一人もいない。
 それはどう考えてもおかしい。
 というのも、地下から研究員たちが出入りできる場所は2ヵ所しか存在しない。
 限たちが利用した転移の魔道具がある部屋と、領兵たちが下りてきた階段しかない。
 その中でも、転移の魔道具がある方は煙と炎に包まれていて、逃げるには危険すぎる。
 そうなると階段になるのだが、誰も登って来ていないというのはおかしい。

「っ!! おいっ!!」

「んっ? なっ!!」

 領兵たちが部屋の中も見て回っていると、ある部屋で1人の研究員が倒れているのを確認した。
 どうしたのかと兵たちが駆け寄ると、研究員の周りに血溜まりができていた。

「おいっ! どうした!?」

「…………駄目だ。もう息をしていない」

 脈を取ってみるが、どうやらもう死んでいるようだ。
 仕方がないので、1人の兵に遺体を運ばせ、兵たちは研究員たちの捜索を再開した。

「うっ!!」

「な、何だこりゃ……」

 時間的にも食事をしているはずだと思った兵たちは、食堂へ向かう。
 しかし、食堂に入って兵たちは顔を顰める。
 大量の人間のらしき肉片が、血の海と共に転がっていたからだ。
 実験体が逃げた形跡はない。
 それなのに、地下にいた研究員たち67人は、一人残らず何者かに殺されていた。
 訳が分からないが、兵たちは研究員たちの遺体を移動させ、全員が外へと避難をした。
 火の手の上がった地下施設はもとより、領主邸もほぼ全焼するという結果になった。

「フッ! 人数が少なかっただけに簡単だったな……」

「はい。大成功です」

 翌日多くの市民たちが焼け跡を見に来るなか、限たちもその野次馬の中に入って様子を窺う。
 犯人が現場に戻るというのは本当らしい。
 地下施設の全焼が確認できた限たちは、静かにその場から立ち去っていったのだった。

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