復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

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第4章

第98話 捕縛

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「限様……」

「あぁ……」

 レラが限に声をかける。
 その声掛けは何を意味しているのか分かっているため、限も短く返事する。
 敷島の人間が、全滅という敗北を喫してそのままにしておくはずがない。
 菱山家を潰した人間を見つけるべく、帝国内に密偵を送って探りを入れてくることが予想できた。
 そのため、菱山家を潰した後、限たちは帝国内で生活をし、アデマス王国との国境沿いの砦に入る人間を見張っていた。
 すると、予想通り敷島の人間が砦内に潜入するのを発見した次第だ。

「五十嵐家の一派か……」

 潜入者の顔を見た限は、敷島にいた頃の記憶を探る。
 すると、覚えのある顔の人間がいた。
 五十嵐家の配下の人間だ。

「どうなさいますか?」

「……まずは捕まえる。そして、人数とアジトを吐かせる」

 敷島の人間なら、始末するのみ。
 それをするにしても、各子撃破していては時間がかかってしまう。
 やるなら一網打尽にするに限る。
 そのため、諜報員の1人を捕まえて、潜んでいる五十嵐家の人数と潜伏先を吐かせてから殲滅するべきだ。
 そう考えた限は、レラに敷島の諜報員を捕縛することを告げた。

「じゃあ、行って来る」

「はい」

 レラに一言告げた限は、五十嵐家の人間を捕縛するために砦内へと入った。





「勝利したからといって、防備が甘いな……」

「全くだ。これで警戒しているつもりらしいぞ」

 砦内に入った五十嵐家傘下の者は、先に潜入していた仲間と落ち合う。
 そして、小さい声で会話を始める。
 攻め込んで来た敷島の人間を全滅させうことに成功したなんて、これまでの歴史上帝国が初めてのこと。
 そのことに沸いているのは分かるが、そのせいで警備が甘くなっている。
 五十嵐家配下の諜報員が、数人入っていることにまだ気づいていないようだ。

「……どうだ?」

「全くだ……」

 先程潜入した諜報員は、話を始めるために短い言葉で問いかける。
 問いかけられた者は、首を左右に振って返事をした。
 五十嵐家当主の光蔵の指示を受け、菱山家を全滅させたと言われる帝国兵を探していた。
 しかし、潜入した砦内の帝国兵を探っても、全く情報が入って来ない。

「どうやら、帝国側も把握していないようだ」

「何だと……? 味方のことを把握していないなんてどういうことだ?」

 菱山家を全滅させるほどの活躍を果たした帝国兵だ。
 さぞ帝国内では有名になっていることだろうと考えていた。
 しかし、帝国側は勝利を喜んではいるが、その立役者が誰なのかが分かっていない様子だ。

「……もしかして帝国の人間ではないのか?」

「そう考えるしか……」

 帝国が把握していないとなると、帝国以外の国の人間の可能性が思い浮かぶ。
 それならば、帝国側が把握していないという今の状況も理解できる。

「そうなるとどこの国の人間だ? ミカゲリにそんなのがいるとは聞いていないぞ」

「……そうだな」

 帝国の人間ではなく他国の人間だとすると、可能性が高いのは隣のミカゲリ王国だ。
 同じ敵を倒すために送り込んだのかもしれない。
 しかし、そう考えるとまた疑問が湧いてくる。
 ミカゲリ王国に、菱山家の人間を全滅させることができる実力者がいると聞いたことが無い。

「念のため、光蔵様にミカゲリの調査もしてもらうか?」

「それがいいかもしれないな」

 隠している様子はないため、これ以上帝国内を捜索するのは無駄かもしれない。
 それならば、他の国の捜索に力を入れた方が良いかもしれない。
 そう考えた2人は、指揮官である光蔵に進言することにした。

「それじゃあ、そろそろ脱出するか?」

「あぁ」

 これ以上ここの調査を続けても意味がない。
 そう判断した2人は、一旦脱出して上司である光蔵に報告して、今後の判断を仰ぐことにした。

「がっ!!」

「っっっ!?」

 2人して砦から脱出をしようとした時、突如諜報員の1人が呻き声を上げて倒れた。
 もう1人の諜報員は、何が起きたのかと驚く。
 すると、倒れた仲間の背に、ナイフが深く刺さっていることに気付いた。

「捕虜は片方だけで良いからな」

「なっ!? うぐっ!!」

 音もなく忍び寄り片方を殺った限は、もう片方の背後へと回る。
 そして、独り言を呟くと共に、残った諜報員の首筋に手刀を打ち込んで気を失わせた。





◆◆◆◆◆

「……これはどういうことだ?」

「た、確かにおかしいですね……」

 五十嵐光蔵はイラ立ちと共に部下に話しかける。
 部下の男は、不機嫌な光蔵の言葉に同意するように呟く。
 菱山家を滅亡させた人間の捜索と調査をさせるために、砦内に諜報員を潜入させた。
 予定では、その諜報員たちもう戻ってきてもいいはずだ。
 それなのに、一向に帰ってくる様子がない

「砦内で何かあったか……」

 潜入者が帰ってこないということは、極稀だがある。
 いくら敷島の人間が潜入技術に優れていると言っても、僅かな違和感から察する目聡い人間がいる場合がある。
 もしかしたら敷島の人間だと身元がバレて、捕まったか殺されてしまったのかもしれない。

「五十嵐家傘下の者でも、潜入巧者を送り込んだのですが……」

 身元がバレる可能性は低い。
 敷島の人間が、何度も任務を失敗する訳にはいかない。
 今回失敗すれば、五十嵐家は確実に潰れる。
 そうならないためにも、潜入者は慎重に選んだ。

「菱山家の人間を全滅させた人間だ。そういった探知にも優れているのかもしれない」

 巧者であるはずの潜入者を捕縛、もしくは殺害する。
 菱山家程の者たちを全滅させるような人間なら、それができてもおかしくない。

「それでは……」

「あぁ、砦内にいるのだろう」

 菱山家を潰した人間は砦内にいる。
 そう考えれば、潜入者たちが戻ってこない理由がわかる。

「潜入特化でダメなら、戦闘特化で挑めばいい」

 今回は潜入に特化した精鋭を送り込んだ。
 しかし、それでは敵を倒すことは難しいことが分かった。
 それならば、戦闘を得意とする者を送り込めばいいことだ。

「兵を集めよ! 一気に砦内に侵入し、勝負をかける!」

「了解しました」

 敵は砦内という空間の戦闘では身動きしずらいはずだ。
 そういった場所の戦闘も訓練している敷島の人間なら、潰すことも可能なはずだ。
 そう考えた光蔵は、部下に兵を集めることを指示した。

「父上!」「お義父上!」

「奏太、奈美子……」

 兵の召集に向かった部下と入れ替わり、光蔵の息子の奏太が婚約者の奈美子と共に室内へと入ってきた。

「父上、敵への止めは私たちにお願いしたい!」

「父の……、一族の恨みを晴らすためにもお願いします!」

 菱山家は全滅したが、五十嵐家に嫁ぐ奈美子だけは参加しなかったため、難を逃れた形になった。
 父や一族の者たちの無念を晴らさなければ、美奈子はこれから先も悔やみ続けることになる。
 そんな奈美子の思いを組んで、奏太は共に仇討ちの権利を父に進言したのだ。

「分かった。だが、確定はできないぞ?」

「ハイッ!」「ありがとうございます!」

 敵は強いことが分かっている。
 仕留められる時に仕留めるのが鉄則のため、奏太と奈美子に止めを刺させるように弱らせるなんてできるか分からない。
 そのため、光蔵は進言を受け入れつつも状況次第ということにした。

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