復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

文字の大きさ
124 / 179
第5章

第124話 対峙

しおりを挟む
「くそっ!!」

「どうなっているんだ!?」

「何で強化兵が全滅するんだ!?」

 強化兵たちが全滅したことを知らされ、砦の外をアデマス軍が囲み始めたことにより、砦内にいる三島家・山科家・南川家の当主たちは、慌てたように声を張り上げていた。
 ここまで強化薬を使用した兵によって、苦も無く敵を追い詰めていた。
 それなのに、どうして急に強化兵が全滅するようなことになったのか理解できないでいたからだ。

「まさか……」

「どうした? 三島殿……」

 戸惑いを見せる中、1人三島が何かを思いついたかのように呟いた。
 その呟きに、山科が反応する。

「あの強化兵たちが使用した薬は欠陥品だったのでは?」

 強化兵が全滅したのは、突然苦しみだし、戦える状況ではなくなったからという報告だった。
 これまで順調だったというのに突然そんなことになるということは、必ず原因があるはずだ。
 そこで三島が思いついたのは、使用した薬が欠陥品だったからではないかと結論付けたようだ。

「……何故そう思うのですかな?」

 三島の疑問に、南川が質問で返す。
 彼がそう思う理由が知りたいからだ。

「我々は斎藤…王の策に賛同したのが最後だった」

「あぁ、それゆえこのように、残ったアデマス貴族の始末を言い渡されたわけです」

 アデマス王国を、敷島の人間が乗っ取る。
 その考えを斎藤家当主重蔵から知らされた時、この三家は反対をした。
 しかし、重蔵が他家の当主たちの協力を得ることに成功したという話を聞いて、彼らも協力をする事を申し出た。
 そのため、王となった重蔵の心証からすれば、敷島の他家よりも下に置いているに違いない。
 三島のその考えに、山科と南川も賛同する。
 この仕事を任されていることこそが、重蔵にとってはそういう位置づけでいるということの証と取れる。
 このようなアデマス貴族の掃討などと言う仕事は、自分たちでなくてもいいはずなのだから。

「もしかしたら、あと少しの所で我々をワザと失敗をさせようと考えているのでは……?」

「まさか……」

「そんな……」

 三島の意見に、山科と南川はいくらなんでもと言おうとした。
 だが、彼らも完全には否定できないでいた。
 斎藤家当主の重蔵のアデマス王国奪取というに案に、予想以上の家がすぐに賛成の意を示した。
 今世の敷島の者たちの間に、自分たちはアデマス王国の支配下に収まっている器ではないという思いが燻っていたからだろう。
 菱山家と五十嵐家が無くなってしまったことで、完全に歯止めを失ったと言って良い。
 その菱山家と五十嵐家と関係のあった自分たちは、敷島内で生き残るためにも最後に賛成するしかなかった。
 国の奪取に成功して王となった重蔵からすると、自分たちのような存在は、いつ裏切るか分からない目の上のたん瘤でしかない。
 これから敷島の者を中心とした国を盤石なものにするためにも、早期に処分するという考えを持っていてもおかしくない。
 処分するにしても、何らかの理由がなければならない。
 その理由が、今この時なのかもしれないということだ。 

「……そう考えると、撤退は駄目だ」

「あぁ、何としてもこの場で乗り切らなければ……」

「我々が生き残る術はない!」

 強さに自信がある彼らだが、敵との数を考えると勝利する見込みはかなり低い。
 それでも、ここで撤退をすれば自分たちは任務失敗の責を負われ、何かしらの処罰を受けることになる。
 それが当主である自分たちだけで済めば良いが、一族全員粛正されるという可能性もあるかもしれない。
 勝てるか分からないからと言っても、この場からの撤退という選択は取れない。
 この場で何としても敵を抑え込むことを決意し、3人は部下たちに徹底抗戦の命令を課すことにした。





◆◆◆◆◆

「フンッ!!」

「ぐあっ!!」「ギャッ!!」

 砦から出てきた敷島の者たちは、アデマス軍側の兵を刀でバッタバッタと斬り殺していく。
 敷島が1人に対し、アデマス軍の兵は多人数で囲んでの戦闘を仕掛ける。
 数的有利ではあってに実力が違い過ぎるため、アデマス軍の兵の減りが激しい。

「クッ!! 一騎当千とはよくいったものだ……」

 多数で囲んで攻めかかっても、多少の怪我を負わせることはできても致命傷を与えられない。
 恐らく、これまでの戦法からいって、今砦の外に出てきている者たちは敷島の中でも下っ端のはず。
 その下っ端を捨て駒にして、まずこちら側の数を減らすのが目的なのだろう。
 そんな下っ端ですらこれだけの強さをしているこの状況に、アデマス軍を率いるリンドンは忌々し気に歯噛みした。





◆◆◆◆◆

「よし、よし!」

「アデマスの兵は思っている以上に弱いぞ!」

「これなら奴らを撤退させることもできるかもしれない!」

 実力がある者の指示は絶対。
 捨て駒と分かりつつも、最初に敵へと攻めかかっていった者たちは指示に従い必死に戦う。
 まずは下っ端を送り込み、敵兵の強さを計る。
 三家の当主たちは、敷島にとってセオリーともいえる方法に出る。
 蓋を開けてみれば、下っ端の連中は期待以上に敵の数を減らしている。
 このままいけば、敵を退ける可能性が出てきたことに、彼らは僅かに安堵した。





「そうはいかないな……」

「「「っっっ!?」」」

 三家の当主たちに光明が見えた束の間、突如殺気を感じると共に何者かに話しかけられた。
 彼らが殺気を感じた方角に目を向けると、そこには1人の青年が立っていた。

「き、貴様!! 何者だ!?」

 気配も感じさえずに砦の防壁の上に立っていた青年に、三島が慌てて話しかける。

「三島・山科・南川……」

「っ!?」

「何故我々を……」

 砦の防壁の上に立つ男は、3人を見て小さく呟く。
 その呟きに、山科と南川が更に驚く。
 男が、名乗ってもいない自分たちのことを知っている口ぶりだからだ。

「……貴様、あの魔無しか……?」

「へ~……、その口ぶりからすると、やっぱりそっちは俺の存在に気付いているか……」

 男の顔を見た三島が、疑わし気に話しかけてくる。
 その質問に、防壁の上に立つ男こと、限は笑みを浮かべた。
 オリアーナが重蔵の側に就いている。
 そのことからも、自分が生きていることは敷島の者たちに知らされている可能性があると思っていた。
 島を追い出される前、三島なんてまともに会話をしたのは片手で数える程度だった。
 なのに、自分のことが分かるなんて、重蔵かオリアーナから知らされていたということだろう。
 
「親父に付いているんだ。お前たちには死んでもらう」

「何だと……?」

「魔無しごときが!」

「舐めるなよ!」

 復讐対象である重蔵の配下に就いている。
 それだけで、限にとっては彼らも殺害対象だ。
 限は殺意を込めて彼らに刀を向け、3人も刀を抜いて限に構えをとった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

処理中です...