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2学年 後期
第167話
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「グアァ……」
左手を斬り飛ばされたナタニエルは伸から距離を取り、痛みから呻き声を上げる。
「き、貴様!」
何度驚かされればいいのか。
自分にとって全力の移動速度による1撃を食らわせ、これまで舐めた態度をとっていた伸を、斬り殺してしまおうと思っていた。
いくら強くても、人間の子供が自分の速度に対応できるはずがない。
そう思っていたのに、速度に対応するどころか渾身の1撃をあっさりと受け止め、すぐさま反撃に転じてきた。
「……お前は…人間なのか?」
「……当たり前だろ。何に見えるんだよ」
自分を相手にここまで出来るなんて、とてもではないがまともな人間ではない。
というより、本当に人間なのかも疑わしい。
そう思ったナタニエルは、頭に浮かんだ疑問を思わず口に出していた。
聞かれた伸からすると、何を言っているのか分からない。
どこからどう見たって、自分は普通の人間だ。
「そんな事より、片腕でまだやる気か? さっきも言ったが、大人しく捕まれば生かしておいてやるぞ」
「……くっ!」
伸は、降伏するよう二度目の勧告をする。
それを聞いたナタニエルは、一度目の時は自分を舐めた発言だと怒りが湧いたが、二度目となると伸がそんなつもりで言っていないということに気付く。
本気で降伏を促しているのだ。
先程の攻防により、ナタニエルは実力差による余裕の発言だと分かったことで、何も言い返せなかった。
「まぁ、助ける代わりに、魔人に関して色々と話してもらうけどな」
去年から頻発する魔人の出現。
今年に関しては、日向だけでなく世界各地に出現し、多大なる被害を及ぼした。
大会開催に関し、魔闘師協会が王都内を捜索を行ったはずだ。
それでもナタニエルと数体の魔人たちが、大会終了と共に会場に出現した。
そのことからも、ナタニエルは何か他の魔人に関して知っていることがあるはずだ。
その情報を得られれば、今後現れるかもしれない魔人に対して対策が講じられるかもしれないため、この国や世界のことを考えるならナタニエルを捕縛したいところだ。
『人体体実験にも利用できるか……』
捕縛して魔人に関する情報を得るという中には、その生態に関してもだ。
魔人は、昔から魔物が進化した存在と言われている。
しかし、その強さから、人類は倒すことに必死で捕縛することなどできないでいたため、説を証明することができないでいた。
だが、伸なら捕縛も可能だ。
ナタニエルを捕縛して、実験体として魔人の生態を調べるのもいいかもしれない。
『どうにかして逃げるか? いや、そんな事をしても……』
自分の全速力にも平気で反応するような相手だ。
伸の強さは底が知れない。
片腕を失っていなかったとしても、自分が勝てるか分からない。
だからと言って、降伏して大人しく人間に捕まるなんて、魔人としてのプライドが許さない。
ならば、逃げられる可能性は低いかもしれないが、逃げて再起を計るべきか。
そう考えたナタニエルだったが、その考えをすぐに否定した。
何故なら、逃げられたとしても、作戦失敗が続いている無能は用無しと魔人のトップに立つバルタサールによる制裁が待っているはずだ。
なので、逃げるという選択はできない。
『ならば……』
捕まる訳にはいかない。
逃げることもできない。
それならば、自分はどうするべきかと考えたナタニエルだったが、すぐに答えは出た。
“スッ!!”
「我が名はナタニエル。魔人軍の将の1人」
勝てるとは思っていないが、捕まらず、逃げないためには、戦って勝敗を決するしかない。
考えが決したナタニエルは、右手に持った刀を伸へと向けて名乗りを上げた。
「……新田伸だ」
刀を構えたナタニエルの目を見て、伸は剣士としての覚悟が見て取れた。
魔人でありながら大した覚悟だ。
ふとそう思ってしまった伸は、その覚悟に応じてやることにした。
これまではダラリと構えていただけだったが、真面目に相手にする態度を示すために、名乗りと共に刀を構えた。
“ミシッ!!”“ミシッ!!”
少しずつ全身に纏う魔力を増やすナタニエル。
最大限まで身体強化し、全てを一撃に賭けるつもりなのだろう。
いくら魔人の肉体が人間よりも強靭だと言っても、耐えきれなくなってきたのか、ナタニエルの体は悲鳴を上げている。
「……グウ…ゥ……!!」
「…………」
体だけでなく、ナタニエル自身も声を漏らし始めた。
溜め込んだ魔力を抑えきれず操作ミスでもしようものなら、魔力の無駄どころか肉体が崩壊する可能性がある。
そうならないギリギリの所まで、力を溜め込むつもりなのだろう。
限界寸前まで溜め込んだ力により、伸に一撃加える。
その一撃を加えるためなら、その後のことなど考えないといっているようだ。
そんなナタニエルを、伸は黙って見つめる。
「ガアァーーー!!」
“ズドンッ!!”
これ以上は身が持たない。
そう感じ取ったナタニエルは、溜め込んだ力を解放する。
地面を蹴った瞬間に、爆発するようなが響き渡る。
脚の筋肉が切れるような感覚を覚えるが、それは最初から分かっていたこと。
そのため、ナタニエルは強烈な痛みを感じながらも気力でねじ伏せ、接近する速度そのままに突きを放った。
“フッ!!”
「っっっ!?」
突きが当たると思った瞬間、伸の姿がブレる。
僅かに横にズレることで、自分の突きを躱したのだ。
しかも、躱した伸はもう刀を上段に構えている。
自分の全速力に反応できるだけでなく、移動する速度も人間離れしているようだ。
先程、自分が力を溜めている間何もしなかったのも、躱せる自信があったから黙っていたのだろう。
その態度を見ていたことで、このように躱される可能性も感じ取っていたが、ギリギリまで引き付けて回避されては、次の攻撃に切り替える時間もない。
当然、伸の攻撃に反応することもできない。
「終わりだ」
「ゴハッ!!」
小さい呟きと共に、伸は上段に構えた刀を振り下ろす。
その一撃により、ナタニエルは体を斜めに斬り裂かれ、崩れ落ちた。
「捕まえたかったんだけどな……」
生かして捕まえるという選択も考えられたが、全身全霊を込めた一撃だったため、斬られてすぐに溜め込んだナタニエルの魔力は霧散した。
その反動も相まって、ナタニエルは崩れ落ちると共に息を引き取ってしまった。
他の魔人の情報を得たかったが、それが出来なくなってしまったため、伸は残念そうに呟いたのだった。
左手を斬り飛ばされたナタニエルは伸から距離を取り、痛みから呻き声を上げる。
「き、貴様!」
何度驚かされればいいのか。
自分にとって全力の移動速度による1撃を食らわせ、これまで舐めた態度をとっていた伸を、斬り殺してしまおうと思っていた。
いくら強くても、人間の子供が自分の速度に対応できるはずがない。
そう思っていたのに、速度に対応するどころか渾身の1撃をあっさりと受け止め、すぐさま反撃に転じてきた。
「……お前は…人間なのか?」
「……当たり前だろ。何に見えるんだよ」
自分を相手にここまで出来るなんて、とてもではないがまともな人間ではない。
というより、本当に人間なのかも疑わしい。
そう思ったナタニエルは、頭に浮かんだ疑問を思わず口に出していた。
聞かれた伸からすると、何を言っているのか分からない。
どこからどう見たって、自分は普通の人間だ。
「そんな事より、片腕でまだやる気か? さっきも言ったが、大人しく捕まれば生かしておいてやるぞ」
「……くっ!」
伸は、降伏するよう二度目の勧告をする。
それを聞いたナタニエルは、一度目の時は自分を舐めた発言だと怒りが湧いたが、二度目となると伸がそんなつもりで言っていないということに気付く。
本気で降伏を促しているのだ。
先程の攻防により、ナタニエルは実力差による余裕の発言だと分かったことで、何も言い返せなかった。
「まぁ、助ける代わりに、魔人に関して色々と話してもらうけどな」
去年から頻発する魔人の出現。
今年に関しては、日向だけでなく世界各地に出現し、多大なる被害を及ぼした。
大会開催に関し、魔闘師協会が王都内を捜索を行ったはずだ。
それでもナタニエルと数体の魔人たちが、大会終了と共に会場に出現した。
そのことからも、ナタニエルは何か他の魔人に関して知っていることがあるはずだ。
その情報を得られれば、今後現れるかもしれない魔人に対して対策が講じられるかもしれないため、この国や世界のことを考えるならナタニエルを捕縛したいところだ。
『人体体実験にも利用できるか……』
捕縛して魔人に関する情報を得るという中には、その生態に関してもだ。
魔人は、昔から魔物が進化した存在と言われている。
しかし、その強さから、人類は倒すことに必死で捕縛することなどできないでいたため、説を証明することができないでいた。
だが、伸なら捕縛も可能だ。
ナタニエルを捕縛して、実験体として魔人の生態を調べるのもいいかもしれない。
『どうにかして逃げるか? いや、そんな事をしても……』
自分の全速力にも平気で反応するような相手だ。
伸の強さは底が知れない。
片腕を失っていなかったとしても、自分が勝てるか分からない。
だからと言って、降伏して大人しく人間に捕まるなんて、魔人としてのプライドが許さない。
ならば、逃げられる可能性は低いかもしれないが、逃げて再起を計るべきか。
そう考えたナタニエルだったが、その考えをすぐに否定した。
何故なら、逃げられたとしても、作戦失敗が続いている無能は用無しと魔人のトップに立つバルタサールによる制裁が待っているはずだ。
なので、逃げるという選択はできない。
『ならば……』
捕まる訳にはいかない。
逃げることもできない。
それならば、自分はどうするべきかと考えたナタニエルだったが、すぐに答えは出た。
“スッ!!”
「我が名はナタニエル。魔人軍の将の1人」
勝てるとは思っていないが、捕まらず、逃げないためには、戦って勝敗を決するしかない。
考えが決したナタニエルは、右手に持った刀を伸へと向けて名乗りを上げた。
「……新田伸だ」
刀を構えたナタニエルの目を見て、伸は剣士としての覚悟が見て取れた。
魔人でありながら大した覚悟だ。
ふとそう思ってしまった伸は、その覚悟に応じてやることにした。
これまではダラリと構えていただけだったが、真面目に相手にする態度を示すために、名乗りと共に刀を構えた。
“ミシッ!!”“ミシッ!!”
少しずつ全身に纏う魔力を増やすナタニエル。
最大限まで身体強化し、全てを一撃に賭けるつもりなのだろう。
いくら魔人の肉体が人間よりも強靭だと言っても、耐えきれなくなってきたのか、ナタニエルの体は悲鳴を上げている。
「……グウ…ゥ……!!」
「…………」
体だけでなく、ナタニエル自身も声を漏らし始めた。
溜め込んだ魔力を抑えきれず操作ミスでもしようものなら、魔力の無駄どころか肉体が崩壊する可能性がある。
そうならないギリギリの所まで、力を溜め込むつもりなのだろう。
限界寸前まで溜め込んだ力により、伸に一撃加える。
その一撃を加えるためなら、その後のことなど考えないといっているようだ。
そんなナタニエルを、伸は黙って見つめる。
「ガアァーーー!!」
“ズドンッ!!”
これ以上は身が持たない。
そう感じ取ったナタニエルは、溜め込んだ力を解放する。
地面を蹴った瞬間に、爆発するようなが響き渡る。
脚の筋肉が切れるような感覚を覚えるが、それは最初から分かっていたこと。
そのため、ナタニエルは強烈な痛みを感じながらも気力でねじ伏せ、接近する速度そのままに突きを放った。
“フッ!!”
「っっっ!?」
突きが当たると思った瞬間、伸の姿がブレる。
僅かに横にズレることで、自分の突きを躱したのだ。
しかも、躱した伸はもう刀を上段に構えている。
自分の全速力に反応できるだけでなく、移動する速度も人間離れしているようだ。
先程、自分が力を溜めている間何もしなかったのも、躱せる自信があったから黙っていたのだろう。
その態度を見ていたことで、このように躱される可能性も感じ取っていたが、ギリギリまで引き付けて回避されては、次の攻撃に切り替える時間もない。
当然、伸の攻撃に反応することもできない。
「終わりだ」
「ゴハッ!!」
小さい呟きと共に、伸は上段に構えた刀を振り下ろす。
その一撃により、ナタニエルは体を斜めに斬り裂かれ、崩れ落ちた。
「捕まえたかったんだけどな……」
生かして捕まえるという選択も考えられたが、全身全霊を込めた一撃だったため、斬られてすぐに溜め込んだナタニエルの魔力は霧散した。
その反動も相まって、ナタニエルは崩れ落ちると共に息を引き取ってしまった。
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