地球育ちのおっさんが異世界で商売するようですよ?

もみじ

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第三章:魔境でのんびり商売します。

地球の料理は異世界の人に好評のようです。

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 外に出ると人が黒炎に巻かれていた。



 やっべ!早く助けねぇと。



 俺はエプロンを脱ぎ捨て炎の中に飛び込む。

「おいあんた、大丈夫か!?」

 うつぶせになって倒れている人を起こす。
 それは旅人風の格好をした白髪の老人だった。

「お、おぉ~、こんなところに人が、地獄に仏とはまさにこの事じゃ」

 ごめん爺さん、あんた爆破したのうちのバイト・・・なんてどの口で言えばいい!?とてもじゃないけど言えない!

「いや~、助かった助かった。危うくバジリスクのエサになるところじゃったぞ」

 え?

 爺さんの視線の先には真っ黒に焦げたバジリスクの死骸があった。

 たまたま放った爆裂魔法がたまたまバジリスクに当たってたまたま爺さん助けたのか?こんな偶然ってある?

 とにかく怪我がなくて良かった、俺はホッと胸をなでおろし爺さんをそこから運びだす。

「店長その人は?お客さんですか?お客さんですよね!」

 感激に目を光らせるアーシェ。
 
「お前、人を爆殺しかけてよくそんなこと言えるな?」

「まさかあの悲鳴・・・私の爆裂魔法のせいですか!?」

 そうだよ!一歩間違えれば爺さんあの世へ旅立つところだったよ!!

「あわわわわ、ごめんなさい!私取り返しのつかない事をしてしまいました」

 アーシェは今にも泣きそうな顔で頭を下げた。

「まあ、怪我の功名で爺さん助かったからいいけどさ、爆裂魔法はもうちょっと自重しような?」

「はい、今度撃つときはミニ爆裂にしときます」

 アーシェの奴全然懲りてねぇ・・・

「とりあえずアーシェ、爺さんに水を持ってきてくれないか?」

「はい!」

 アーシェは店に戻って水を持ってくる。

「おぉ~、かたじけない」

 爺さんはアーシェからコップを受け取った。

 ゴクッ、ゴクッ・・・

「ぷは~、生き返るわい!」

「爺さん怪我は大丈夫か?」

 爺さんは俺達に見せつけるように肩をぶんぶんと振り回した。

「この通りぴんぴんしてるわい!丁度バジリスクに出くわした瞬間に爆発が起きたからの、ナイスタイミングじゃったぞ」

 一歩間違えたら爺さんの方が丸焦げになってたけどな。

「ところで君達は何者じゃ?こんな危ないところで何をしておる?」

 いや、それはこっちの台詞!

「あそこに建物が見えるだろ?あれ俺の店、魔境の道中で商売してるんだ。俺は店長のゲン、こいつはバイトのアーシェ」

「店とな?こいつは驚いた、一体何を売っているのじゃ?」

「武器、アイテム、食事、宿、冒険者が欲しがりそうなものは一通り出してる」

「ほほう、しかしこんなところであきないして儲かるのかの?じゃが今のワシにとっては渡りに船じゃ、腹も減ったし何か食わせてくれんか?」

 そう言うと爺さんは金貨を出した。
 かなりの大金だ、こんなに金を持ってるなんてこの爺さん何者だ?

 それから俺は爺さんを店に案内する。
 食堂に入るとアーシェがメニューを持ってきた。

「ふむ・・・何じゃこれは!どれもモンスター料理ではないか?」

 バン!とメニューがテーブルに叩きつけられる。

「基本うちは自給自足なんで、あいにくとこんな物しかない置いてないですよ」

「何を言っておる!バジリスク、マンドレイク、ダゴン、どれもAランク以上のモンスターばかりではないか?町では絶対に手に入らない食材じゃ、一体どんな味がするのか非常に興味があるぞい。ぜひとも食べさせてくれ」

 あれ、意外に受けてる?まあ確かに珍料理ではある。

「じゃあ注文が決まったら店員アーシェを呼んで下さい」

 そして俺は厨房に入り料理の支度をした。




 それから十数分が経過する・・・




 あの爺さんまだ考えてる。

「よし!決めたぞい。お嬢ちゃん、注文じゃ」

 やっと決まったか。

 アーシェは爺さんから注文を受けて伝票を持ってきた。

 全く待たせやがって。
 もう鍋も釜も温まってる。いつでも料理出来る状態だ。

 ふむふむ、竜肉の竜田揚げ定食・・・てマジか!?うちで一番高いやつじゃねぇか?1食530万Gだぞ?あの爺さん払えるのか??

「アーシェ、注文間違えてないよな?」

 俺が確認するとアーシェは首を縦に振る。

「はい、確かにこの注文で間違いありません。もし食い逃げしようとしたら私の爆裂魔法でミンチにしてあげますよ」

 お前が言うとシャレにならん!

 爺さんは待ち遠しそうに厨房を見つめている。

 しょうがない、作ってやるか!

 俺は袖をまくった。




 まず鍋に油をたっぷり入れて火にかける、そして手のひらサイズのドラゴンの肉に醤油、片栗粉をまぶし油に投入。

 パリパリパリと音を立てて油が跳ねる。

 ドラゴンの肉は硬いからじっくり揚げないとな。

 その間キャベツ・小松菜・ニンジンを手際よく千切りにして皿に盛る。

 竜肉が揚がると油から出して包丁で一口サイズにカット、皿の上に竜田揚げを添え、その上に半月レモン、パセリで飾り付けしたら出来上がりだ。
 
 ご飯、味噌汁、福神漬けをトレーに並べてアーシェに持って行かせる。

 爺さんは珍しい料理に目を丸くした。

「ほほう、米とは珍しい、これはレモンか?肉にかけるのかの」

「お好みでどうぞ」

「ふむ」

 爺さんはレモンの汁を竜田揚げにかける。

 そして一口かじると

 ・・・

「うんまぁ~い!!!」

 突然大きな声を張り上げた。

「これがドラゴンの肉か!?外はカリッと、中はジューシー、そしてレモンの酸っぱさと肉汁の旨味が絡まって、なんちゅう食べ物じゃ!?しかもそれが米とこの汁物によく合う!」

 予想以上の反応だ。

「店長!君は一体何者じゃ!?これほどの腕があれば王国一のシェフになれるぞい」

 いやいや、もう忙しく働くのはごめんだ。

「ところで爺さん、今日は泊っていく?一応うち宿屋もやってるよ」

「本当に至せり尽くせりじゃの!?こんな魔境でふかふかのベッドにありつけるとは思わなんだ、もちろん泊っていくぞい。何、金なら腐るほどある」

 爺さんはどんとさらに大金を出す。

 こんな惜しみなく大金を出せるなんてマジこの爺さん何者だ?



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