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第四章:うちは自給自足で商売します。
アーシェ
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~アーシェ視点~
オプランターさんは私に自分の立てた武勲の数々を誇らしげに聞かせてくれました。でも本当はリグレットとお話がしたい、私は手紙を握りしめてそう思いました。
この手紙には私の思いが込められている、
あなたと出会って数日、私はあなたのことで頭がいっぱいで夜も眠れません。あなたを見る度に、あなたの笑顔を見る度に私の胸は岩に押しつぶされたように締め付けられます。きっとあなたは私がそうなっていることに気づいていないでしょうね?
しかし私にとってあなたに告白することは神に背く重大な違反行為です。元来、暗黒教を信仰する私達魔法使いは人と交わってはいけない、生涯を暗黒神ジャネスに捧げ、知の探究に勤しまなければならない。爆裂の心理に辿りつく、それが私の天命であり、使命なのです。
オプランターさん、お願いですからほんの少しで良いのでリグレットとお話しさせて下さい。
でも私がそう切り出そうとしてもオプランターさんの弾幕のように放たれる自慢話がそれを遮る。
うぅ・・・隙が無い。
私はリグレットの座っていた席を横目に見ながら苦虫を噛み潰します。
「あなた、さっきからリグレットのことをチラチラ見ているけれど彼に興味でもあるの?」
驚いたことに、なんとあのお妃様がオプランターさんの話をぶった切ってきました。
「え、あの、その・・・」
「その手に持っている物は何?手紙?見せてくれないかしら?」
「これはダメです!」
「あら、どうして?人に見せられない物なのかしら」
「そう言う訳では、でもダメなんです!」
お妃様は頬杖をついてニヤニヤしています。
「そう。でも一つ忠告しておくわ、もしリグレットに思いを寄せているのなら諦めなさい、あなたの恋は決して実らない」
オプランターさんが聞き捨てならぬと立ち上がる。
「なんと!アーシェさんはあんな優男に興味お有りか?見て下さいこの私の鍛え上げられた筋肉を、どこもかしこもカッチカチですよ。男はこうでなくては」
オプランターさんは上着を脱いでムキムキの体を見せつけてきますが私は無視します。
「どうしてですか?どうしてそんなこと言うんですか!?」
「あの子のことをよく知っているから、とでも言っておこうかしら。大人しくオプランターで我慢なさい」
どうしてお妃様はこんなにも私に意地悪なんでしょう?私はラブレターをくちゃくちゃにして言います。
「それでも私は・・・この思いをあの人に伝えたい!」
「察しなさい、あの子がリーシャと一緒に出たことを」
私の体に電撃が走りました。そんな・・・まさかリグレットとリーシャ姫がそういう関係だったなんて。そりゃそうですよね、あんなカッコいい人、他の女の子がほっとく訳ありません、お姫様となんてお似合いのカップルじゃないですか。それに比べ私なんて根暗だし、全身真っ黒だし、魔女だし、爆裂だし・・・
ふと店長の顔が頭に浮かびます。どうしてこんな時に?
そしてあの言葉が蘇ります。
“我慢する必要はない”
私はハッとしました。店長が折角作ってくれたこのチャンス、私は危うく無駄にするところでした。例えフラれようと、例え嫌われようとも構わない。
どうしてもこの思いを伝えたい!
だから!!
「察しません!この思いは本物だから!!」
お妃様が意地悪く笑います。
「フフ・・・結果自分が傷つくことになっても?」
「構いません、私は、私を応援してくれる人がいるから、私の背中を押してくれる人がいるから、あの人の答えが分かっていても勇気を出せる」
「そう、ならお好きにどうぞ?ワタクシはここであなたがフラれる様をこの美味しいお酒を飲みながら見ているわ」
私は負けません。
店長が陰鬱な顔で戻って来て、その後リグレットとリーシャ姫も揃って戻ってきました。
私は思いをつづった手紙を握りしめリグレットの前に立ちます。
リグレットは「?」と言った文字を頭に浮かべているようでした。私は手紙を両手で持ち差し出します。
オプランターさんは私に自分の立てた武勲の数々を誇らしげに聞かせてくれました。でも本当はリグレットとお話がしたい、私は手紙を握りしめてそう思いました。
この手紙には私の思いが込められている、
あなたと出会って数日、私はあなたのことで頭がいっぱいで夜も眠れません。あなたを見る度に、あなたの笑顔を見る度に私の胸は岩に押しつぶされたように締め付けられます。きっとあなたは私がそうなっていることに気づいていないでしょうね?
しかし私にとってあなたに告白することは神に背く重大な違反行為です。元来、暗黒教を信仰する私達魔法使いは人と交わってはいけない、生涯を暗黒神ジャネスに捧げ、知の探究に勤しまなければならない。爆裂の心理に辿りつく、それが私の天命であり、使命なのです。
オプランターさん、お願いですからほんの少しで良いのでリグレットとお話しさせて下さい。
でも私がそう切り出そうとしてもオプランターさんの弾幕のように放たれる自慢話がそれを遮る。
うぅ・・・隙が無い。
私はリグレットの座っていた席を横目に見ながら苦虫を噛み潰します。
「あなた、さっきからリグレットのことをチラチラ見ているけれど彼に興味でもあるの?」
驚いたことに、なんとあのお妃様がオプランターさんの話をぶった切ってきました。
「え、あの、その・・・」
「その手に持っている物は何?手紙?見せてくれないかしら?」
「これはダメです!」
「あら、どうして?人に見せられない物なのかしら」
「そう言う訳では、でもダメなんです!」
お妃様は頬杖をついてニヤニヤしています。
「そう。でも一つ忠告しておくわ、もしリグレットに思いを寄せているのなら諦めなさい、あなたの恋は決して実らない」
オプランターさんが聞き捨てならぬと立ち上がる。
「なんと!アーシェさんはあんな優男に興味お有りか?見て下さいこの私の鍛え上げられた筋肉を、どこもかしこもカッチカチですよ。男はこうでなくては」
オプランターさんは上着を脱いでムキムキの体を見せつけてきますが私は無視します。
「どうしてですか?どうしてそんなこと言うんですか!?」
「あの子のことをよく知っているから、とでも言っておこうかしら。大人しくオプランターで我慢なさい」
どうしてお妃様はこんなにも私に意地悪なんでしょう?私はラブレターをくちゃくちゃにして言います。
「それでも私は・・・この思いをあの人に伝えたい!」
「察しなさい、あの子がリーシャと一緒に出たことを」
私の体に電撃が走りました。そんな・・・まさかリグレットとリーシャ姫がそういう関係だったなんて。そりゃそうですよね、あんなカッコいい人、他の女の子がほっとく訳ありません、お姫様となんてお似合いのカップルじゃないですか。それに比べ私なんて根暗だし、全身真っ黒だし、魔女だし、爆裂だし・・・
ふと店長の顔が頭に浮かびます。どうしてこんな時に?
そしてあの言葉が蘇ります。
“我慢する必要はない”
私はハッとしました。店長が折角作ってくれたこのチャンス、私は危うく無駄にするところでした。例えフラれようと、例え嫌われようとも構わない。
どうしてもこの思いを伝えたい!
だから!!
「察しません!この思いは本物だから!!」
お妃様が意地悪く笑います。
「フフ・・・結果自分が傷つくことになっても?」
「構いません、私は、私を応援してくれる人がいるから、私の背中を押してくれる人がいるから、あの人の答えが分かっていても勇気を出せる」
「そう、ならお好きにどうぞ?ワタクシはここであなたがフラれる様をこの美味しいお酒を飲みながら見ているわ」
私は負けません。
店長が陰鬱な顔で戻って来て、その後リグレットとリーシャ姫も揃って戻ってきました。
私は思いをつづった手紙を握りしめリグレットの前に立ちます。
リグレットは「?」と言った文字を頭に浮かべているようでした。私は手紙を両手で持ち差し出します。
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爆発オチになりそうで恐いですね。
おっとー、これは安易に爆発オチで閉めれなくなりました(笑
しかし幾度となく爆発オチで閉めてきた作者です。
何するか分かりませんよ?
読んでいただきありがとうございます。
^>ω<^
おっと~、これは鋭い感想ですね(笑
リグレットが”お姫様の妹”?かどうかは分かりませんが何か隠しているのは確かですw
行商人・・・今後の展開次第ではなるかもしれまん。
こんにちわ菜々子さん。
(^-^*)/コンチャ!
おっしゃる通り確かにアーシェは頭おかしいです、危険です。
(まず教会にも入れない異端者ですからね?魔法使いなんてろくなもんじゃないですよ(笑)
ホントどうして雇った!?
と自分も思います。でもわざとです。
まあ失敗してアーシェは変わりますよ。
一杯勉強して、一杯努力して・・・
ちなみに作者はドジっ子大好きです!え?ドジの範疇を越えている?すいやせん。
m(_ _;)m