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第6話:なんか皆バカだ

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※前回までのあらすじ

 スライムトンネルを攻略し、さらにその先の泉で魔王軍四天王の一人アブラギッシュを辛くも撃破した勇者琥太郎、その後続けざまに魔王との死闘を繰り広げるが激戦に次ぐ激戦、疲労とダメージが蓄積し勇者琥太郎の体はすでに限界を越えていた。
 地に伏す琥太郎、守護天使リフィは身をていして彼を庇った。

『琥太郎君は自分が守るっス!』
『ほう、見上げた根性だな。面白い、手負いの勇者を倒してもつまらぬし、ソチの勇気にめんじて今しばらく生かしておいてやろう』

 こうして捕らわれの身となった琥太郎とリフィ、これから一体どうなってしまうのか?


「嘘書いてんじゃねぇよこのダメ天使!」
「痛いっス琥太郎君、転生記書いて天界に報告しないと自分の昇進に響くっスぅ~」
「報告もなにも、事実だいぶゆがめてるじゃねぇか?」
「あれ?もしかして自分が琥太郎君のこと見捨てようとしたのまだ怒ってるんスか?もういい加減許してほしいっスぅ~、琥太郎君だって自分を盾にしたじゃないっスか?お互い様っス。クズはクズ同士、仲良くするっス」
「たく、こんな牢屋ろうやに閉じ込められて明日すら見えない状況でよくそんな事書けるな?そもそもどうやって天界に送るんだよ?」
「そりゃこのエンジェルスマフォで・・・」
!!!!!!」
「これで助けを呼ぶっス!」
「そら呼べ、早く呼べ」

 プップップップッ・・・

「・・・リフィ?」
「圏外じゃねぇかド畜生が!あぁ~死にたくない死にたくない、こんな異世界で死にたくないっスぅ~」
「子供みたいにジタバタするな、俺まで気が滅入めいるだろ」
「どこかにwi-fiでも無いっスかね?」
「いや無いだろ、ここ地下だよ?異世界だよ??」
「あっ、誰か来たっス」
「二人とも出ろ、魔王様と謁見えっけんだ」

―魔王玉座―

「くるしゅうない、おもてを上げい」
「あのぉ~、裸見た事まだ怒ってるんですか?」
「バ、バカ!それを今ここで言うでない、皆が見ておるであろう!?」
「魔王様は寛大かんだいなお方だ、例え乳房を見られようと、例えまたの奥まで覗かれようと決して取り乱したりはしない」
「黙れアブラギ、まずソチから消してやろうか?」
「あんた死んだと思ったのに生きてたんスね?」
「あんたではない、魔王四天王にして魔界一の知将、軍師、アブラァァァ~、ギィィィッシュッ!!!・・・だ」
「知恵の方はともかく力量は本物ぞ、余もアブラギの戦闘力には一目置いておる」
「おほめに預かり光栄です、魔王様」
「いや、あんた褒められてないよ、一番自負している事さらっと否定されたよ?」
「ところでソチら、一体何者ぞ?見慣れぬ顔立ち、見慣れぬ容姿、国王軍の差し金にしてはやけに異彩を放っておる」
「琥太郎君は勇者っス、魔王をぶっ殺」
「待て待て待て、お前何言ってんだ?」
「ホントの事っス」
「こんな時だけホント語ってんじゃねぇよ!」
「勇者とな?幾度となく余の命を狙ってきたあれか」
「幾度となくって、俺の前にも何人かいたんですか?」
「ああ、どれもこれも他愛なかったがこう毎回来られるとうんざりする」
「こいつです!この天使が全ての元凶なんです!!こいつが勇者を送り込んで」
「ちょ!?お前何言ってんだゴラァ!自分だけ助かろうなんてそうはいかねぇっス」
「ええい、喧嘩は辞めんか見苦しい。魔王様の御前であるぞ!魔王様、もう良いでしょう。さっさと判決を」
「フム、では言い渡そう。ソチらは奴隷として魔王城の食堂で働いてもらう、一生だ。以上」
「フン、当然の判決だな。貴様らは一生奴隷として・・・って、えぇぇぇ~!!!!?魔王様、私の聞き間違えですよね?暗殺者に食堂で働いてもらうとかありえないですよね?」
「しかと聞こえておるではないか?それとも余の判決に不服かアブラギ」
「いえ、そのような事は」
「殺すのは容易い、だがそれでは不利益をこうむるのは常に我等ぞ。ならば少しでも利になるよう仕向ける。我ながら名判決だ。ではこれにて閉廷とする」

「琥太郎君、現在のアルファポイントは1307っス、前回殺されかけた時は1522あったからそれくらいあると多少の窮地は大丈夫みたいっス」
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