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パーティ編 終
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なんとかして死亡フラグだけは回避しないとまずいわ。
アルターニャに殺される訳にはいかない。せめて、アレクシスと主人公が結ばれるまでは生きなきゃ…。
「そんな、殿下が謝られる必要はございませんわ。私はただあまりにもリティシアの態度が酷いのではないかと思いまして…。殿下の事も敬称をつけずにお呼びするなんて…!」
「リティシアは元よりこの様な性格でございます。彼女に悪気は一切ございません。呼び方に関しましては私が提案致しました。アルターニャ王女様がご心配なさるような事は一切ございません。私の事を気にかけて頂き、有難うございます。」
彼女はまだ言いがかりをつけるだろうと思い、身構えていたが、彼女は意外な事に違う点に着目し、言葉を漏らす。
「アルターニャ王女だなんて…殿下、お願いです。私の事をどうか愛称で呼んでくださいませんか…?せめて、せめて敬称を外して頂くことは…かないませんか…?」
怒りの表情が一転、途端に悲劇のヒロインかの様に瞳を潤ませる。彼女は王女でもなく、魔女でもなく、女優なのかもしれない。
「…勿体ないお言葉、有難うございます。ですが…申し訳ございません。私は婚約している身。世間体もある故、婚約者以外をその様に呼ぶ事は出来ません。世間体と申しましたが、婚約者を悲しませるわけにはいかないという理由もございます。お呼びすることは出来ませんが、今後も仲良くして頂けると幸いです。」
アレクシスが眩しい笑顔を向けると、アルターニャは泣き落としが通用しなかった事に悔しそうな顔をする。
しかしすぐに諦め、「勿論でございます。無理なお願いをして申し訳ございませんでした。後日、私のお茶会に招待させて頂きますね」と彼に笑顔を向けていた。鋼の心の持ち主とは彼女の事を指すのかもしれない。
…王女を敵に回しておくのは嫌だし面倒だけど、だからといってアレクシスに付きまとわれたりしたら迷惑だわ。釘を差すべきかな…。
「アルターニャ王女、私は貴女様を怒らせようとはしていません。ただ、アレクシス殿下は王子でありながら、私の婚約者でもあります。それをお忘れになられているかと思い、申し上げました。無礼をどうかお許しください」
これで私がアレクシスを譲る気はないって伝わったかな…あぁ、出来れば争いは避けたかった。
でもこうなったら全力で戦ってやるわよ。どんな嫌がらせにもね。
アルターニャは私の言わんとしていることに気づいたのか、悔しそうに顔を歪めている。だがアレクシスもいる手前、強くは出られない様子だ。
「…勿論忘れていませんわ。貴女が…今アレクシス殿下の婚約者である事を」
「今」を強く強調したことから、恐らくいずれ奪い取ろうと考えているのであろう。
しかしどんな事があろうとも彼女に渡すつもりはない。彼女がどんな企みを企てようと、私には無意味だ。
「アルターニャ王女、申し訳ありませんが、リティシアをそこまでお送りしなければなりませんので、ここで失礼させて頂きます。お会い出来て光栄でございました。」
丁寧に頭を下げると、釣られてアルターニャも「こちらこそ、光栄でございました」と同様の動作をする。…その表情は相変わらず歪んだままで。
そこでアレクシスは彼女に背を向け、私も背を向けようとしたが、その一瞬彼女の鋭い視線が突き刺さった。
それはまるで矢で射抜くかのような…触れたら傷ついてしまうかのような、鋭利な視線であった。
私は気づかないフリをし、歩き始める。こういうのは気づかないフリをした方が得だったりする。
少し歩くとすぐに豪奢な馬車が見えてくる。彼の言葉通り既に用意されていたようだ。
私は振り返らずに馬車に乗り込もうとするが、手を差し出され、仕方なくその手を取る。その時、突然彼が小さく呟いた。
「リティシア、さっき言うか迷ったんだけど…そのドレス、ちゃんとお前に合ってるのか?」
「え?」
私が聞き返すと、居心地悪そうに視線を逸らし、「えっと…」と言葉を続ける。
「さっきダンスの時もバランスを崩してたし…全部俺が助けられる訳じゃないからな。もう少しリティシアに合わせたドレスの方が良いんじゃないか?勿論そのドレスは素敵だし、似合ってるんだけどな。」
遠回しに似合っていないと言われているように感じ、怒られるとでも思ったのか、彼はこちらと視線を合わせようとしない。
そう。誰も気づかなかったことに、貴方は気づくのね…。全く罪な男だわ。
良いのよ。私の事なんて…気にしないで。
「…令嬢のドレスの事に口出しするのはあまり良くないと思わない?」
「そうだよな、悪い…。でもいくら似合っていてもリティシアが無理して着るような物じゃないだろ?」
分かってないのね。
令嬢達は皆貴方に認められたくて…少し大人に見せる為に、丈の長いドレスを着ているというのに。
私の場合はたまたま選んだものが長かっただけだけど…。
そうよね、いくら素敵なものでも自分が損をしたら意味ないわ。彼の言う通り。
…これをそのまま直接言葉にする事が出来たらどんなに楽だろうか。
…無理な話ね。無駄な期待はそれこそ自分を苦しめるだけ。
私はアレクシスを適当にあしらうと、そのまま馬車を走らせた。
アルターニャに殺される訳にはいかない。せめて、アレクシスと主人公が結ばれるまでは生きなきゃ…。
「そんな、殿下が謝られる必要はございませんわ。私はただあまりにもリティシアの態度が酷いのではないかと思いまして…。殿下の事も敬称をつけずにお呼びするなんて…!」
「リティシアは元よりこの様な性格でございます。彼女に悪気は一切ございません。呼び方に関しましては私が提案致しました。アルターニャ王女様がご心配なさるような事は一切ございません。私の事を気にかけて頂き、有難うございます。」
彼女はまだ言いがかりをつけるだろうと思い、身構えていたが、彼女は意外な事に違う点に着目し、言葉を漏らす。
「アルターニャ王女だなんて…殿下、お願いです。私の事をどうか愛称で呼んでくださいませんか…?せめて、せめて敬称を外して頂くことは…かないませんか…?」
怒りの表情が一転、途端に悲劇のヒロインかの様に瞳を潤ませる。彼女は王女でもなく、魔女でもなく、女優なのかもしれない。
「…勿体ないお言葉、有難うございます。ですが…申し訳ございません。私は婚約している身。世間体もある故、婚約者以外をその様に呼ぶ事は出来ません。世間体と申しましたが、婚約者を悲しませるわけにはいかないという理由もございます。お呼びすることは出来ませんが、今後も仲良くして頂けると幸いです。」
アレクシスが眩しい笑顔を向けると、アルターニャは泣き落としが通用しなかった事に悔しそうな顔をする。
しかしすぐに諦め、「勿論でございます。無理なお願いをして申し訳ございませんでした。後日、私のお茶会に招待させて頂きますね」と彼に笑顔を向けていた。鋼の心の持ち主とは彼女の事を指すのかもしれない。
…王女を敵に回しておくのは嫌だし面倒だけど、だからといってアレクシスに付きまとわれたりしたら迷惑だわ。釘を差すべきかな…。
「アルターニャ王女、私は貴女様を怒らせようとはしていません。ただ、アレクシス殿下は王子でありながら、私の婚約者でもあります。それをお忘れになられているかと思い、申し上げました。無礼をどうかお許しください」
これで私がアレクシスを譲る気はないって伝わったかな…あぁ、出来れば争いは避けたかった。
でもこうなったら全力で戦ってやるわよ。どんな嫌がらせにもね。
アルターニャは私の言わんとしていることに気づいたのか、悔しそうに顔を歪めている。だがアレクシスもいる手前、強くは出られない様子だ。
「…勿論忘れていませんわ。貴女が…今アレクシス殿下の婚約者である事を」
「今」を強く強調したことから、恐らくいずれ奪い取ろうと考えているのであろう。
しかしどんな事があろうとも彼女に渡すつもりはない。彼女がどんな企みを企てようと、私には無意味だ。
「アルターニャ王女、申し訳ありませんが、リティシアをそこまでお送りしなければなりませんので、ここで失礼させて頂きます。お会い出来て光栄でございました。」
丁寧に頭を下げると、釣られてアルターニャも「こちらこそ、光栄でございました」と同様の動作をする。…その表情は相変わらず歪んだままで。
そこでアレクシスは彼女に背を向け、私も背を向けようとしたが、その一瞬彼女の鋭い視線が突き刺さった。
それはまるで矢で射抜くかのような…触れたら傷ついてしまうかのような、鋭利な視線であった。
私は気づかないフリをし、歩き始める。こういうのは気づかないフリをした方が得だったりする。
少し歩くとすぐに豪奢な馬車が見えてくる。彼の言葉通り既に用意されていたようだ。
私は振り返らずに馬車に乗り込もうとするが、手を差し出され、仕方なくその手を取る。その時、突然彼が小さく呟いた。
「リティシア、さっき言うか迷ったんだけど…そのドレス、ちゃんとお前に合ってるのか?」
「え?」
私が聞き返すと、居心地悪そうに視線を逸らし、「えっと…」と言葉を続ける。
「さっきダンスの時もバランスを崩してたし…全部俺が助けられる訳じゃないからな。もう少しリティシアに合わせたドレスの方が良いんじゃないか?勿論そのドレスは素敵だし、似合ってるんだけどな。」
遠回しに似合っていないと言われているように感じ、怒られるとでも思ったのか、彼はこちらと視線を合わせようとしない。
そう。誰も気づかなかったことに、貴方は気づくのね…。全く罪な男だわ。
良いのよ。私の事なんて…気にしないで。
「…令嬢のドレスの事に口出しするのはあまり良くないと思わない?」
「そうだよな、悪い…。でもいくら似合っていてもリティシアが無理して着るような物じゃないだろ?」
分かってないのね。
令嬢達は皆貴方に認められたくて…少し大人に見せる為に、丈の長いドレスを着ているというのに。
私の場合はたまたま選んだものが長かっただけだけど…。
そうよね、いくら素敵なものでも自分が損をしたら意味ないわ。彼の言う通り。
…これをそのまま直接言葉にする事が出来たらどんなに楽だろうか。
…無理な話ね。無駄な期待はそれこそ自分を苦しめるだけ。
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