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再会
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「…そう私を睨んでいるだけでは何も分かりませんよ。」
「…貴女って本当に良い性格してるわね」
アルターニャは怒りを隠そうともせずに私を指さし、言葉を発する。
「その言葉、そっくりそのままお返し致します」
彼女の怒りの表情に反して私は口元に笑みを浮かべてみせると更にアルターニャは悔しそうに眉間に皺を寄せる。
どんなに顔が美人でも…性格が悪ければ美人とは言えないわね。
ホント勿体ないことしてるわ。いつか主人公と会えば気づくのかしらね。
そして私達の間に流れる険悪な空気を感じ取ったアレクシスが間に割って入る。
「アルターニャ王女様、心配してくださり有難うございます。何度も同じことの繰り返しになってしまいますがリティシアに悪気は一切ございませんので、どうかお許し願えますでしょうか」
その言葉にアルターニャは一瞬寂しそうに瞳の光を揺らすとため息をつく。
「…分かりましたわ。どうせ殿下はまたリティシアに罰を与えずにご自分に与えろと仰るんでしょうから…。私も何度も繰り返しになりますが殿下に罰を与える気は今までもこれからもございません。だって私は…これからもずっと…一緒にいたいですから」
え、貴女とアレクが一緒にいた瞬間なんてほぼないじゃないの。
…アルターニャの願望?それとも私と婚約する前とか?でもアレクの口からアルターニャの話を聞くことなんてほぼないし…昔の話なのかな。
それから少し会話をした後、アルターニャは私達にここから一番近いらしい帰り道を教えるとそのまま去ろうとする。
そんな彼女をアレクシスが引き留めて、折角スイーツを用意してもらったのにそのままにしておく訳にはいかないと申し出たのだがアルターニャは大丈夫です、皆で食べますからと寂しそうに笑った。
彼女の姿が見えなくなり仕方なくアルターニャから教えられた道を進んでいく。
道中、アーグレンが私とアレクシスの本を全部持つと言ってくれたがそれは流石に断った。…自分の物くらい自分で持たないとね。
アレクシスも同様に断ったのだが、一冊だけ彼に合いそうな本があったらしく、それだけは手渡していた。
私凄いわ。適当に取ったのに。
そして突然、私達の背後に小さな影が現れる。
「そちらからお帰りになられては危険です、リティシア様」
振り返るとそこにはこちらを真っ直ぐ見上げる第二王子ツヴァイトの姿があった。
「ツヴァイト殿下…」
危険って一体どういうことよ?
私達の疑惑の視線を一同に受けながらも彼は何故か年相応の可愛らしい笑顔を浮かべる。
「思ったより早い再会になりましたね。皆様にまたお会い出来て嬉しいです」
それから彼は表情を真顔に戻し、言葉を続ける。
「…ターニャ姉さんがリック兄さんと話していたのを聞きました。そちらには…リティシア様を陥れる為の花が置いてあるらしいんです。それがどんな物かは分かりませんが…恐らく魔法で隠されているので目視できません。別の道をお使いくださいませ」
その言葉に私とアレクシスは驚いて顔を見合わせる。…どう考えてもあの花だ。それ以外にあり得ない。
「お教えするのが遅くなりすみません。姉と兄がいなくなるタイミングを…狙っていたんです。それから見苦しいところをお見せしたことと、姉と兄の言動を謝罪させて下さい。僕が謝ったところで何も変わらないのですが…謝らなければ僕の気が収まりません。申し訳ございませんでした」
私達よりもずっと小さな身体で頭を下げる彼の姿を見て私は即座に思った。
あんな姉と兄がいるのにどうやったら弟がこんなにしっかり育つ訳?隔離して育てたの?そうとしか思えないわよ。
それにこの子はちゃんと二人を愛称で呼んで仲が良い風に見せようとしている。あの二人は…この子をそんな風に呼ばないのに。
この子っていう言い方は失礼だけど本当にそれくらいの年齢なのよね…。
というかこんなに小さい子に謝らせるなんて本当にクズね。信じられないわ。
「ツヴァイト殿下、どうか顔を上げてください。殿下が謝られる必要はありませんよ。それから…頬は大丈夫ですか?」
「はい、僕は大丈夫です。ご心配…有難うございます。…悲しいですが、兄と姉の言動は普段から見てて楽しいものではありません。きっと僕の知る以上に失礼なことをしているのでしょう。せめて、せめて謝罪と正しい道をお教えしようと…追いかけてきたのです。…本当に申し訳ございません」
ああそうか、上があんなだからこの子はこんなに小さくてもしっかりするしかなかったのね。…素晴らしい反面教師が二人もいるものね…。
でもそれにしてもよく耐えてきたわね。
あの二人はツヴァイト殿下を見るからに毛嫌いしていたから…この城で暮らすのは相当辛いはずよ。
「わざわざ有難うございます殿下。ツヴァイト殿下のような方がいればこの国はこの先もっと繁栄していくのでしょう。もし何か困ったことがあれば必ず我が国が力をお貸ししますので、どうか一人で抱え込まないようにして下さいね」
「アレクシス殿下…!有難うございます。僕…頑張ります。王位継承権第一位は兄ですが…僕にもチャンスがあるかもしれません。兄があの性格を変えない限りとてもこの国を任せる気にはなれないんです。」
そして彼は続けてとても小さな声でアレクシスに本音を溢した。
「…ですが本当は王位なんてどうでもよくて…僕が変われば二人も変わってくれるかなって…そういう期待を込めてるだけなんです。僕はずっと昔から除け者でしたから…」
「…貴女って本当に良い性格してるわね」
アルターニャは怒りを隠そうともせずに私を指さし、言葉を発する。
「その言葉、そっくりそのままお返し致します」
彼女の怒りの表情に反して私は口元に笑みを浮かべてみせると更にアルターニャは悔しそうに眉間に皺を寄せる。
どんなに顔が美人でも…性格が悪ければ美人とは言えないわね。
ホント勿体ないことしてるわ。いつか主人公と会えば気づくのかしらね。
そして私達の間に流れる険悪な空気を感じ取ったアレクシスが間に割って入る。
「アルターニャ王女様、心配してくださり有難うございます。何度も同じことの繰り返しになってしまいますがリティシアに悪気は一切ございませんので、どうかお許し願えますでしょうか」
その言葉にアルターニャは一瞬寂しそうに瞳の光を揺らすとため息をつく。
「…分かりましたわ。どうせ殿下はまたリティシアに罰を与えずにご自分に与えろと仰るんでしょうから…。私も何度も繰り返しになりますが殿下に罰を与える気は今までもこれからもございません。だって私は…これからもずっと…一緒にいたいですから」
え、貴女とアレクが一緒にいた瞬間なんてほぼないじゃないの。
…アルターニャの願望?それとも私と婚約する前とか?でもアレクの口からアルターニャの話を聞くことなんてほぼないし…昔の話なのかな。
それから少し会話をした後、アルターニャは私達にここから一番近いらしい帰り道を教えるとそのまま去ろうとする。
そんな彼女をアレクシスが引き留めて、折角スイーツを用意してもらったのにそのままにしておく訳にはいかないと申し出たのだがアルターニャは大丈夫です、皆で食べますからと寂しそうに笑った。
彼女の姿が見えなくなり仕方なくアルターニャから教えられた道を進んでいく。
道中、アーグレンが私とアレクシスの本を全部持つと言ってくれたがそれは流石に断った。…自分の物くらい自分で持たないとね。
アレクシスも同様に断ったのだが、一冊だけ彼に合いそうな本があったらしく、それだけは手渡していた。
私凄いわ。適当に取ったのに。
そして突然、私達の背後に小さな影が現れる。
「そちらからお帰りになられては危険です、リティシア様」
振り返るとそこにはこちらを真っ直ぐ見上げる第二王子ツヴァイトの姿があった。
「ツヴァイト殿下…」
危険って一体どういうことよ?
私達の疑惑の視線を一同に受けながらも彼は何故か年相応の可愛らしい笑顔を浮かべる。
「思ったより早い再会になりましたね。皆様にまたお会い出来て嬉しいです」
それから彼は表情を真顔に戻し、言葉を続ける。
「…ターニャ姉さんがリック兄さんと話していたのを聞きました。そちらには…リティシア様を陥れる為の花が置いてあるらしいんです。それがどんな物かは分かりませんが…恐らく魔法で隠されているので目視できません。別の道をお使いくださいませ」
その言葉に私とアレクシスは驚いて顔を見合わせる。…どう考えてもあの花だ。それ以外にあり得ない。
「お教えするのが遅くなりすみません。姉と兄がいなくなるタイミングを…狙っていたんです。それから見苦しいところをお見せしたことと、姉と兄の言動を謝罪させて下さい。僕が謝ったところで何も変わらないのですが…謝らなければ僕の気が収まりません。申し訳ございませんでした」
私達よりもずっと小さな身体で頭を下げる彼の姿を見て私は即座に思った。
あんな姉と兄がいるのにどうやったら弟がこんなにしっかり育つ訳?隔離して育てたの?そうとしか思えないわよ。
それにこの子はちゃんと二人を愛称で呼んで仲が良い風に見せようとしている。あの二人は…この子をそんな風に呼ばないのに。
この子っていう言い方は失礼だけど本当にそれくらいの年齢なのよね…。
というかこんなに小さい子に謝らせるなんて本当にクズね。信じられないわ。
「ツヴァイト殿下、どうか顔を上げてください。殿下が謝られる必要はありませんよ。それから…頬は大丈夫ですか?」
「はい、僕は大丈夫です。ご心配…有難うございます。…悲しいですが、兄と姉の言動は普段から見てて楽しいものではありません。きっと僕の知る以上に失礼なことをしているのでしょう。せめて、せめて謝罪と正しい道をお教えしようと…追いかけてきたのです。…本当に申し訳ございません」
ああそうか、上があんなだからこの子はこんなに小さくてもしっかりするしかなかったのね。…素晴らしい反面教師が二人もいるものね…。
でもそれにしてもよく耐えてきたわね。
あの二人はツヴァイト殿下を見るからに毛嫌いしていたから…この城で暮らすのは相当辛いはずよ。
「わざわざ有難うございます殿下。ツヴァイト殿下のような方がいればこの国はこの先もっと繁栄していくのでしょう。もし何か困ったことがあれば必ず我が国が力をお貸ししますので、どうか一人で抱え込まないようにして下さいね」
「アレクシス殿下…!有難うございます。僕…頑張ります。王位継承権第一位は兄ですが…僕にもチャンスがあるかもしれません。兄があの性格を変えない限りとてもこの国を任せる気にはなれないんです。」
そして彼は続けてとても小さな声でアレクシスに本音を溢した。
「…ですが本当は王位なんてどうでもよくて…僕が変われば二人も変わってくれるかなって…そういう期待を込めてるだけなんです。僕はずっと昔から除け者でしたから…」
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