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誕生日パーティ編 その16
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「さっきも言っただろ。リティシアが好きだからだよ。リティシアがどこから来て、どこに住んでいたかなんて関係ない。ただ君だから好きになった。それだけだよ」
「……正直全然分からないわ。私のどこが好きなのか……」
「分からないか?リティシアは凄く魅力的な女の子だよ」
「……魅力的!?」
「あぁ。今まで会った女の子の中で一番魅力的だ。可愛らしくてかっこいい素敵な人だよ」
「はぁ……小説が狂ったことで貴方までおかしくなってしまったのね……哀れだわ」
「違うって。俺はちゃんとまともだよ。本気で言ってるんだ」
そして彼は困惑するこちらへ手を伸ばすと私の長い燃えるような髪に優しく触れる。
そしてそのままその髪を自分の口元へ引き寄せると軽くキスをする。私の心臓が大きく跳ね上がり、一気に顔に熱が集中するのを感じた。
「リティシアだから好きになったんだ。他の誰かだったら俺は絶対に好きになってない」
「も、もう分かったから髪を離して……」
「本当に?分かってないならもう一回やるけど……」
「分かったわよ!分かったって!」
「それなら良かった」
彼は私に言われてからようやく髪を手放した。
ここで分かったと言わなければこれから彼に何をされるか分からない。このまま好き勝手やらせてしまったらきっと私の心臓がいくつあっても足りないだろう。
私への思いはただの勘違いじゃないかという線が完全に消えてしまい、私はどうするべきかと悩む。
彼が私を好きになるなんてあり得ないと思っていたのに。好きになったとしても関係ない……そう思っていたのにいざそう言われてしまうと縋り付きたくなるのが人間ってやつなのよね。
私はどう声を発するべきか髪を抑えながら考えるが、上手く言葉が出てこない。ただ謝りに来たはずなのにまさかこんなことになるなんて……。
「リティシア、アーグレンもイサベルも俺も……皆お前のおかげで変わったんだ。俺達が小説通りリティシアと対立しなかったのは……他でもないお前がいたから。お前が俺達を変えたんだよ」
「私が……?」
「リティシアが俺達に幸せをくれたんだ。次は君が幸せになる番だよ」
「でも……さっきも言ったけど私達の魔力は相性が悪くて……」
「そんなことは関係ない。お前は、俺のことをどう思ってるんだ?」
酷く動揺した様子を見せる私の肩を軽く掴んで、彼は言い聞かせるようにこちらの目を見つめてくる。
「リティシア。お前は悪役令嬢として生まれながらも既に色々なことを変えてきただろ。俺達の運命もお前ならきっと変えられる。方法がないなら探せばいい。不可能なんて絶対にないから」
私達の魔力が合わずに眠りにつくという恐ろしい話を彼はあまり重視していないように思えたけど本当に気にしていなかったのね。彼は必ず変えられるって信じていたから。
私はこんなにも臆病なのに貴方はどこまでも勇敢なのね。小説で決められた設定を覆すだなんてそれこそ世界そのものに歯向かうようなものだわ。
でも何故だろう。彼が言うと……全部本当になる気がしてしまうの。差し出された甘い夢に……このまま溺れてしまいたい。
「……よ」
「……え?」
「貴方が好きよ。貴方が私を思う気持ちの何倍も……貴方を好きな自信があるわ。これだけは絶対に負けないわよ」
私は口元に笑みを浮かべ堂々と呟いてみせる。
もう私の負けだ。イサベルと結婚させることだけが彼が幸せになれる唯一の道だと思っていたのにどうやらそうではないようだ。
どうやら神様は哀れな私に慈悲を与えてくれたらしい。あれだけ恨んだ神様だけど……随分粋なことをしてくれるじゃない。
「本当か?でもそれはど……!?」
私は高揚する気持ちのままに思い切って彼の胸に飛び込んでみると、彼は驚いて反射的にこちらを抱きしめ返す。ずっとこうしたいと思っていた。何もかも忘れて彼を抱きしめていたかった。
「……どうかな。俺も……お前に負けない自信があるぞ?」
ようやく事態を把握したらしい彼は私の耳元で先程言おうとした台詞を繰り返す。その発言を私は嘲笑うかのように答える。
「よく言うわ。こっちには前世の分もあるんだからね?貴方が勝てるわけないわ」
「いやいや、俺には来世の分があるからな」
「何言ってるのよ来世なんてまだ分かんないでしょ」
「そんなことないよ。俺は来世でもきっとリティシアを好きになる」
「……来世に私がいるかなんて分からないくせに」
「どこにいても必ず見つけるよ。いなくても絶対に見つける」
「いない者は見つけられないわよ……。随分変なこと言うのね」
「不可能なんてないんだよ。絶対にな」
そう確信めいて呟くとアレクは私の瞳をじっと見つめてくる。その美しさと輝きに私はそのまま吸い込まれてしまいそうだった。
「……不思議ね。アレクに言われると本当にそうなる気がしちゃうんだもの。私の今までの努力は一体何だったのよ」
彼があまりにも真剣に言うものだから、何故かこっちが恥ずかしくなってしまい、私は軽く耳に触れながら視線を逸らす。前は私に似合っているって言うだけで照れてたのに……随分成長したのね。
「リティシアの今までの努力が無駄だったわけじゃないさ。お前の努力は全て……今この瞬間に繋がっているんだから。」
「……正直全然分からないわ。私のどこが好きなのか……」
「分からないか?リティシアは凄く魅力的な女の子だよ」
「……魅力的!?」
「あぁ。今まで会った女の子の中で一番魅力的だ。可愛らしくてかっこいい素敵な人だよ」
「はぁ……小説が狂ったことで貴方までおかしくなってしまったのね……哀れだわ」
「違うって。俺はちゃんとまともだよ。本気で言ってるんだ」
そして彼は困惑するこちらへ手を伸ばすと私の長い燃えるような髪に優しく触れる。
そしてそのままその髪を自分の口元へ引き寄せると軽くキスをする。私の心臓が大きく跳ね上がり、一気に顔に熱が集中するのを感じた。
「リティシアだから好きになったんだ。他の誰かだったら俺は絶対に好きになってない」
「も、もう分かったから髪を離して……」
「本当に?分かってないならもう一回やるけど……」
「分かったわよ!分かったって!」
「それなら良かった」
彼は私に言われてからようやく髪を手放した。
ここで分かったと言わなければこれから彼に何をされるか分からない。このまま好き勝手やらせてしまったらきっと私の心臓がいくつあっても足りないだろう。
私への思いはただの勘違いじゃないかという線が完全に消えてしまい、私はどうするべきかと悩む。
彼が私を好きになるなんてあり得ないと思っていたのに。好きになったとしても関係ない……そう思っていたのにいざそう言われてしまうと縋り付きたくなるのが人間ってやつなのよね。
私はどう声を発するべきか髪を抑えながら考えるが、上手く言葉が出てこない。ただ謝りに来たはずなのにまさかこんなことになるなんて……。
「リティシア、アーグレンもイサベルも俺も……皆お前のおかげで変わったんだ。俺達が小説通りリティシアと対立しなかったのは……他でもないお前がいたから。お前が俺達を変えたんだよ」
「私が……?」
「リティシアが俺達に幸せをくれたんだ。次は君が幸せになる番だよ」
「でも……さっきも言ったけど私達の魔力は相性が悪くて……」
「そんなことは関係ない。お前は、俺のことをどう思ってるんだ?」
酷く動揺した様子を見せる私の肩を軽く掴んで、彼は言い聞かせるようにこちらの目を見つめてくる。
「リティシア。お前は悪役令嬢として生まれながらも既に色々なことを変えてきただろ。俺達の運命もお前ならきっと変えられる。方法がないなら探せばいい。不可能なんて絶対にないから」
私達の魔力が合わずに眠りにつくという恐ろしい話を彼はあまり重視していないように思えたけど本当に気にしていなかったのね。彼は必ず変えられるって信じていたから。
私はこんなにも臆病なのに貴方はどこまでも勇敢なのね。小説で決められた設定を覆すだなんてそれこそ世界そのものに歯向かうようなものだわ。
でも何故だろう。彼が言うと……全部本当になる気がしてしまうの。差し出された甘い夢に……このまま溺れてしまいたい。
「……よ」
「……え?」
「貴方が好きよ。貴方が私を思う気持ちの何倍も……貴方を好きな自信があるわ。これだけは絶対に負けないわよ」
私は口元に笑みを浮かべ堂々と呟いてみせる。
もう私の負けだ。イサベルと結婚させることだけが彼が幸せになれる唯一の道だと思っていたのにどうやらそうではないようだ。
どうやら神様は哀れな私に慈悲を与えてくれたらしい。あれだけ恨んだ神様だけど……随分粋なことをしてくれるじゃない。
「本当か?でもそれはど……!?」
私は高揚する気持ちのままに思い切って彼の胸に飛び込んでみると、彼は驚いて反射的にこちらを抱きしめ返す。ずっとこうしたいと思っていた。何もかも忘れて彼を抱きしめていたかった。
「……どうかな。俺も……お前に負けない自信があるぞ?」
ようやく事態を把握したらしい彼は私の耳元で先程言おうとした台詞を繰り返す。その発言を私は嘲笑うかのように答える。
「よく言うわ。こっちには前世の分もあるんだからね?貴方が勝てるわけないわ」
「いやいや、俺には来世の分があるからな」
「何言ってるのよ来世なんてまだ分かんないでしょ」
「そんなことないよ。俺は来世でもきっとリティシアを好きになる」
「……来世に私がいるかなんて分からないくせに」
「どこにいても必ず見つけるよ。いなくても絶対に見つける」
「いない者は見つけられないわよ……。随分変なこと言うのね」
「不可能なんてないんだよ。絶対にな」
そう確信めいて呟くとアレクは私の瞳をじっと見つめてくる。その美しさと輝きに私はそのまま吸い込まれてしまいそうだった。
「……不思議ね。アレクに言われると本当にそうなる気がしちゃうんだもの。私の今までの努力は一体何だったのよ」
彼があまりにも真剣に言うものだから、何故かこっちが恥ずかしくなってしまい、私は軽く耳に触れながら視線を逸らす。前は私に似合っているって言うだけで照れてたのに……随分成長したのね。
「リティシアの今までの努力が無駄だったわけじゃないさ。お前の努力は全て……今この瞬間に繋がっているんだから。」
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