勇者に転生したのにステータスが全部運だった件

いつき

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勇者に転生したけどステータスが全部運だっだ件

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第五話:すべてを運に任せた男

魔王城・最上階。
世界を滅ぼさんとする魔王ディザストの前に、勇者・吉良は立っていた。

「これが……勇者? フン、ステータスが“運”だけのくせに、よくここまで来れたな」

その言葉に、吉良は涼しい顔で肩をすくめた。

「運だけでここまで来たんだよ。運がなかったら、とっくに死んでる」

事実、彼は攻撃力も防御力も、魔力すらゼロ。
ただ一つ――運のステータスだけが、カンストしていた。
理不尽すぎる宝箱の中身、敵のミス、崩れた橋の“偶然の修復”――彼はすべて、運だけで乗り越えてきた。

「では見せてもらおうか、その“運”とやらがどこまで通用するのか!」

魔王が召喚したのは、世界を覆う闇の竜。
一瞬で街一つを滅ぼす圧倒的な力。その咆哮に、仲間たちは声も出せない。

だが――

「行け、運剣(ラックブレード)!」

吉良が無造作に放り投げた剣が、奇跡的な軌道を描き、雷に打たれ、回転しながら魔王の頭上に突き刺さった。

「ぐ……な、なぜこんな攻撃が……ッ!?」

「知らねぇよ。俺もびっくりしてる」

その瞬間、空から聖なる光が差し込む。

【世界は“運命”を受け入れた。魔王の支配は終わった】

神の声が響いた。

勝者は、ただ一人。

ステータスが「運」しかなかった“異世界勇者”――吉良。

 

🌟

数日後。王都で行われた凱旋式典。

「吉良殿はどのように魔王を倒されたのですか?」
「……運ですね」
「なるほど。運とはすなわち、天の選定……!」
「え、いや、マジで運なんだけど……」

 

🌟

その夜、吉良は一人、夜空を見上げてつぶやいた。

「転生してからずっと思ってた。……なんで俺だけ、運しかないんだよって」

だけど、こうして世界を救えた。

「まあ、結果オーライ……か」

夜空には、奇跡のように流星が流れていた。

──それもきっと、偶然だ。

(完)
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