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第21話目 「机の中の足音」
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小学校の時、教室の隅にひとり、「みさきちゃん」って子がいた。
髪の毛で顔がほとんど見えなくて、いつも無口で、ノートの端に変な虫の絵ばかり描いてた。
先生も見て見ぬふり。
クラスのみんなも、そっと距離を置いていた。
――「気味が悪い」って理由で。
ある日、俺が放課後に教室に忘れ物を取りに戻ると、
みさきちゃんが、何かと話している声が聞こえた。
「……うん……今日もね、きてた……」
「お兄ちゃん、いっぱいいた……いっぱい、いたの……」
そーっと覗くと、
彼女の机の中に、**ぎっしり詰まった“腕”**があった。
白くて、細くて、折れ曲がった腕。
虫の足みたいに何本も。
どれも、子どものものみたいに小さかった。
俺は声を出さずに逃げた。走った。
怖くて、誰にも言えなかった。夢だって思い込みたかった。
でも、その翌週。
俺の親友のコウジが学校に来なくなった。
警察も騒いだけど、結局行方不明。
それから、クラスの子が一人ずつ、一人ずつ、
消えていった。
ある日、廊下でみさきちゃんとすれ違ったとき――
彼女の髪の隙間から、一瞬だけ“目”が見えた。
目が、横に三つ、縦に二つ。
まぶたもない。人間のそれじゃなかった。
「お兄ちゃん、ふえたよ……うれしいね……」
そう言って、彼女は笑った。
口が裂けて、顎が肩まで割れてた。
髪の毛で顔がほとんど見えなくて、いつも無口で、ノートの端に変な虫の絵ばかり描いてた。
先生も見て見ぬふり。
クラスのみんなも、そっと距離を置いていた。
――「気味が悪い」って理由で。
ある日、俺が放課後に教室に忘れ物を取りに戻ると、
みさきちゃんが、何かと話している声が聞こえた。
「……うん……今日もね、きてた……」
「お兄ちゃん、いっぱいいた……いっぱい、いたの……」
そーっと覗くと、
彼女の机の中に、**ぎっしり詰まった“腕”**があった。
白くて、細くて、折れ曲がった腕。
虫の足みたいに何本も。
どれも、子どものものみたいに小さかった。
俺は声を出さずに逃げた。走った。
怖くて、誰にも言えなかった。夢だって思い込みたかった。
でも、その翌週。
俺の親友のコウジが学校に来なくなった。
警察も騒いだけど、結局行方不明。
それから、クラスの子が一人ずつ、一人ずつ、
消えていった。
ある日、廊下でみさきちゃんとすれ違ったとき――
彼女の髪の隙間から、一瞬だけ“目”が見えた。
目が、横に三つ、縦に二つ。
まぶたもない。人間のそれじゃなかった。
「お兄ちゃん、ふえたよ……うれしいね……」
そう言って、彼女は笑った。
口が裂けて、顎が肩まで割れてた。
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