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第30話目 「それはずっとそこにいた」
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中学の頃、学校の保健室には「絶対に寝てはいけないベッド」があった。
保健室にはベッドが3つあったけど、いちばん奥のベッドだけは先生がいつも布をかけて、「ここは使っちゃダメよ」と言っていた。
理由を聞いても、「壊れてるのよ」とだけ答えられた。
ある日、体調が悪くなって保健室に運ばれたとき、他のベッドはすでに使われていた。
先生は少し迷ってから、「少しだけなら…絶対に寝すぎないでね」と言って、その奥のベッドを許可してくれた。
そこは不思議なベッドだった。
やけにふかふかで、温かくて、まるで誰かに抱きしめられているような――そんな気がした。
俺はそのまま、うとうとと眠ってしまった。
……目が覚めたとき、保健室は真っ暗だった。
時計を見ると、昼の1時だったはずが、午前3時になっていた。
体を起こそうとしたが、動かない。
足も手も、何かにぎゅっと掴まれている。
目だけを動かして横を見たとき、カーテンのすき間から“誰かの手”が見えた。
いや、それは一本じゃなかった。たくさんの手が、ベッドの下から伸びてきて、俺の体を引きずり込もうとしていた。
恐怖で叫ぼうとしたそのとき、背後で声がした。
「また……一人、入ってきたね」
次の瞬間、俺の意識は暗闇に沈んだ。
そして次に俺が目を覚ましたとき、
ベッドの上に誰かが横たわっていた。
ふかふかで温かい感触だった。
まるで、誰かの体の上に寝かされているような気がした――。
⸻
解説(怖さの補足):
・主人公はあの「使ってはいけないベッド」に取り込まれ、今度は“中にいる側”になってしまった。
・ベッドは人を飲み込み、次の犠牲者を待っている。
・「ふかふかの感触」は、前の犠牲者の体かもしれない……。
保健室にはベッドが3つあったけど、いちばん奥のベッドだけは先生がいつも布をかけて、「ここは使っちゃダメよ」と言っていた。
理由を聞いても、「壊れてるのよ」とだけ答えられた。
ある日、体調が悪くなって保健室に運ばれたとき、他のベッドはすでに使われていた。
先生は少し迷ってから、「少しだけなら…絶対に寝すぎないでね」と言って、その奥のベッドを許可してくれた。
そこは不思議なベッドだった。
やけにふかふかで、温かくて、まるで誰かに抱きしめられているような――そんな気がした。
俺はそのまま、うとうとと眠ってしまった。
……目が覚めたとき、保健室は真っ暗だった。
時計を見ると、昼の1時だったはずが、午前3時になっていた。
体を起こそうとしたが、動かない。
足も手も、何かにぎゅっと掴まれている。
目だけを動かして横を見たとき、カーテンのすき間から“誰かの手”が見えた。
いや、それは一本じゃなかった。たくさんの手が、ベッドの下から伸びてきて、俺の体を引きずり込もうとしていた。
恐怖で叫ぼうとしたそのとき、背後で声がした。
「また……一人、入ってきたね」
次の瞬間、俺の意識は暗闇に沈んだ。
そして次に俺が目を覚ましたとき、
ベッドの上に誰かが横たわっていた。
ふかふかで温かい感触だった。
まるで、誰かの体の上に寝かされているような気がした――。
⸻
解説(怖さの補足):
・主人公はあの「使ってはいけないベッド」に取り込まれ、今度は“中にいる側”になってしまった。
・ベッドは人を飲み込み、次の犠牲者を待っている。
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