強制的魔王

ほのぼのる500

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17話

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「吸収した魔石の数 170個! 魔石を使って何をする? 【魔物を出現させる5個】【光と影を産む150個】」

聞こえた女性の機械音にやはりと思う。
魔石の残りは58個だったはず、それが今は170個。
ラビットは100匹以上いた。
今回は弱かったため倒せたが、このままずっと弱い魔物が続くとも考えられない。
何とか攻撃の種類を増やしたいな。
なるべく広範囲を一気に攻撃できる魔法。

「ラルグ、どうしたの?」

「いや、100匹以上いたなって思ってな」

「そうだね。大体100匹って感じなのかな?」

ラルグの声が少し落ち込んでいる気がする。
こういう時、表情が読めればと思うけど見えないし。
そもそも蛇に表情があるのか?

「とりあえず光と影を選ばないとな」

「うん」

「【光と影を産む150個】に決定! 実行します。魔石の残りは20個」

残りは20個か、また魔物を倒すことになるんだろうな。
でもその前に、光と影でどうなるのか。

「……何も起こらないな」

「そうだね。もしかして外に出たらわかるかな?」

「そうだな。体は動くか?」

ラルグの心配そうな声に笑みが浮かぶ。

「大丈夫、ラルグは?」

「問題ない」

アルフェの声に楽しそうな響きがまじっているな。
俺が心配するのがそんなにおかしいのか?
視線を飛んでいるアルフェに向ける。
楽しそうだが、きっと表情は変わらないんだろうな。
そもそも蝙蝠がにっこり笑っていたら、怖いよな。
……止めそう、想像するものじゃないな。

玄関を出て通路を飛ぶ。
そうだ。

「ねぇラルグ」

「なんだ?」

「この通路、最初の頃に比べると長くなってない?」

通路が長く?
止まって玄関を見る。
そして反対側の外へ視線を向ける。
本当だ。

「マジで長くなってるな」

まさか気付いてなかったの?
最初と全然距離が違うのに?

「気付いてなかったんだ」

「……まぁ、興味がなかったから」

そういう問題か?
違うような気がするんだけど。

「でもよかったよ。ラルグに変わらないと言われたらどうしようかと思った」

「いや、それは言わないだろう。最初の頃に比べたら10倍? いや、もっとか?」

「気付かなかったくせに」

痛いところをつくな。
実際、気付かなかったから仕方ないが。
それにしても、よく気付かなったな。
こんなに長さが変わっているのに。

「なんだか知らないところで変わられると気持ち悪いよね」

「ん~、まぁそうだな。いや、このゲーム自体が気持ち悪いからな」

それを言ったらお終いでしょう。
その気持ち悪いゲームに参加させられているわけだし。

「はぁ」

それにしても長い。
もしかしてまた長くなってない?

「はぁ、着いた。……変化は無いようだな」

「そうだね。せっかくここまで来たのに」

アルフェのちょっと拗ねた声。
彼女は本当に思ったことがすぐにわかる、分かりやすい性格だな。
あれ?
そうだったか?
いや、最初からそうだったよな。

「ここ、どんな所?」

「どんな?」

「見えてないから」

見えないからわからないんだよね。
魔物がいたら赤く印が着くからわかるけど、それだけ。

「何もないところだ。小石1つ1個落ちてない」

「そうなの?」

「あぁ、だから魔石を見つけられたともいえるけどな」

何もないんだ。
小石1個も?
なんだか不思議な場所なんだな。

「部屋に戻るか」

「そうだね」

来るだけ無駄だったか。
あまり期待してなかったからショックは無いけど。
……それにしても通路が長い。
もっと短くてよかったのに。
どうなってるんだ?

「この無駄に長い通路をどうにかしたいな。外に出るだけで疲れる」

「どうにかしたいけどね。無理でしょ」

「まぁな」

まさかこの通路の変化が光と影とか?
いや、これを選ぶ前には既に通路は長くなっていた。
つまり無関係って事だよね。

無駄に疲れただけだったな。
それにしても光と影は何だったんだ?
ふっと天井を見上げる。
恐らくこれが俺たちの作っている世界なんだよな。
ん?

「ははっ。外に行く必要なかったな。アルフェ、天井見ろ。光と影だ」

えっ?
天井ってあの宇宙?

「あっ!」

なるほどね。
光と影は太陽と月でいいのか?
でもどちらも2つずつあるな。
これは星が2つあるためかな。

「星の移動を行います」

移動?

「なんか矢印出たよ?」

矢印は2つの太陽と2つの付きそれぞれについている。
これって動かせるって事?

「矢印に色があるね」

宇宙も見えるけど矢印の色まで分かるんだ。
見えるって、すごいな。
このままずっと見える状態がキープできたらいいのに。

「太陽と月を動かせるのは嬉しいけど、星と星の間が狭いよな」

「私もそう思う。これだと星から隣の星が見えそうじゃない?」

どれくらいの距離が正直分からなけど、お互いに影響を与えそうな距離だよね。
もっと離せえたらいいのに。

「ヴァンが溜まりました。世界の広げましょう」

世界を広げる?
映し出されている宇宙を見る。
結構広いと感じるが、そうじゃないのか?

「まずガチャを選ぼう! 【A ヴァン1倍使用】【B ヴァン5倍使用】【C ヴァン10倍使用】」

1倍、5倍、10倍って、ヴァンが必要な量だと考えていいよな。
普通だったら、ヴァンを沢山使用した方がいいガチャが回せそうだけど……このゲームでそれはありか?

「ラルグ、これは10倍を狙った方がいいのかな?」

「……俺もそう思う。思うが……不安が残る」

ん~、そうなんだよね。
10倍を選べば普通は良い物が出てくるイメージなんだけど。
ヴァンが10倍溜まるまで待つわけだし。
でも、奴らのゲームに普通設定があるかどうか。
でも、もしあったら選ばなかった事を後悔するし。
これは賭けに出るしかないかな。

「ラルグ、私は失敗しても10倍を選ぶ」

世界を広げるメリットは不明だけど、広い世界の方がいいような気がするんだよな。
だったら、賭けてみるしかないよな。

「奇遇だな、俺もだ。選ぶぞ」

目の前に浮かんでいる【C ヴァン10倍使用】に尻尾が触れる。

「変な汗が出てる気がする」

「気のせいだよ、蛇なんだから」

おい!

「蛇だって汗をかく」

「そうなの?」

「……いや、知らない」

知らないのに、断言したの?
ストレスで思考回路可が馬鹿になった?
そう言えば、最後の決定権をずっとラルグに任せてるかも。
心労かな?

「ヴァン10倍使用に決定。ヴァンが溜まるまでキープします」

「10倍か、結構時間かかりそうだな」

「うん。そう言えば世界の配置を放置してるね」

あっ、すっかり忘れていたな。
天井を見る。
やはり綺麗な宇宙が広がっている。
そして大きく見える2つの左右に配置された星。
俺たちの星。

「太陽も月もそれぞれの星に1個ずつでいいよね」

「……それ以外は無いと思うが」

そうかな?
だって、自分たちで選べるんだよ?

「私たちが配置するんだから出来そうじゃない?」

「確かに……だったらら月の星と太陽の星にでもするか?」

太陽の星は暑そうだし、月のほしは薄暗そうだな。

「それは良いや。馴染みがない」

「まぁ、そうだろうな。で、どうやって動かすんだ?」

あの矢印の動かし方が問題なだ。
それぞれ4つには色の違う矢印。

「私たちにはラルグの尻尾しかないから、声で動かせるかも」

「なるほど。赤の矢印右に移動…………? 動かないな」

やり方が違ったのか?
他に動かせる方法……。

「あっもしかして。赤の矢印は右に50㎝移動」

アルフェがもう一度さっき俺が言った指示を少し変えて言う。

「あっ、動いた」

なるほど、しっかり距離も指示しないと駄目なのか。
面倒くさいな。
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