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合鍵
しおりを挟む新堂さんに口元に無理やり絆創膏を貼られて「ごめんな、今日は上がっていいよ。もし傷が痛むようだったら病院に行って、バイトも休んでもいいし…」申し訳ない、と言いながら帰るようにうながす。
「じゃあ、帰ります。お疲れ様でした」
今日は凜がお店に居なくて良かったと思う。もし居たらあんな殴られているとこ見せたくないし、泣かれるだろうな、口の中が血の味がして痛い。
鍵を出して開けようと鍵穴に鍵を差し込むとすでに鍵が開いていて部屋の奥から「おかえり」と凜が玄関先まで来てくれた。
咄嗟に口元を手で隠したけど誤魔化せる訳でもなく、凜の瞳に絆創膏が貼ってあるのが見えた。
「絆創膏…ケガしたの?」
悠斗は玄関口で靴を脱ぐことが出来ず、両手で頬を挟み自分の方へ悠斗の顔を持ってこようとする。
「い、いたっ…」
「あっ!ごめん…でも、なんでケガしたの?」
本当の事を凜に言ったら心配するだろうと思いながら靴を脱いで部屋へと入る。
「んー…転んだ」
絶対に信じてもらえない嘘を言う。
「嘘でしょ?」
凜が怖い顔をしている。
「おー…凜さん怖い…」
「ふざけないで…」
瞳をうるうるとさせて今にも泣き出しそう。
悠斗がソファーに座ると凜が悠斗の膝をまたぎ座りこむ。
ちょっ、ちょっと待って…凜、その体勢は良くないぞ…
凜が今度はそっと頬を押さえ口元を見ている。
「痛い?」
唇を親指の指先でなぞって俺の瞳をみる。
「ちょっとだけ?」
俺の唇を見ると小さな舌でペロリと舐めた。
こんな事をされると堪らなくなる。
「俺を煽ってどうするの?」
冷たい視線で凜を見ると「消毒してみた」
クスクスと笑った。
「でも…悠斗、熱っぽくない?」
凜は悠斗の首もと手をあてると熱を測る仕草をした。
「熱なんてないよ。大丈夫…」
心配する凜を抱きしめた。
「俺の中心の方が熱あるんだけどな…」
凜の耳元で囁いてみる。
凜の目線は俺の下半身へと移る。
「もう…何言ってるの」
困って顔を赤くする凜がとても可愛いくて愛おしかった。
「悠斗、横になった方がいいよ」
「ごめん、そうするかな…」
少しの頭痛と口の中が熱い。
ベッドに横になると念の為と凜がアイスノンを用意して俺の頭を腕に包み、そっと上げて頭の下に入れてくれた。
ふわっと香る凜の匂いが鼻腔をくすぐる。凜が側にいると安心出来たのか悠斗は目を瞑るとスーと寝息が聞こえてきた。
凜は寝息をたてる悠斗の横に、そっと寄り添い髪の毛を撫でる。
痛々しい口元を見ながら、ケンカなら簡単には殴られてたりしないのにバイトで何があったのか知りたいと思った。
明日、新堂さんに聞いてみよう。
悠斗の寝息に誘われて、いつの間にか凜も眠りの中へと意識を落としていった。
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