勇者になんかなりたくないけど異世界では勇者だった!

オレオ

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ジークフリード編

34話 異世界なんかで船になんて乗りたくないけど2

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「お兄ちゃーん!」

 マリンはアイズを見つけるやいなやアイズの胸に飛び込み抱きついた。

「マリン苦しいって...まぁいいか...」

 アイズの顔がどこか嬉しそうに見えた。
 アイズは最近まで妹がいるなんて知らなかったが、血の繋がった家族が生きてるっていうのは相当嬉しかったんだろう。

「十夜殿どうしたんだ?」

「うぅ...」

 俺の目から少し涙がこぼれていた。
 なんていい兄妹なんだ...。

「マリン、俺たちは他のところ見てくるな。仲良くするんだぞ」

「おいおい十夜どした?何泣いてんだ」

 アイズが俺の顔を見て少し心配そうに声をかけてくれた。

「な、なんでもない!さぁみんな行こうか」

 俺は少し気恥ずかしくなりその場を後にした。

 その後一通り見終わった十夜達はサンデッキで潮風に当たっていた。
 皆心地よい風とドリンクを飲みながら景色を眺めていたのだが、それは十夜を覗いての話である。

「あ、やばい、ほんとに死ぬ...」

「ダーリンしっかり」

「十夜くん一旦横になろう」

 レイとメティスが俺の様子を見て直ぐに看病してくれた。

「十のやつほんとに弱いよな!」

「ガハハ!西木の野郎おもしれぇ顔してやがる!」

「2人とも、西木くんに、失礼ですよ」

 アレスとポセイドンにそんなこと言ってるガイアも笑いを堪えていた。

「バカにしやがって。こっちは結構ヤバいんだぞ...」

 船が揺れてる度に我慢の限界が来そうになる。というかさっきより明らかに波が高い。ほんとに死ぬぞこれ。

「それにしても周りに霧も出てきて波もさっきより荒れてきましたです」

「さっきこんなに霧出てたか?」

 バステトの言葉にアイズが首を傾げる。

「確かに変だね。数分で前が見えなくなるほど霧が出るなんておかしい」

 クロノスも異変を感じていた。

「こ、こわいです」

 ミオンが体を小さくしてその場に座り込んだ。

「とりあえず中に——」

 ——バッシャアーン!

 クロノスの言葉を遮るように近くから何やら巨大なものが海に落ちたような音がした。

「なんすか今の!霧が濃くてなにも見えないっす!」

 全員が音のした方を見たがその物体を肉眼で捉えることは出来なかった。

「マリン、今の聞こえたか...」

「はい。一瞬ですが鳴き声のようなものが聞こえましたわ」

 アイズとマリンがなかに気がついたように互いに確認し始めた。

「2人ともどうしたです」

「バステトは猫又で船を支えてくれ。近くにどでかいのがいるぜ」

 その言葉を聞いた瞬間全員が戦闘態勢に入った。

 俺もこうしちゃいられない。
 吐いてでも戦ってやる。

「アイズ、そいつは今どこだ」

「船の後方だ。完全にこの船を追ってきてやがる」

 霧が濃い上に相手は海の中。
 姿が見えないのは不利だな。

「まかせとけ!オーシャンスティング!」

 ポセイドンが勢いよく音の聞こえた方へ槍を投げた。

 ——バッシャーン!

「どぉじゃ!」

 その瞬間海が大きく波を立て船がまた揺れ始めた。

「バステト頼んだ!」

「分かってるです!猫又!」

 バステトが呼び出した2匹の巨大な猫が左右から船を支え倒れるのを防いだ。

「全員掴まれ!」

 バッシャーン!

 アイズが指示を出した瞬間海の底から巨大な怪物が姿を現した。

「出たぜ...音の正体がな...」

 怪物の覇気にアイズが息を飲む。
 その正体は黒いオーラを纏った巨大な蛇。
 その巨体に皆が1歩引いてしまった。

「立ち去れ」

「しゃ、喋りました!」

 驚きのあまりミオンがアルテミスの後ろに隠れた。

「俺たちはジーク島に用がある」

「立ち去れ」

 立ち去れの一点張り。
 こっちが食い下がるのをまってるのか。
 これは答えによっては全員やられる。

「ジークフリードに会いたいんだ。頼む、ここを通らせてくれ」

「立ち去れ!」

 一気に覇気が強まった。まずいな、

「十夜さん。私に任せてください」

 そう言ってマリンが俺の1歩前に出た。

「あなた、レヴィアタンですわね?」

 レヴィアタン、日本にいた時に聞いたことがある。
 海の巨大な蛇、まさか本物が見れるとは。

「お母様から聞いたことがありますわ。ジーク島への侵入者を排除する存在だと。ですが私たちは害を及ぼすような者ではありません。ジークフリード様の魔王討伐にお力添えをしたくやって来たんですわ」

 ジーク島の守護神と言ったところか。
 マリンが上手く話をしてくれてる。
 これで向こうが納得するといいが。

「だが簡単にジークフリード様に会わす訳には行かぬ」

「俺からも頼む。魔王を倒すにはジークフリードの力が必要なんだ」

 十夜は深く頭を下げた。

「ならば貴様らにジーク島の試練を受けてもらおう!」

 その瞬間大雨とともに空がゴロゴロと音を立て始め波が今まで以上に高くなり強風とともに巨大な竜巻が現れた。

「みんなしっかり捕まれ!」

 船の方向に竜巻がどんどん近ずいてくる。

「試練は3つに分かれている!
 1つ、巨人の樹海
 2つ、百足の砂漠
 3つ、金色の洞窟
 貴様らの力見定めてやろう!」

 そして船が竜巻に飲まれ全員が振り落とされる。

「ダーリーン!」

「レーイ!」

 俺は最後に聞こえたレイの声にレイ名前を叫びそのまま意識を失った。
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