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ジークフリード編
35話 異世界なんかで試練なんて受けたくないけど 試練1 巨人の樹海
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「——さん起きてください」
マリンの声が聞こえる。
「十夜さん、十夜さん」
体を揺さぶられ意識が少しずつハッキリとしていく。
だが体は動かない。
「十夜くん起きてください」
メティスの声も聞こえる。
「...こ、ここは...」
目をゆっくりと開ける。
「やっと起きたか!」
「ポセイドンもいたのか」
「俺もいるぜ」
目を開けるとその場にはマリン、メティス、ポセイドン、アレスがいた。
それと同時に俺の目には薄暗い森が写った。
「なんでこんなところに」
「恐らくこれがレヴィアタンの言っていた試練ですわ」
確かにレヴィアタンは俺たちに最後、ジーク島の試練を受けてもらうと言っていた。
ということはここはジーク島のどこかの森ということか。
「恐らくですが、この森に飛ばされたということはこれが3つのうちの1つ『巨人の樹海』でしょうか」
メティスがレヴィアタンの言葉を思い出し呟いた。
「ところでここに飛ばされたのは俺たちだけなのか?」
「全員ここで気絶してたぜ!俺が1番早く目を覚まして確認した!」
ポセイドンが自慢げに言った。
「他の奴らが心配だ。ここにいるのは5人、残りの8人が均等に別れているかわんかねぇし、そもそもあの竜巻で全員生きてるかもわかんねぇ」
「心配しなくても大丈夫だアレス。みんな強い。こんな事じゃ簡単にしなないさ」
「し、心配なんてしてぇ!?」
心なしか俯いているように見えたアレスに声をかけたが余計なお世話だったらしい。
「皆さん見てください。ここ、道が開けていますわ」
本当だ。進んでくださいと言わんばかりにあからさまに道がある。
しかもご丁寧に俺たちの後ろは崖。
まあこっちに進むしかないか。
「こんな試練さっさと突破してみんなと合流しよう!」
俺はみんなを元気づけようと先頭に立った。
「というか女の子一人と男四人はなかなかむさ苦しいですわ」
「マリンちゃん申し分ありません...」
メティスがバツが悪そうに軽く頭を下げた。
だが確かにわざわざ俺たちを分断させたのには何か意味があるのだろうか。
「メティスさっき『巨人の樹海』っていったよな?だとしたら試練の内容は巨人討伐ってところか?」
「その可能性は高いですね」
「なら楽勝じゃねぇか!俺たちなら一瞬で終わるんじゃねえか?」
確かにポセイドンの言う通り討伐ならまだ単純な内容だ。だが試練と言うほどだ、そんな単純なものなのか?
「十!俺が最初に正面から殴る!っで後からお前らが追撃だ!」
「待ってくださいアレスくん。ここは慎重に行かないと」
そういえばアレスは以前俺の傷を治癒してくれたことがある。貴重な回復役としてはもっと慎重に行動させる方がいいだろう。
「そうだぞアレス。お前は回復役としての役割もある。もしモンスターが出てもここは慎重に行くぞ——うぉ!」
「おい西木!あれみろよ!」
アレスと話している最中、ポセイドンが俺の襟を引っ張り自分の目線の先を俺に見せた。
「なんだ...あれ...」
俺たちの目の前に現れたのは巨大な鎧。
それは巨大だが草木に侵食されその場に横たわっていた。
「これが巨人、いやただの鎧か?」
俺達は恐る恐る近ずいた。
「皆さんお静かに」
マリンが耳をすましながらその場で立ち止まった。
「何か歌が聞こえますわ」
俺たちはマリンの言葉を聞き耳をすました。
すると巨大な鎧がある方から微かに女性の歌声が聞こえた。
それはとても美しく自然と足が吸い寄せられるようだった。
「みんな慎重に行くぞ」
俺たちは息を殺して歌声の方へと足を運んだ。
「あそこに誰かいるぞ」
アレスが指をさした方向には鎧に祈りを捧げるように美声を森に響かせる白髪の美しい女性がいた。
「綺麗だ」
思わず声に出てしまうほどに美しい歌声だった。
聞き惚れているうちに歌が終わり女性はその場にゆっくりと立ち上がった。
「隠れていないでこちらへいらっしゃってください」
バレていたか。
5人で覗いていれば何となく気配を感じるのだろうか。
「どうか警戒しないでください。ただ俺たちは通りすがりに美しい声が聞こえたもので聞き惚れていただけです」
「あら、お世辞がお上手ですのね。私はヘレナ。近くの村の教会でシスターをしております」
ヘレナはその場で丁寧にお辞儀をした。
「俺は十夜」
「俺様はポセイドンだ!」
「メティスです」
「俺はアレスだ」
「マリンです。どうぞよろしくお願い致しますわ」
各自挨拶を済ませるとヘレナはニコッと笑いもう一度お辞儀をした。
「ヘレナさんはなぜこんなところに?」
「...」
ヘレナは少し黙り込み鎧へと歩み寄った。
「この鎧は父の形見なんです」
こんな大きいものがヘレナさんのお父さんの形見...。
「父は偉大な戦士でした」
ヘレナはどこか遠い目をして話を続けた。
「このジーク島にはジークフリードという龍がいます。ですが、力を無くしたジークフリードでは魔物の力を抑えきれず島の魔物が年々力を増してきています」
「あのジークフリードが力を無くすなんて...」
ヘレナの言葉にメティスが戸惑っていた。
「3年前、村を襲った魔物達により父は戦死しました...。そして形見であるこの鎧は誰も動かせぬままここに放置されています」
ヘレナの目には少しの涙があった。
「この巨人はそんな大切な物だったんですね」
十夜は胸が熱くなるのを感じた。
「さあ、ここにいると危険な魔物が来るかもしれません。私の村へ案内いたします」
そう言ってヘレナさんは俺たちに背を向け、見えないように涙を拭った。
マリンの声が聞こえる。
「十夜さん、十夜さん」
体を揺さぶられ意識が少しずつハッキリとしていく。
だが体は動かない。
「十夜くん起きてください」
メティスの声も聞こえる。
「...こ、ここは...」
目をゆっくりと開ける。
「やっと起きたか!」
「ポセイドンもいたのか」
「俺もいるぜ」
目を開けるとその場にはマリン、メティス、ポセイドン、アレスがいた。
それと同時に俺の目には薄暗い森が写った。
「なんでこんなところに」
「恐らくこれがレヴィアタンの言っていた試練ですわ」
確かにレヴィアタンは俺たちに最後、ジーク島の試練を受けてもらうと言っていた。
ということはここはジーク島のどこかの森ということか。
「恐らくですが、この森に飛ばされたということはこれが3つのうちの1つ『巨人の樹海』でしょうか」
メティスがレヴィアタンの言葉を思い出し呟いた。
「ところでここに飛ばされたのは俺たちだけなのか?」
「全員ここで気絶してたぜ!俺が1番早く目を覚まして確認した!」
ポセイドンが自慢げに言った。
「他の奴らが心配だ。ここにいるのは5人、残りの8人が均等に別れているかわんかねぇし、そもそもあの竜巻で全員生きてるかもわかんねぇ」
「心配しなくても大丈夫だアレス。みんな強い。こんな事じゃ簡単にしなないさ」
「し、心配なんてしてぇ!?」
心なしか俯いているように見えたアレスに声をかけたが余計なお世話だったらしい。
「皆さん見てください。ここ、道が開けていますわ」
本当だ。進んでくださいと言わんばかりにあからさまに道がある。
しかもご丁寧に俺たちの後ろは崖。
まあこっちに進むしかないか。
「こんな試練さっさと突破してみんなと合流しよう!」
俺はみんなを元気づけようと先頭に立った。
「というか女の子一人と男四人はなかなかむさ苦しいですわ」
「マリンちゃん申し分ありません...」
メティスがバツが悪そうに軽く頭を下げた。
だが確かにわざわざ俺たちを分断させたのには何か意味があるのだろうか。
「メティスさっき『巨人の樹海』っていったよな?だとしたら試練の内容は巨人討伐ってところか?」
「その可能性は高いですね」
「なら楽勝じゃねぇか!俺たちなら一瞬で終わるんじゃねえか?」
確かにポセイドンの言う通り討伐ならまだ単純な内容だ。だが試練と言うほどだ、そんな単純なものなのか?
「十!俺が最初に正面から殴る!っで後からお前らが追撃だ!」
「待ってくださいアレスくん。ここは慎重に行かないと」
そういえばアレスは以前俺の傷を治癒してくれたことがある。貴重な回復役としてはもっと慎重に行動させる方がいいだろう。
「そうだぞアレス。お前は回復役としての役割もある。もしモンスターが出てもここは慎重に行くぞ——うぉ!」
「おい西木!あれみろよ!」
アレスと話している最中、ポセイドンが俺の襟を引っ張り自分の目線の先を俺に見せた。
「なんだ...あれ...」
俺たちの目の前に現れたのは巨大な鎧。
それは巨大だが草木に侵食されその場に横たわっていた。
「これが巨人、いやただの鎧か?」
俺達は恐る恐る近ずいた。
「皆さんお静かに」
マリンが耳をすましながらその場で立ち止まった。
「何か歌が聞こえますわ」
俺たちはマリンの言葉を聞き耳をすました。
すると巨大な鎧がある方から微かに女性の歌声が聞こえた。
それはとても美しく自然と足が吸い寄せられるようだった。
「みんな慎重に行くぞ」
俺たちは息を殺して歌声の方へと足を運んだ。
「あそこに誰かいるぞ」
アレスが指をさした方向には鎧に祈りを捧げるように美声を森に響かせる白髪の美しい女性がいた。
「綺麗だ」
思わず声に出てしまうほどに美しい歌声だった。
聞き惚れているうちに歌が終わり女性はその場にゆっくりと立ち上がった。
「隠れていないでこちらへいらっしゃってください」
バレていたか。
5人で覗いていれば何となく気配を感じるのだろうか。
「どうか警戒しないでください。ただ俺たちは通りすがりに美しい声が聞こえたもので聞き惚れていただけです」
「あら、お世辞がお上手ですのね。私はヘレナ。近くの村の教会でシスターをしております」
ヘレナはその場で丁寧にお辞儀をした。
「俺は十夜」
「俺様はポセイドンだ!」
「メティスです」
「俺はアレスだ」
「マリンです。どうぞよろしくお願い致しますわ」
各自挨拶を済ませるとヘレナはニコッと笑いもう一度お辞儀をした。
「ヘレナさんはなぜこんなところに?」
「...」
ヘレナは少し黙り込み鎧へと歩み寄った。
「この鎧は父の形見なんです」
こんな大きいものがヘレナさんのお父さんの形見...。
「父は偉大な戦士でした」
ヘレナはどこか遠い目をして話を続けた。
「このジーク島にはジークフリードという龍がいます。ですが、力を無くしたジークフリードでは魔物の力を抑えきれず島の魔物が年々力を増してきています」
「あのジークフリードが力を無くすなんて...」
ヘレナの言葉にメティスが戸惑っていた。
「3年前、村を襲った魔物達により父は戦死しました...。そして形見であるこの鎧は誰も動かせぬままここに放置されています」
ヘレナの目には少しの涙があった。
「この巨人はそんな大切な物だったんですね」
十夜は胸が熱くなるのを感じた。
「さあ、ここにいると危険な魔物が来るかもしれません。私の村へ案内いたします」
そう言ってヘレナさんは俺たちに背を向け、見えないように涙を拭った。
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