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姫乃ちゃんの手料理〜いただきます
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「紗希先輩。食器ってどれ使ったら良いですか?」
「そこの棚の中に入っているものならなんでも良いよ~」
そう言って、私が用意するだけ用意したが、結局使ってなかった台所を、姫乃ちゃんが縦横無尽に動き回っている。
買い物から帰った私達は、しっかりと手洗いをしてから料理を開始した。
初めは私も手伝おうとしていたのだが、姫乃ちゃんと比べるとあんまりにも危なっかしい手つきだったので、自ら途中で応援に回ることにした。
ちなみに今日作ってもらっている料理は、オムライスと野菜のコンソメスープだ。
姫乃ちゃんの好きな料理がオムライスっていうのは可愛らしい姫乃ちゃんによく似合っているなぁとは思った。
オムライスって卵を綺麗に作るのが本当に難しいだよね。
まぁちょっとコツを掴めば簡単にできるようになるけどね。
…そうYouTubeで言っていた。
ちなみに姫乃ちゃんは滑らか動きでフライパンを操り、優しくふるえる卵をケチャップライスの上にそっと乗せていた。
姫乃ちゃん!わかってはいたがこの子、料理スキルがなかなか高いようね。
私がやったら、せっかく作ったふるえる卵をグチャっとしてしまうところね。
「姫乃ちゃん上手!卵がふるえてる。柔らかそう~」
「はいっ!私もなかなか上手にできたと思います!」
今日も眩しい笑顔を向けてくれる姫乃ちゃん。
なんて良い子なんだろう。私みたいな女子力0には出すことのできないオーラがある!
「それじゃあ、スープをつぐから姫乃ちゃんは座ってていいよ」
そう言って、残りの準備ぐらいはやろうとスプーンとスープの準備をする。
「いえ!まだ重要なミッションが残っていますよ!」
あれ?まだこれから料理作るのだろうか?
でも、買ってきた材料は大体使った気がするけど。
私が不思議そうな顔をしていると、姫乃ちゃんはこれまではビールしか入ってなかった冷蔵庫からケチャップを取り出した。
「あぁケチャップか。確かにオムライスといえば最後にケチャップをかけとかないとね」
「紗希先輩のオムライスにケチャップ書いときますね」
「うん、ありがとう」
なんて至れり尽くせりなんだろう。
そう思っていると、姫乃ちゃんは急に真面目な顔になった。
そして、ただ適当にケチャップをかけるかと思いきや、真剣に文字を書きだした。
あんまりにも真剣だから止めるわけにもいかず、そのまま見守った。
すると私のオムライスの上には赤い文字で、
『かよ』
と姫乃ちゃんの名前が書かれていた。
「結構綺麗に書けたね」
「はい!先輩に美味しく食べてもらおうと思いながら書いたので当然です!」
どうして私のオムライスに自分の名前を書いたのだろう、まぁいっか。
「姫乃ちゃん。ケチャップ貸して」
「あれっまだ足りないんですか?かけ過ぎは体に悪いですよ?」
「そうじゃないから」
そう言って、ケチャップを奪って姫乃ちゃんのオムライスに私も赤い文字を書いていく。
「はい、どうぞ」
「…紗希先輩」
「どう?私もなかなか上手くかけたでしょ」
我ながら上手に名前が書けたと思う。
なのに姫乃ちゃんは、ちょっと予想と違うことが書かれたからか思わず聞いてきた。
「なんで『さき』って書いてくれなかったんですか!?」
「いや恥ずかしいし」
うん、相手が食べるオムライスにわざわざ自分の名前を書くだなんて恥ずかしすぎる。
私を食べてとでも言っているのだろうか?
なので、姫乃ちゃんのオムライスには『かよ』と書かせてもらった。
そのため、テーブルの上には『かよ』と書かれたオムライスが2個乗っている
「もう、素直に書いてくれたら嬉しかったのに…」
「まぁいつかまた機会があればね」
「ちゃんと聞きましたからね?」
軽く言ってしまったが、約束をしてしまった。
…次はささっと自分の分にケチャップをかけてしまおう。
「だけど本当にオムライス美味しそうだ。やっぱり姫乃ちゃんは料理上手だったんだね」
「そんなに凝った料理はできませんけどね?まぁ、家庭料理ならお母さんとよく一緒に作ったんで自信ありますね」
「お母さんと一緒に料理作るんだ?」
私はお母さんと料理を作ったことなんてないから、ちょっと不思議そうに聞いてしまった。
「そうですね、女の子なんだから料理ぐらい作れるようにしときなさいって言われてですね。今時そんな考え古いとは思ってました。でも、こうして紗希先輩に料理をふるまえたので、これまでの努力は無駄ではなかったと喜んでおります!」
「こんなに美味しい料理を食べれるのは姫乃ちゃんのお母さんのおかげなんだね。お母様に感謝です」
他の家ではお母さんと一緒に料理を作るのは普通なのだろうか?
もしそうなら、私が料理をできないのは決して自分だけの所為ではないと胸を張っていえるな。
いや胸を張ってはいえないか?
とにかく、姫乃ちゃんの料理はとってもおいしかった。
オムライスは卵が半熟で、中からとろりとした部分が溢れてくる。それをケチャップライスと一緒に食べることで、卵の甘みとケチャップライスの酸味が口の中でうまく合わさる。
外食にばっかり行っている私からすると、外食の暴力的な味付けよりも、姫乃ちゃんの優しい家庭的な味付けの方が美味しく感じる。
あんまりにも好みの味だったから、無我夢中で食べ切ってしまった
「ごちそうさま、本当においしかったよ」
「はい、お粗末様です」
「でも、ごめんね?」
「えっ、何がですか?」
「せっかく一緒に食べてるのに、食べるのに夢中になってあんまり話ができなかったでしょ?」
外用の私だったら、適度に話をして沈黙が辛くならないように多少は気を使う。
でも姫乃ちゃんならいっかな?って思ってしまったんだよね。
「私は先輩が美味しそうに食べる姿を見られて幸せでしたよ?」
他の人が言ったら冗談なんだろうと思うが、姫乃ちゃんを見ると嘘ではないことが確かにわかった。
なんと言ったら良いのかはわからないが、姫乃ちゃんの空気が優しくて暖かい感じがしたから。
「それなら、よかった」
そんな眼差しでこっちを見るから、私も少し照れてしまいちょっとぶっきらぼうな言い方になってしまった。
それでも姫乃ちゃんの優しさに満ち溢れた顔は変わらなかった。
***************
作者から みんなへ
いつも読んでくれてありがとうね!
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「そこの棚の中に入っているものならなんでも良いよ~」
そう言って、私が用意するだけ用意したが、結局使ってなかった台所を、姫乃ちゃんが縦横無尽に動き回っている。
買い物から帰った私達は、しっかりと手洗いをしてから料理を開始した。
初めは私も手伝おうとしていたのだが、姫乃ちゃんと比べるとあんまりにも危なっかしい手つきだったので、自ら途中で応援に回ることにした。
ちなみに今日作ってもらっている料理は、オムライスと野菜のコンソメスープだ。
姫乃ちゃんの好きな料理がオムライスっていうのは可愛らしい姫乃ちゃんによく似合っているなぁとは思った。
オムライスって卵を綺麗に作るのが本当に難しいだよね。
まぁちょっとコツを掴めば簡単にできるようになるけどね。
…そうYouTubeで言っていた。
ちなみに姫乃ちゃんは滑らか動きでフライパンを操り、優しくふるえる卵をケチャップライスの上にそっと乗せていた。
姫乃ちゃん!わかってはいたがこの子、料理スキルがなかなか高いようね。
私がやったら、せっかく作ったふるえる卵をグチャっとしてしまうところね。
「姫乃ちゃん上手!卵がふるえてる。柔らかそう~」
「はいっ!私もなかなか上手にできたと思います!」
今日も眩しい笑顔を向けてくれる姫乃ちゃん。
なんて良い子なんだろう。私みたいな女子力0には出すことのできないオーラがある!
「それじゃあ、スープをつぐから姫乃ちゃんは座ってていいよ」
そう言って、残りの準備ぐらいはやろうとスプーンとスープの準備をする。
「いえ!まだ重要なミッションが残っていますよ!」
あれ?まだこれから料理作るのだろうか?
でも、買ってきた材料は大体使った気がするけど。
私が不思議そうな顔をしていると、姫乃ちゃんはこれまではビールしか入ってなかった冷蔵庫からケチャップを取り出した。
「あぁケチャップか。確かにオムライスといえば最後にケチャップをかけとかないとね」
「紗希先輩のオムライスにケチャップ書いときますね」
「うん、ありがとう」
なんて至れり尽くせりなんだろう。
そう思っていると、姫乃ちゃんは急に真面目な顔になった。
そして、ただ適当にケチャップをかけるかと思いきや、真剣に文字を書きだした。
あんまりにも真剣だから止めるわけにもいかず、そのまま見守った。
すると私のオムライスの上には赤い文字で、
『かよ』
と姫乃ちゃんの名前が書かれていた。
「結構綺麗に書けたね」
「はい!先輩に美味しく食べてもらおうと思いながら書いたので当然です!」
どうして私のオムライスに自分の名前を書いたのだろう、まぁいっか。
「姫乃ちゃん。ケチャップ貸して」
「あれっまだ足りないんですか?かけ過ぎは体に悪いですよ?」
「そうじゃないから」
そう言って、ケチャップを奪って姫乃ちゃんのオムライスに私も赤い文字を書いていく。
「はい、どうぞ」
「…紗希先輩」
「どう?私もなかなか上手くかけたでしょ」
我ながら上手に名前が書けたと思う。
なのに姫乃ちゃんは、ちょっと予想と違うことが書かれたからか思わず聞いてきた。
「なんで『さき』って書いてくれなかったんですか!?」
「いや恥ずかしいし」
うん、相手が食べるオムライスにわざわざ自分の名前を書くだなんて恥ずかしすぎる。
私を食べてとでも言っているのだろうか?
なので、姫乃ちゃんのオムライスには『かよ』と書かせてもらった。
そのため、テーブルの上には『かよ』と書かれたオムライスが2個乗っている
「もう、素直に書いてくれたら嬉しかったのに…」
「まぁいつかまた機会があればね」
「ちゃんと聞きましたからね?」
軽く言ってしまったが、約束をしてしまった。
…次はささっと自分の分にケチャップをかけてしまおう。
「だけど本当にオムライス美味しそうだ。やっぱり姫乃ちゃんは料理上手だったんだね」
「そんなに凝った料理はできませんけどね?まぁ、家庭料理ならお母さんとよく一緒に作ったんで自信ありますね」
「お母さんと一緒に料理作るんだ?」
私はお母さんと料理を作ったことなんてないから、ちょっと不思議そうに聞いてしまった。
「そうですね、女の子なんだから料理ぐらい作れるようにしときなさいって言われてですね。今時そんな考え古いとは思ってました。でも、こうして紗希先輩に料理をふるまえたので、これまでの努力は無駄ではなかったと喜んでおります!」
「こんなに美味しい料理を食べれるのは姫乃ちゃんのお母さんのおかげなんだね。お母様に感謝です」
他の家ではお母さんと一緒に料理を作るのは普通なのだろうか?
もしそうなら、私が料理をできないのは決して自分だけの所為ではないと胸を張っていえるな。
いや胸を張ってはいえないか?
とにかく、姫乃ちゃんの料理はとってもおいしかった。
オムライスは卵が半熟で、中からとろりとした部分が溢れてくる。それをケチャップライスと一緒に食べることで、卵の甘みとケチャップライスの酸味が口の中でうまく合わさる。
外食にばっかり行っている私からすると、外食の暴力的な味付けよりも、姫乃ちゃんの優しい家庭的な味付けの方が美味しく感じる。
あんまりにも好みの味だったから、無我夢中で食べ切ってしまった
「ごちそうさま、本当においしかったよ」
「はい、お粗末様です」
「でも、ごめんね?」
「えっ、何がですか?」
「せっかく一緒に食べてるのに、食べるのに夢中になってあんまり話ができなかったでしょ?」
外用の私だったら、適度に話をして沈黙が辛くならないように多少は気を使う。
でも姫乃ちゃんならいっかな?って思ってしまったんだよね。
「私は先輩が美味しそうに食べる姿を見られて幸せでしたよ?」
他の人が言ったら冗談なんだろうと思うが、姫乃ちゃんを見ると嘘ではないことが確かにわかった。
なんと言ったら良いのかはわからないが、姫乃ちゃんの空気が優しくて暖かい感じがしたから。
「それなら、よかった」
そんな眼差しでこっちを見るから、私も少し照れてしまいちょっとぶっきらぼうな言い方になってしまった。
それでも姫乃ちゃんの優しさに満ち溢れた顔は変わらなかった。
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