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早く殺しておけば…

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俺はトボトボと複雑の思いのまま冒険者ギルドに戻る

「ねぇ今からどこに行くの?」

俺は未だローリスが話してくれた事が信じられないでいたビゼンがあのバケモノの本体で確定でいいのか?

「顔怖いよ!思い詰めてるの?そんな思い詰めないで?」

ビゼンが言っていた仮説よりメーディアの言っていた仮説の方が……嫌…違う…俺はビゼンの仮説も信じたいんだ進化は失敗したんだ失敗して今のビゼンがいるんだビゼンも困っているんだ…自分の中に魔物がいる事が嫌に決まってる本人が1番困ってるんだビゼンが本体なんかじゃない…

「おーい!まだ君の名前聞いていなかった名前は?」

ビゼンは俺の腕を治してくれたんだ
なぜだ?ビゼンが本体ならなぜ腕を治した?
信頼を得るためか?マスターだって躊躇なくすぐ治してくれた
ビゼンは誰も傷つけないって言ったんだ

「おーい私の話聞いてる?」

1番分からないのは人間族の絶滅が目的ならメーディアの戦闘の時になぜわざわざメーディアの魔法を凍らせた?そのまま俺とメーディアを殺せたはず
あのまま帝都だって壊滅できたはずだ……
ビゼンは何がしたいんだ?
真の目的は何なんだ!

そう自問自答していると冒険者ギルドに着いた

気持ちの整理がつかないローリスはビゼンが本体だと確信したその上で早く殺した方がいいと

入り口で立ち止まり中に入れないでいた

「おーい!おーい!
何ボーと突っ立っているの入らないの??おーい」

地のエルフが至近距離で俺の顔を覗き込んできた

「わぁぁ!何でお前がここに?ずっとついて来てたのか?」

「さっきからずっと話しかけてたけど無視されてた!ひどい!さっきから名前聞いているのに
ローリス様がビゼンって子早く殺した方がいいって言ってたから私も手伝うよ!」

「だから何でお前が?」

「ローリス様が人間族に加担したから罰だって森を追い出された!」

「行く当てがない!」

「責任とって!」

「何で俺が!」

「そもそもさっきローリスから聞いた話は絶対に誰にも言うな!」

「何で?悩む必要ない殺せばそれで全てが終わる!なのに何で?」

「お前には俺の気持ちなんて分からないだろうな!」(あの時のビゼンとの戦闘はもうしたくない)

俺はビゼンを殺せるのか?そもそも勝てるのか?
メーディアが歯が立たなかった相手だ…

「全然わかんない!わかりたくもない!」

「何だと!!そんな言い方ないだろ!!」

「何よ!やる気?」

「とにかく上手い事俺の話に合わせろ!俺たち相性いいんだろ?」

その時
冒険者ギルドの扉が開く

「もう!うるさい!誰よ外でケンカしてる輩は!
あれ?ハルト様?帰ってたの?」

ビゼンが出てきた顔を合わすことができない
俺はうつむきながらビゼンに話しかける

「ビゼン!そっちは変わりはないか?」

「うん!特に何も変わりはないよ!」

「あなたがビゼンね!殺す!」

「おいおい!お前は黙ってろよ!」

「いきなり何なの?この子!」

俺はエルフにボソッと耳打ちする

「ここは俺に任せてくれ!俺がビゼンが本体だって確証得たことは黙っててくれ」

「何でよ!」

「良いからここは奴を泳がせる!時が来たらその時は俺が戦う!」

「分かったわよ!」

「何2人ともボソボソと私に隠し事?」

「イヤこの子は俺の仲間だ!勇者パーティに入れる!」

「え?そうなの?可愛い子ね!私はビゼンよろしくね!」

「ふん!気安く私に話しかけるな!」

「ハルト様…この子は機嫌が悪いみたいね…
この子名前は?」

「そういえば俺も聞いてないな!お前名前は?」

「ふん!教えない!」

「おいおい!ここは愛想よくしてくれよ頼むから話合わせて!」

またボソッとエルフに耳打ちをする

「分かったわよレイラよ地のエルフ レイラって言うのよろしくね!」

レイラは満面の笑みでハルトを見た

「これで良い?」

「ああ上出来だ!」

「よろしくねレイラ!
で?ハルト様!ゴブリンキングは?持って帰ってるわよね?素材にするんだから報酬も渡すよ!」

「嫌…持って帰ってくるの忘れてな!」

「えええ!何で?」

「ごめんゴブリンキング現れなかったんだ……」

「どっちなのよ?!
言ってる事適当すぎるんだけど?何かあったの?
そんなボロボロは何?ゴブリンキング相手にこんなボロボロにならないわよね?」

「実は…これはレイラを怒らせてしまって戦闘になったんだ…な?!レイラ!」

「そうね私がボコボコにしてやった!私がボコったから恥ずかしくて言いにくいのよ私に負けたから」

「俺は負けてない!」

「ふーん……まぁいいわ今回復してあげる
治癒魔法:リプロダクションホウリーウォーター」
(まただなぜ俺を助けるなぜ回復させるんだ?)

その時
奥からメーディアの慌ただしく走ってきた

「ビゼン!早く来て!あれ?ハルトも帰ってきたのね!それよりマスターが目を覚ました!」

「ほんと!!良かった!」

急いでマスターの元へ駆けつけた




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「マスター気分はどう?」

「マスターごめんなさい私あの時……」

「……んーん…ここは?」

「医務室よ!」

「メーディア…ハルトもいるのか…ん?君は誰だ?」

「あんたこそ誰よ人間族め!」

「こらレイラやめろちゃんと挨拶するんだ」

「レイラ?レイラって言うのか!よろしくな!俺はここの管理してるギルドマスターのオキだ!よろしく!」

「マスター!レイラは俺の仲間で地のエルフなんだぜかなり強い!」

「お?!それは心強いな!」

オキはベットから起き上がり立ち上がった

「おいおい!もう少し寝てなくていいのか?」

「ああ大丈夫だそれよりメーディア!さっきから泣くな!俺はもう大丈夫だ」

「ううっ…うん……ほんとうにごめんなさい!」

「メーディア!俺はもう大丈夫!この通り傷も残ってない今すぐ働ける!1週間も寝てたんだからな!心配かけてすまない!」

「もう働くのかよマスター!今日は休んで目を覚ました祝いに今日は飲み明かそうぜ!エルフも仲間になったし歓迎も兼ねて宴だな!」

「いいわねハルト!一緒に買い出し行きましょ!」

「お!!いいねじゃマスターそう言う事で今から買い出しに行ってくる!エルフ!お前もこい!」

「仕方ない行ってやる!」

「ビゼンも行くか…?」

「私は店番があるから3人で行ってきて!」

「そうか……分かった!じゃまたあとで!」

「うんまた後で……」

ギルドを出た3人は
俺とメーディアとレイラの3人で買い出しに出かけた

ビゼンとオキの2人が医務室に残っている


「行ったわね!
うーん……オキを“侵食”してから1週間か……
長いわね…
でも以前の記憶も残ってるし話も自然だった!
疑われてないわね“あなたは”!!
人間族らしい話もできているし上出来!!成功よ!
でも“今はまだ”って事ね
今から1週間後が楽しみね!
ねぇオキ?あはっ!」

「左様でございます“ビゼン様”」
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