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もう1人の転生者?!ルナの過去

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「一旦逃げるわよ」

『賢者様落ち着いて下さい大丈夫です賢者様には水属性があります!この者は毒にだけ効かないだけです』



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私の名前はサンデリア・マラエンシス・ルナ
私の事をみんなルナと呼ぶ“ルナ”は聖女様が付け足した名前
どこで生まれどこで育ったか私自身分からない
聖女様が私を見つけてくれた

 8月27日(晴れ)

 AM1:30

 南ステージ海岸


「聖女様たまにはいいもんですね!子供達を海に連れてくるのは!みんな楽しそう!」

「そうね!たまにはいいものです」

子供達と海で遊んでいると海辺で倒れ込んでる少女がいた

「聖女様あれは人間ではありませんか?海に浸かっては危険です」

「そうね行ってみましょう!あなた達はここで遊んでてください遠くへ行ってはなりませんよ!」

「はーい!」

聖女様は少女に駆け寄った

見たところこの子は5~6歳くらいかしら何でこんな所に?

「君!大丈夫!お名前は?」

反応がないけど生きてはいるみたいね良かった…

「聖女様とりあえずこの子を私達の孤児院に休ませましょう」

体が冷たい?これはやばいわね

「ええ急ぎましょう!」



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ベットへ寝かせて様子を見る事にした

「回復ポーションを飲ませたし様子を見ましょうかそのうち起きると良いんですが」

「聖女様この子どこの子でしょうか?」

「そうねここら辺で見かけない子ね」



 次の日の朝

「…」

「少し動いた?起きたのですね!聖女様をお呼びするのでそのままでいて下さい」

今まで一度も動かなかった少女は少し動いた
そして目を少し開けた

「…」

数分後聖女様が駆けつけてきた

「起きたのね!あなたお名前は?」

「…」

「どこから来たのかな?」

「…」

「お父さんとお母さんはどこかな?」

「…」

「聖女様この子喋りませんね」

少女の目は開いているが
聖女様が問いかけても少女は反応しなかった

「きっと見知らぬ場所だから緊張しているのでしょう!」

「それにこの子の目白いです」

「…」

聖女様はルナの手を握り話しかける

「大丈夫よここは私達の孤児院なの心配しないで」

「…」

「これ飲んで温かいスープです」

「…」

「聖女様目は開いているのですがちゃんと意識はあるのでしょうか?ちっともこちらを向いてくれません」

「大丈夫!時間かかるけどそのうち慣れてしゃべるようになるわ待ちましょ!」



それから3日が経ち更に一週間が経ってもルナは喋る事も体を動かす事も無かった出来るのは瞬きだけ
聖女様は名前のわからないその子にルナと名付けた

「おはよう御座いますルナちゃん朝ですよ!今日も頑張って朝ご飯食べましょうね!」

「…」

体が馴染んできたのかルナの耳は少しずつ聞こえるようになった

ルナは声のする方に耳を傾ける
だがその聖女様の言葉はルナには理解できないルナにとっては今まで聞いた事ない音でしかない
聖女様は朝から夜までルナの世話をした
聖女様が話しかける時は必ず手を握りしめルナの名前を呼んだ


 その日の夜

「ルナちゃん寝る前に体を拭きますね!」

「…」

「ルナちゃん冷たくないですか?」

「…ル」

「え?今ルって言いましたか?」

「ル…ル……」

ルナは同じ音を発しようとしていた
だがうまく喋れないそのうちルナは寝入ってしまう
それから毎日聖女様はルナのお世話をした
だがルナが喋る事は無かった

 1か月後

「ルナちゃんおはよう御座います!今日もいい天気ですよ!」

「…ルナ……ル」
 

ルナの言葉だけ聞き取れていた

「ル…んぁ……」

「え?今ルナって言った!」

「…ぅんナぁ」

「良かった…喋れるようになったのね」

それから少しずつ手や足も動かす事ができるようになった

「…」

それから更に1ヶ月が経ちルナが孤児院に来て2ヶ月が経過した

「おはよう御座いますルナちゃん今日は海にお出かけしましょう」

「あー…あ~」

ルナは手と足をバタバタさせた

「あら!?嫌なのかしらでも部屋に閉じこもってばかりではいけませんし」

「…ルナ……ルナ!」

意思疎通はできないが聖女様はルナに話しかけながら何とか抱き抱えて海へ向かった

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「……」

海の匂い
今まで感じなかった嗅覚がルナの鼻を刺激した

「ルナちゃん綺麗な海でしょ!」

「ルナ!ルナ!」

匂いに反応して
ルナはバタバタと手足をばたつかさせた

「ルナちゃん暴れないで!落ちるわよ」

抱き抱えていたルナを離してしまった
その時ルナは倒れる事はなくこの時初めて自分の足で砂浜の上に立った

「ルナちゃん!立てるのね!すごいですわ!」

「…」




それからまた数日が経ち

「ルナちゃんおはよう御座います!」

「ルナちゃんおはようございます!」

「ルナちゃん何言ってるのよ
私の名前はエレナよ!」

「わたしのの名前はエレナとよ」

「違いますエレナは私であなたがルナよ」

「エレナはルナよ」

 ルナは言葉の意味はわかっていなかった
 聖女エレナの言葉を真似するだけだった

「今日の朝ごはんはルナちゃんの好きなスープよ」

「ごはんルナちゃん好きなスープよ」

「そう!ルナちゃんのスープよ」

 聖女エレナはルナの目の前にスープの器を置いた

「自分で飲める?」

「じぶんで飲めるる?」

器を置いた時の音に反応した
ルナは手探りで触る
その時聖女様はルナの違和感に気づく

「ルナちゃんもしかして目が見えないの?」

「ルナちゃん目がみえないの」

 ルナはスープとは全く逆の方向を向いていた

「そんな…そのうち見えるようになるかしら…」

「そううちみえるようになるかしら」

「分かった…大丈夫よいつもみたいに私が飲ませるからね」

「だいじょうぶのませるからね」

聖女様はこの日から毎日言葉の意味を教えた


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