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「皆の気持ち、承った! この一益、本当に良き家臣団を持ったと痛感いたした・・・ありがたく思う・・・この通りじゃ・・・」
謝辞を述べ再び一同に頭を下げた一益は、ぐっと面をあげ眼に力を込め口を開く。
「では、筑前を相手に戦をするにあたっての当家の指針を述べる・・・わしは、雪解けを待って近江路に兵を出す修理殿を待っての挙兵はせぬ!!!」
「「「 おおっ⁉ 」」」
どよめく一同を見渡し、一益は続ける。
「修理殿の挙兵を待って当方が兵を挙げれば、筑前は主力を修理殿に当て、当方にはこの長島を包囲するだけの兵を残せばよく、奴にとってこの長島方面での戦は片手間の作戦になってしまうからだ。まあ、こちらは兵をこぞって集めても三千ほどであるからな ククク・・・ だが、それではつまらぬ!!」
一益は不敵な笑いを浮かべるや、言葉を続ける・・・
「わしはここ長島、桑名から伊勢亀山までの東海道にこの北伊勢一帯に秀吉をおびき寄せるつもりじゃ。それも奴が総力を持って当方に当たるより仕方がない状況をわしは作るつもりである・・・。北伊勢に奴の総兵力を引き込み、奴の備える食料、弾薬を北伊勢の地に全て吐き出させるつもりじゃ・・・こちらで戦を長引かせ、奴が頼みにしておる佐和山の備蓄分まで手をつけさせる事態になればしめたもの。湖北山岳地帯で戦う修理殿に対してもこれは間接的にも援護となろうでな・・・補給事情が当初の予定通りでなくなれば修理殿と対陣し持久戦に持ち込めば勝とふんでおる秀吉もその時点ではそんなに余裕は無くなるであろうからな・・・更には修理殿が湖北まで到着する時まで北伊勢にて我らが秀吉の兵を引きつけておけば、湖北山岳地帯での戦場においての兵力差が格段に減る・・・これも修理殿に対し馳走になるであろうよ」
「「「 おお・・・」」」
その時、ため息を上げる一同の後方から、慶次郎が一益に問うた。
「で、ありますが叔父御。わずか三千ほどの兵力の当家がどうやって筑前殿の総兵力七万とか、八万と予測される軍勢をそう首尾よくこちらの思うように北伊勢の地に引き込めるのでありましょうか? そんなに都合よく筑前殿が動きましょうか?」
「うむ、そちの言う事もっともじゃ。 であるからして、筑前が血相を変えて総力を挙げ北伊勢の地に来たくなるようこちらで舞台を作っておく」
「舞台・・・ですか?」
一益は、慶次郎の問いに答えると不敵な表情を見せ、寡黙な滝川益氏に視線を向ける・・・
「慶次郎があのように申しておるが、益氏よ最も重要な舞台の一つである伊勢亀山城はどれくらいで落とせる?」
「・・・現在、亀山城主関盛信殿、ご子息一政殿のお二人は姫路に向かっており城内に不在であることは確認しております。かねてより、一政殿が世継ぎになる流れに反しもう一人のご子息である盛忠殿を擁立せんとする家老職一派とは話しがついております故に、盛信殿、一政殿不在の今が絶好の機会かと存じます・・・。されば戦船の準備次第にございますが、亀山の地にそれがしが到着すれば三日もあれば・・・亀山城は落とせるかと」
「と、益氏が申しておるが、平右衛門 戦船の用意はいかに?」
一益の問いに二番家老で滝川水軍総帥の篠岡平右衛門は表情も変えずに答える。
「大廻舟三十艘、小廻舟六十艘、殿の下知があれば直ぐに出せますぞ。上陸予定地の千代崎、白子、豊津、どの港にするかについては当日の風向き、強さによって決めさせていただくことになるかと・・・」
「だそうだ、益氏」
「承知致しました、篠岡殿」
(えっ⁉ 今、益氏殿は何と言った⁉ 亀山城を三日で落とすだと???)
慶次郎は驚愕する
「もう一つの大舞台である峯城はどうじゃ義太夫?」
「うむ、現城主岡本良勝殿は元々岐阜城主織田信孝様の家老職であったが此度、筑前殿に鞍替えしたばかりじゃでのう・・・それもあって岡本殿に不信を抱く家老職はすでに調略済みよ。・・・そうじゃな、わしも三日あれば落とせるであろうな。平右衛門殿、海路は宜しくにござる」
「承知致した・・・」
(峯城も、三日だと⁉)
「けっこうである。義太夫よ峯城の件、了解した。では次じゃ」
一益はついで、滝川忠征に視線を向け問う
「忠征、関城はいかに?」
「はっ、人任せになりますが益氏殿が亀山城を落とせば三日もあれば、更に亀山城、関城も落ちればの条件で国府城、鹿伏兎城も数日で調略可能でございます」
「よう、準備した。忠征! 褒めてとらす」
「はっ!、ありがたき幸せ」
「益氏、聞いたな? 忠征の功、そちの働き次第だぞ?」
「承って、候」
(な 何を言っておるのだ・・・この男達は・・・)
慶次郎は一益らの会話に驚きのあまり思考がついていけないでいる・・・
(伊勢亀山城だけでなく、峯城、更には関城、国府城、鹿伏兎城まで数日で落とすだと!!⁉)
「叔父御!!」
たまりかねた様に慶次郎は声を上げる。
「うん?」
「叔父御は、初めから秀吉殿と戦うつもりであったのであろう?」
一益はゆっくりと頭を振ると
「いいや、それは違うぞ慶次郎。わしが筑前との戦を決意したのは今の今じゃ・・・決め手となったのが関親子が亀山城を留守にしておると、先程益氏から聞き及んだことにある」
「ん⁉」
「確かに、最前皆の前で筑前に頭を下げたくない一心からあ奴と戦いたいと申したが、実際に決断したのは平右衛門、益氏、益重、忠征の報告を受けてからじゃ。戦になるならぬは別として、そのために事前準備をしておくの事は家を預かる当主の務めであるからのう・・・まあ、慶次郎も思うところはあろう。じゃが、その話しはこの軍議の後にせい、よいな・・・」
「いやっ! そういう事でなくそれがしが言いたいのは叔父御は、いつから筑前殿との戦を念頭に置かれて三人の方々に調略準備を命じていたのかということじゃ」
「フッ・・・、大徳寺の信長様の葬儀の後からじゃ・・・」
「えっ⁉ そ そのような時から・・・」
「慶次郎殿・・・」
まだ、何か言おうとする慶次郎に木俣忠澄が穏やかな表情で、これ以上は無用とばかりに首を振る・・・
「又左殿・・・。叔父御、仔細は後程お聞かせくださるな?」
「よかろう」
謝辞を述べ再び一同に頭を下げた一益は、ぐっと面をあげ眼に力を込め口を開く。
「では、筑前を相手に戦をするにあたっての当家の指針を述べる・・・わしは、雪解けを待って近江路に兵を出す修理殿を待っての挙兵はせぬ!!!」
「「「 おおっ⁉ 」」」
どよめく一同を見渡し、一益は続ける。
「修理殿の挙兵を待って当方が兵を挙げれば、筑前は主力を修理殿に当て、当方にはこの長島を包囲するだけの兵を残せばよく、奴にとってこの長島方面での戦は片手間の作戦になってしまうからだ。まあ、こちらは兵をこぞって集めても三千ほどであるからな ククク・・・ だが、それではつまらぬ!!」
一益は不敵な笑いを浮かべるや、言葉を続ける・・・
「わしはここ長島、桑名から伊勢亀山までの東海道にこの北伊勢一帯に秀吉をおびき寄せるつもりじゃ。それも奴が総力を持って当方に当たるより仕方がない状況をわしは作るつもりである・・・。北伊勢に奴の総兵力を引き込み、奴の備える食料、弾薬を北伊勢の地に全て吐き出させるつもりじゃ・・・こちらで戦を長引かせ、奴が頼みにしておる佐和山の備蓄分まで手をつけさせる事態になればしめたもの。湖北山岳地帯で戦う修理殿に対してもこれは間接的にも援護となろうでな・・・補給事情が当初の予定通りでなくなれば修理殿と対陣し持久戦に持ち込めば勝とふんでおる秀吉もその時点ではそんなに余裕は無くなるであろうからな・・・更には修理殿が湖北まで到着する時まで北伊勢にて我らが秀吉の兵を引きつけておけば、湖北山岳地帯での戦場においての兵力差が格段に減る・・・これも修理殿に対し馳走になるであろうよ」
「「「 おお・・・」」」
その時、ため息を上げる一同の後方から、慶次郎が一益に問うた。
「で、ありますが叔父御。わずか三千ほどの兵力の当家がどうやって筑前殿の総兵力七万とか、八万と予測される軍勢をそう首尾よくこちらの思うように北伊勢の地に引き込めるのでありましょうか? そんなに都合よく筑前殿が動きましょうか?」
「うむ、そちの言う事もっともじゃ。 であるからして、筑前が血相を変えて総力を挙げ北伊勢の地に来たくなるようこちらで舞台を作っておく」
「舞台・・・ですか?」
一益は、慶次郎の問いに答えると不敵な表情を見せ、寡黙な滝川益氏に視線を向ける・・・
「慶次郎があのように申しておるが、益氏よ最も重要な舞台の一つである伊勢亀山城はどれくらいで落とせる?」
「・・・現在、亀山城主関盛信殿、ご子息一政殿のお二人は姫路に向かっており城内に不在であることは確認しております。かねてより、一政殿が世継ぎになる流れに反しもう一人のご子息である盛忠殿を擁立せんとする家老職一派とは話しがついております故に、盛信殿、一政殿不在の今が絶好の機会かと存じます・・・。されば戦船の準備次第にございますが、亀山の地にそれがしが到着すれば三日もあれば・・・亀山城は落とせるかと」
「と、益氏が申しておるが、平右衛門 戦船の用意はいかに?」
一益の問いに二番家老で滝川水軍総帥の篠岡平右衛門は表情も変えずに答える。
「大廻舟三十艘、小廻舟六十艘、殿の下知があれば直ぐに出せますぞ。上陸予定地の千代崎、白子、豊津、どの港にするかについては当日の風向き、強さによって決めさせていただくことになるかと・・・」
「だそうだ、益氏」
「承知致しました、篠岡殿」
(えっ⁉ 今、益氏殿は何と言った⁉ 亀山城を三日で落とすだと???)
慶次郎は驚愕する
「もう一つの大舞台である峯城はどうじゃ義太夫?」
「うむ、現城主岡本良勝殿は元々岐阜城主織田信孝様の家老職であったが此度、筑前殿に鞍替えしたばかりじゃでのう・・・それもあって岡本殿に不信を抱く家老職はすでに調略済みよ。・・・そうじゃな、わしも三日あれば落とせるであろうな。平右衛門殿、海路は宜しくにござる」
「承知致した・・・」
(峯城も、三日だと⁉)
「けっこうである。義太夫よ峯城の件、了解した。では次じゃ」
一益はついで、滝川忠征に視線を向け問う
「忠征、関城はいかに?」
「はっ、人任せになりますが益氏殿が亀山城を落とせば三日もあれば、更に亀山城、関城も落ちればの条件で国府城、鹿伏兎城も数日で調略可能でございます」
「よう、準備した。忠征! 褒めてとらす」
「はっ!、ありがたき幸せ」
「益氏、聞いたな? 忠征の功、そちの働き次第だぞ?」
「承って、候」
(な 何を言っておるのだ・・・この男達は・・・)
慶次郎は一益らの会話に驚きのあまり思考がついていけないでいる・・・
(伊勢亀山城だけでなく、峯城、更には関城、国府城、鹿伏兎城まで数日で落とすだと!!⁉)
「叔父御!!」
たまりかねた様に慶次郎は声を上げる。
「うん?」
「叔父御は、初めから秀吉殿と戦うつもりであったのであろう?」
一益はゆっくりと頭を振ると
「いいや、それは違うぞ慶次郎。わしが筑前との戦を決意したのは今の今じゃ・・・決め手となったのが関親子が亀山城を留守にしておると、先程益氏から聞き及んだことにある」
「ん⁉」
「確かに、最前皆の前で筑前に頭を下げたくない一心からあ奴と戦いたいと申したが、実際に決断したのは平右衛門、益氏、益重、忠征の報告を受けてからじゃ。戦になるならぬは別として、そのために事前準備をしておくの事は家を預かる当主の務めであるからのう・・・まあ、慶次郎も思うところはあろう。じゃが、その話しはこの軍議の後にせい、よいな・・・」
「いやっ! そういう事でなくそれがしが言いたいのは叔父御は、いつから筑前殿との戦を念頭に置かれて三人の方々に調略準備を命じていたのかということじゃ」
「フッ・・・、大徳寺の信長様の葬儀の後からじゃ・・・」
「えっ⁉ そ そのような時から・・・」
「慶次郎殿・・・」
まだ、何か言おうとする慶次郎に木俣忠澄が穏やかな表情で、これ以上は無用とばかりに首を振る・・・
「又左殿・・・。叔父御、仔細は後程お聞かせくださるな?」
「よかろう」
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