弟が覚えている事

矢口竹一

文字の大きさ
上 下
1 / 1

これだけしか、おぼえていないのです。

しおりを挟む
弟が、4歳と少しの時に、埼玉県南部の川口市内で、保育園のお昼寝中に地震が到達しました。


1、発生時 2023/3/11 ~2:46

彼によると、地が震える、そう、30秒ほど前に、園の前を通ったトラックが流す、音楽が聞こえたそうです。地震警報ではなかったのですが、その後に地震が起こったのを受け、「地震が起きるお知らせ」、と認識しました。


2、発生後

計画停電が行われ、祖母と、暗がりの中震えました。おにぎりを食べ、待ちました。
向かいのマンションの窓が虫食いはありながらも、一斉に明るくなったのを見、リビングの電気を付けました。


3、数カ月、数年後

保育園などでは昼寝中だったため、普段着に着替える必要が生じ、避難が遅れたことが問題視されました。それにより、昼寝前に着替えず、そのまま寝るようになりました。

小学校、中学校では、3月11日2時46分に黙祷をし、思いを馳せました。


4、2022 4月~

高校1年生となりました。

新聞(朝日)を開いた折は、連載「てんでんこ」を読み、様々な視点からアプローチしている記事を読んでいます。

2月、地理総合の授業で、教師の震災時の様子、生徒の引き渡しなどについての語りを聴きました。


5、2023/3/11

金曜日に夜更かしをした為、遅く起きてブランチを食べました。12時半位までは、黙祷をしなければ、と思っていました。


6、2023/3/11 2:46

勉強をしていました。 黙祷のことなんざ、すっかり忘れて・・・

いえ、休憩していました。web小説を読み、ツボにはまったらしく笑い転げていました。




思い出したのは、4時頃。
ふと、
「あれ、2時46分に何をしていたっけ」
と、つぶやきました。



これは、私の弟から聞いた話と、私が見た弟です。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...