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五章 裏切り編

百十七 決着と帰還と再会だよね

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 「ロニエの負けです。旦那様」
 
 ロニエはそういって息を吐いた。

 「そして、大嫌いです! 旦那様の馬鹿」
 「うん」
 「最後です。旦那様、キスしてください」

 このロニエは、ロニエ・ノースカロライナが生み出した、俺と重なったロニエだ。

 「うん。大好きだよロニエ」
 「知ってます。旦那様がロニエの事を好きじゃないわけ......っないですからね」

 嗚咽がまじってロニエの声が歪む。
 そんなロニエに口づけをするために顔を近づけた。
 
 ロニエがへラ~っと笑った気がした。
 そして。

 「何をしているのですか? ヒカル様」
 「え? ロニエ!?」

 ロニエが目を半開きにして俺を見ていた。
 親愛と信頼の感情の篭った目だ。大好きなロニエの目だ。
 構わず俺はロニエを抱きしめた。

 「お帰り。ロニエ愛してるよ」
 「ヒカル様......ロニエは全部見ていましたよ」
 「え?」
 「ヒカル様は浮気をしようとしましたね」
 「......え?」
 「ロニエじゃない。ロニエにキスしようとしましたね」
 「............え?」
 「あわよくばロニエを犯そうとしてましたね」
 「..................え?」

 ロニエの優しい笑みが......笑みが凍りついていく。
 怒ってる?

 「フフフ。そんなに怯えないでくださいよ。冗談です。フフフ。フフフ。ヒカル様ったらヒビリ過ぎです」
 「......」

 口元を隠しておしとやかに笑う。

 「ロニエがフフフ。ヒカル様を怒るわけ無いじゃないですか、大好きですよ、ヒカル様」
 「ロニエ!! 俺もだよ、俺もーーー」
 「でも、浮気しようとしてましたね。やはりロニエの身体が目当てなのですか?」
 「俺も」
 「そんなにロニエの身体が好きですか? そうですか? わかりました」

 ニヤニヤと笑うロニエはいたずらする子供のように楽しそうだ。

 「なら。ロニエの近くに来てください。ロニエを抱いてください。ヒカル様に抱かれたいです」
 「............ロニエ!!」
 「もう、大丈夫ですよ。ロニエはここに居ますから、ヒカル様のヒカル様だけのロニエはロニエですから。慌てなくてなくても逃げたりしませんよ」

 俺の理想の言葉をロニエは言ってくれる。
 いたずらしながら、自分も俺も楽しませてくれる。
 これが............

 突然だった。
 ロニエと大人な営みをしようとズボンを降ろした時だった。
 視界が暗闇に包まれた。

 次の瞬間には、俺は自転車に乗っていた。
 夏の熱い夜の道だった。
 自転車の運転を誤って落車した。

 ゴロンとコンクリートの固い地面に転がって星空を眺めた。

 両手を見て思う。

 ーーー長い夢だった。















 ノーマルエンド















 「なわけあるかよ!!」

 今も残るロニエの残りが、既に童貞では無い安心感。

 自転車から落ちたときに着いた傷を見るに、夢ではない。

 「つまり。帰ってきたか」

 ロニエが呪いを克服したことで、呪いが無くなり俺をあの世界に留め置く力が無くなった。そういうことだろう。

 懐かしい車の排気ガスの匂いと.......ブザーの音に情けなくも移動する。

 暗い夜道で一人座り込み。

 「泣かないよ。ロニエ」

 立ち上がる。

 俺はもう泣かないし諦めない。必ずもう一度ロニエに会うんだ。そして言うんだ。
 大好きだよロニエと。

 暗い夜道を立ち上がりこぼれ落ちそうになる感情を飲み込んで俺は帰宅し......

 
 「迷った」

 出来なかった。
 いやね、俺、十年以上もね、異世界に居たわけですよ。こっちの世界のこととか正直忘れてましたよ。
 いきなり帰宅途中に戻されても困るわけですよ。

 「はぁ。セレナとエッチしたい」
 「あら。ダーリンここはどこかしら?」
 「日本だよ」
 「ここがダーリンの世界ね!!」

 ん?
 
 「セレナ!?」
 「何を驚いているのよ。ダーリンが呼んだんじゃない」

 何時も通り......空中に浮いて俺と同じ目線にいる。青髪の少女を見て涙腺が遂に弾けた。

 「セレナ!! 大好き!!」

 すかさずセレナに飛びつき抱きしめる。
 
 「どうしたのよ。ダーリン」
 「セレナ!! エッチ」
 「良いわよ」

 セレナが何時も通り俺に身体を預けて俺がセレナのローブを破く。そして抱きしめる。

 ブーブー

 そのままセレナにキスをする

 ブーブー

 そしてそのまま......来ていた警察官に捕まった......

 セレナから引き離され、児童何とか法違反とかで、一時留置所に入れられた。
 
 留置所は、暗く狭く、そしてトイレが部屋と同じ場所にある。臭い。
 掃除してほしい。
 俺は歩いてきた警官に

 「出せ!! 俺は何もしていない! だせー!!」
 
 怒鳴り付ける。すると真面目そうな警官が警棒を抜いて

 「少女を路上で襲っておいて何て言う奴だ。恥を知れ!」

 バチンと叩かれた。

 「まて! セレナは俺の嫁だ! お前だって帰ったら嫁と一発やるだろう! それと同じだよ」
 「俺は童貞だ!」

 胸を張っている。どう見ても三十路を優に越している警官に敬礼する。腰を三十度曲げてビシッと決める。

 「お見それしました!」
 「次は無い黙っていろ。すぐに保護者が来る」
 「保護者?」
 
 ああ。母さんか、もうそんな人忘れてたな。
 それより。

 「セレナは.......俺が抱いていた少女は?」
 「あ? そんなこと言う分けないだろう!」

 ............

 さてと。セレナ......
 この世界でというか、日本でセレナ見たいないたいけな少女を襲う変態は少ない......少ない!
 そう信じるとして。俺が今やれべき事は......考えることだ。

 少なくともセレナはここに居る。必ず俺の帰るべきあの世界とこの世界は繋がっている。必ずだ。そう信じる。

 だって俺の帰るべき居場所はロニエのいる場所なのだから。

 「悪夢だよね? ロニエ」

 俺の心の中で話しかけて来る。ロニエはもういない。俺が消した。そう願った。俺とロニエの繋がりはもう無い。
 呪いも能力も全て無くなった。不要も共有も何も無い。
 だから、久しぶりの睡魔に襲われた。

 「ダーリン! 起きなさい」
 「ん......セレナ......大好きだよ」
 「ふふん。知ってるわ」

 目を開けると目の前にセレナの唇があったので奪おうと......

 「お兄ちゃん......何しようとしてるの?」
 
 したら、頭にチョップを入れられた。雫に。俺の妹の雫に。

 「何ってキスだけど?」
 「はぁ~、まあ良いけどね。お兄ちゃんの趣味に興味ないし」

 良いと言われたのでセレナにキスする。セレナをたっぷり味わってから抱きしめる。

 「それで、雫が保護者? 母さんは?」
 「母さんは『光? 誰それ?』で父さんは『強姦!? 勘当だ』だって」
 
 ーーー勘当って何時の時代だよ。

 「ん?」

 そこで気付いた。俺の知る雫より、かなりサイズアップしていることに。
 髪は伸び、可愛かった幼さが抜けすっかり成人しているようだ。
 背もすこしだけ大きく......なってないか。

 「雫、小さくなったね」
 「警察官さーん、この人知らない人でーす」
 「ゴメンゴメンゴメン! 雫! 我が愛しの妹よ、助けてよ」

 雫が秒即で見捨てようとしてきたので、俺も秒速で土下座!!

 「お兄ちゃん、次は無いよ」
 「うん。勘弁してよ」
 
 手を合わせて頭を下げると雫は「フッ」と笑って

 「お兄ちゃん変わってないね。昔のまんまだね」
 「成長してないなんて言い方やめてくれない?」
 
 鉄のオリの外から手を伸ばして俺の頭を抱きしめた。

 「泣いていいよ。どうせ大変だったんでしょ?」
 「............」

 モフッとした雫の柔らかい胸の感触......

 「お帰り、5年間も行方不明でなにしてたの?」

 それをもみもみ揉む。

 「......お兄ちゃん何してるの?」
 「おっぱい揉んでみた」
 「どうだった?」
 「うん? 微妙......」
 「ふーん。お兄ちゃん死んで」


 笑顔で死刑宣告をされた。
 雫は俺の頬を往復ビンタしようとして

 「ねぇダーリンに、何かするつもりなら消すわよ」

 セレナの殺気に止まった。

 「お兄ちゃん!? 怖い! 怖いよ! 助けて!」
 「......セレナ。虐めないであげて、俺の可愛い妹だから」
 「わかったわ」

 ガクブル震える雫の頭に手をおいてなでてあげると、涙目の雫がオリ越しに頭突き一発。

 「っ! 帰る!!」
 
 プリプリ怒って帰ってしまった。
 俺は隣にいる、セレナの肩を抱きしめて

 「セレナ。帰るって」
 「そうね。帰るって言ってたわね」
 「セレナ......帰っちゃったよ?」
 「そうね。帰っちゃったわね」
 「「......」」

 しばらく無言で見つめ合ってから、セレナの額をぺチン。

 「痛いわよ」
 「痛くしたんだよ、俺達ここから出れないよ!」

 せっかく保護者として名乗り出てくれた雫が帰った今......俺達に釈放の道は無い。
 このまま一生ここで暮らすのか?

 と、そんな阿保なこと考えていたら
 
 「あら、ダーリン出たいのなら早く言いなさいよ」
 
 と、セレナが言い出したので

 「脱獄はしないよ、日本の警察機構ナメちゃダメだよ! いくらセレナでも日本の警察機構相手だったら二日と持たないよ」
 「大丈夫よ。皆殺しにするわ、反撃すらさせないわ」

 もやもやセレナから蒸気が出ているのが見えたので

 「そんなことよりセレナ、そろそろ、ムラムラしてきた」
 「任せなさい」

 いやね、このまま、セレナを放置すると、笑えない確率で、日本が人っ子一人いない、死の国になってしまう。
 いくら。どうでも良い国といえこの国には、俺の家族......はいいか、勘当されたし。
 
 「あら? ダーリン......もう良いのかしら?」

 セレナが準備運動がてらに、手で処理をしてくれた。
 いつもならここから何戦も始まるのだが。

 「うん。しばらく無理。そんな何度もいけないからね、再チャージに5分はかかる模様」
 
 ロニエの呪いが無くなった今。
 俺は、不要の呪いも、共有の呪いも無くなっている。
 そして、俺とロニエの繋がりも......

 「ダーリン、良いのよ、私が慰めてあげるわ」

 セレナが俺の表情を読んだのか、優しく俺を抱きしめた。
 
 「セレナ」
 「良いわよ」

 俺もそれに応えるように、セレナの体に手を回して抱きしめる。
 力一杯抱きしめる。

 「俺はもう泣かないよ。俺はもう、諦めない」

 そして、セレナに視線を合わせて

 「俺はもう、流されない! そう決めたんだ」

 かつて、運命にあらがう事をやめた俺は、いつもロニエに甘え続けていた。
 ロニエが俺の道を照らしていた。
 
 「俺はもう、つらいことから逃げないよ、痛いことから逃げないよ」

 呪いのロニエを消すと決めたときにそう決めた。
 
 「ちゃんと受け入れて前に進むよ。だからセレナ。もうそういうことしないで良いよ」
 「......ダーリン、男らしくなったじゃない! カッコイイわ」

 ムクムク......

 「でもダーリンの体は私を求めているようね」
 「.....うん」

 仕方ない。目の前にセレナがいるんだ。ここで大きくならなかったら、Endを疑うべきだのだ。

 「......セレナ。抜いて」
 「良いわよ。私に任せなさい」

 今まで様々な場所でプレイしてきたが、刑務所は無いんじゃないか?
 それにセレナと二人でするときに

 「楽しいねセレナ」
 「そうね。ダーリン」

 こんなに晴れやかな気持ちですることがあったか?
 こんなに気持ちの良いエッチをすることがあったか?

 「出るよ、セレナ」
 「良いわよ」

 共有なんてなくてもこうして、いられる。
 何時もと変わらずにセレナを抱ける。

 「お兄ちゃん......最低!!」

 しかし、現実はどうして俺をここまで嫌うのか?
 セレナにちょうど種を植えて居るところを、戻ってきた雫が目撃していた。

 「妹に情緒を見られるとはね......セレナ。綺麗にしなくて良いから、家族に見られてる時にされるのはちょっと」
 「あら良いじゃない。その子も混ぜれば良いのよ」
 「良くないよ!」

 セレナが一戦終えた後、綺麗に舐めてくれる......以下省略。
 
  
 




 
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