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六章 大戦編

百四十二 お空の上でするよね

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 皆さんこんにちは、天野光です。
 今俺は雲の上にいます。

 物理的に。
 眼下に広がる白い雲海、そもそも雲は白いものなのでこの表現はおかしいですね。え? 違う? まあその辺はどうでもいいです。
 皆さんは飛行機に乗ったことがありますか?
 あるなら思い出してください。真っ白なあの光景を。
 無いなら想像してみて下さい。とろけるような生クリームを。

 と言うのは全部忘れて下さい。
 今俺が居るのは飛行機が飛ぶ成層圏の更に上の中間圏をも超えて熱圏すら突き破り宇宙に片足を突っ込んで居るのです。

 まさか異世界来て色々予想外な事をしてきたわたくしですが、まさかね? まさか、異世界の宇宙に来ることになるとは思っていませんでした。

 異世界の宇宙から地上を見渡すと。

 「アンダーブルクは青くそして丸かった」
 「ダーリン。急にどうしたのよ?」
 「いや......言って見たかっただけだよ」

 某宇宙飛行士のモノマネをしていたら、共に宇宙まで来た、俺の嫁セレナが俺の身体から離れようとするので、離れさせないように思いきり抱きしめる。片腕で。

 「それよりセレナ。アレスとシズクがね?」

 気を取り直してセレナに子供達の特殊趣味について相談する。
 そして返ってきた答が。

 「そうね。それ私も口説かれたわ、ダーリンよりかっこよかたっわよ」
 「ああ、そういうこと言うんだ。セレナ」
 「ふふん。冗談よ。キチンと断ったわ、ダーリンも断ったのよね?」
 「え?」
 「何よそれ。まさか断って無いのかしら?」

 断ったっけ? 覚えてない。あの時は驚きと何より。

 「セレナを抱きしめたかったから、覚えてないや」
 「嬉しいわ。ダーリンもっと強く抱いても良いのよ?」
 「うん。そうするよ。セレナももっと強く」
 「そうね。そうするわ」

 セレナの薄い胸に顔を埋め細い身体に腕を回す。
 セレナもそんな俺を優しく包むように腕を回す。
 そんな俺とセレナの身体からポトリと血の液体が流れ落ちる。

 「セレナ。痛くないの?」
 「痛くないわ。ダーリンの腕の方が重傷よ」
 「セレナ。死なないで。もっとセレナと一緒に笑いたいよ」

 セレナから流れる血の量は見るに堪えない。抱きしめているセレナの身体がみるみる冷たくなって行くのが肌で分かる。

 「そうね......。死にたくないわね。ダーリンと......もっと......」
 「セレナ! 目を閉じないでもっとこれからだよ。これからセレナは幸せになれるんだよ」
 「そうね............これからよ......ダーリン......と......これ......から」

 そこで俺とセレナを縛る茨が遂に枯れた。
 それは同時にセレナが......もう......

 茨から解放された俺は冷たくなったセレナの身体を抱きながら落下していく。
 
 「ほらセレナ。取れたよ。やっと帰れるんだよ。ねぇセレナ」

 骸となったセレナは応えない。共に落下するのみ。
 風を切り空を切り遥か下の雲海に落ちていく。

 「初めてあったときからセレナの声が好きだったんだよ」

 落ちながら動かなくなったセレナを抱きしめる。
 
 「うるさい奴だって思ったけど、セレナとふざけるのが好きだった」

 落下の恐怖は無い。それより俺の心はただセレナともっと......

 「セレナには沢山弱いところを見せたし、酷いことをしたけどさ。それは全部セレナだったから、セレナなら受け止めてくれるから、俺はセレナに甘えたかっただけ......」

 セレナと一緒に笑いたかった。セレナと一緒にふざけたかった。
 そして、何よりもっとセレナの

 「声が聞きたいよ......」
 
 俺の涙がセレナの瞳を濡らしたまるでセレナが泣いているかのように。
 そして、セレナの声が聞こえた気がした。

 「......ならもっと私を愛しなさいよ」
 「!」

 一瞬幻聴に聞こえたセレナの声は幻聴ではなかった。
 驚きセレナの胸に耳を当ててみると、トクントクントクンと確かな鼓動を感じた。セレナの命の鼓動が聞こえた。

 「もうダーリンはエッチね。そんなに私の胸が好きかしら?」
 「セレナ? え? ええ? 生きてるの!?」
 「良いのよ。ダーリンがしたいなら私は例え全身が悲鳴を上げて死にかけて居てもダーリンを受け入れるわ。来なさい」
 「は? え?」

 セレナの言い回しが天野セレナであること、急にセレナの身体に熱が篭ったこと。
 それら全てが幻みたいで、奇跡みたいで。

 「セレナぁあああああ!! 大好きだよぉおおおお。愛してるよぉおおおお」
 
 泣き叫んでいた。
 対してセレナはそんな俺に

 「知ってるわ」

 そういって、キスをした。
 そのキスの仕方だけで、セレナが元に戻っていることはすぐに分かった。
 腰を抱いて身体を引き寄せて互いの呼吸を吸えるいちまで近付く。唇と唇の距離が数ミリしか離れてない状態でセレナと顔を見合わせる。

 「いきなり戻ったのよ。びっくりして死にかけたわ」
 「いや。びっくりしたのは俺だよ! いやいやびっくりなんて物じゃ無いよ」
 「そうね。ダーリンには苦労をかけたわね。でももう大丈夫よ。私がダーリンを守るわ。ダーリンには傷一つつけさせないわ......腕治すわよ」

 話ながらセレナが俺の身体の傷を癒していき、ちぎれた腕も再生させる。

 「セレナ......、今思うと俺が怪我するときってだいたい犯人セレナじゃん」
 「そうね。ダーリンを傷物に出来るのは私だけよ」
 「セレナ。俺もセレナを傷物にしていいかな?」

 やっぱり、セレナと話しているとどんな時でも性欲が高まる。
 それが例え超高高度からの落下中でも高まった性欲を解放したくなる。
 というか、セレナとこの超至近距離の抱擁はもう我慢できない。

 「ダーリンが好きな私の声沢山聞かせてあげるわ。来なさい。全て受け入れるわ」
 「それも聞いてたんだ。恥ずかしいよ。でもいいや。セレナだし。セレナが大好きだから襲いたくなる。セレナ......激しくなるからまずセレナの身体を治してよ」
 「そうね。そうするわ」
 
 俺の指示に従い、傷ついた身体を癒していくセレナを見ていたら我慢できなくなったので大人なキスをする。
 そして空気に煽られバサバサ音を立てるセレナの既にボロボロのドレスをビリビリと破いて、白くそして形のとても整った小さな二つの乳があらわらになる。
 セレナの裸体は誰の裸体より美しい。

 「セレナの身体は俺ものだよ?」
 「ふふん。そうね。ダーリンの物よ。好きに使っていいわ」

 セレナの裸体が芸術的な美しさを放っているのは、幼い成長途中の身体と膨らみの無い胸なのに触るととても柔らかい将来性、そして何よりセレナの裸体で一番美しさを引き立てているのは、つるつるのフォルムのお腹特におへそだ。
 柔らかさは胸より柔らかく、ムッチリとハリがありツヤもある。
 スベスベの肌はそれだけで性欲を掻き立てる。

 「もうこのセレナの身体が好きだよ。俺の物だよ。だからセレナはもっと身体を大切しないとダメだよ」
 「どうしたのよ? 激しくするんじゃなかったのかしら?」
 「するよ。するけど久しぶりで、もうちょっとセレナを......」
 「良いから抱きなさい! そろそろ地上に着いちゃうわよ! ダーリンにはまだやることがあるのよね? 今私を抱いて癒されておきなさい」
 「うん。そだね。そうするよ、セレナ大好き」

 そこから雲を抜けるまでの短い時間でセレナを犯しまくった。
 我を忘れて野獣の様にセレナを犯した。
 
 そして、沢山セレナを愛でた後、落ち着いてから雲を抜けると地上を一望出来た。
 空の上から見る光景は絶景の一言。

 真下に広がる広大な大陸がアンダーブルグ、俺達の住む大陸だろう。
 五大国や小国が一望できる。それを見ながらセレナが色々教えてくれる。

 「ダーリン。あのとてつもなく大きな塔は『賢者の塔』って場所よ」
 「ふぅーん。あんな塔があるの気付かなかったよ」

 セレナが教えてくれた賢者の塔は雲をも突き破り空へと伸びている。
 だがそんな塔上からも下からも見たことがなかった。

 「そうね。あれは今出来たのよ。大戦が終わったのね」
 「大戦?」

 聞き慣れない物騒な言葉に耳を疑うと俺の大好きなセレナが補足してくれる。

 「ダーリンは知らなかったわね。三人の魔王と三人の勇者が争い最後の一人になるまで戦うのが大戦よ。そして勝者は塔への挑戦権を得るのよ。まさか私達が魔王に選ばれるとは思わなかったから驚いたわ」
 「ん? んん? よくわからないけど。誰がかったの?」
 「知らないわ。私もダーリンも魔王の資格は失ったのだから敗者よ。私達が知らない勇者じゃないかしら?」
 「ふぅーん。まあ良いか、どうでも。それよりあの天野王国とヒーストランド王国の境にある大きな山は?」
 「あれは飛竜の山よーーー」
 
 何故空中観光をしているのか?

 その理由は、まずセレナが幼い頃から世界中を旅して様々な知識を持っているからという真面目な理由があり、その上で落下中の俺達は他にやることが無いからである。
 エッチをこれ以上続けると真面目に止まらなくなるので一時休止しているのだ。

 俺にはこれから最終決戦が控えている。
 セレナ取り戻し、アルランの力が消えたと言うことは、アルランも正気にもどったのだろう。俺も同じような状態だったしそもそもセレナがまた罪の無いセントラル民を傷つけてしまったのでアルランに報復するつもりは今のところ無い。
 デリカがネトラレた以外は特に害も無かったし、デリカを置いてきたのはアルランを殺させないためだったりもする。アルランは腐っても、ルミアの兄だし、真にセレナやロニエを愛していただけだ。
 それに罪は無い。

 では、最終決戦とは何か?
 俺の目的の最後の大台。正直、チョロインのセレナとは比べものにならないくらい大変な事だけど、俺の最後の目的は。

 「ロニエと仲直りできるかな?」
 「それはダーリン次第よ。あの子を怒らせるなんてダーリン何したのよ」
 「ロニエはセレナと違って好きじゃないって言っちゃった」
 「最低ね。あの子がダーリンの為にどれだけ頑張っていたと思ってるのよ」
 「セレナ。ごめん。ロニエと俺の事に口出さないで」
 「じゃあ私に愚痴るんじゃ無いわよ! 嫉妬するじゃない!」

 セレナにロニエとの事を言われて、何も分かってないように言われると少しもやっとした。
 ロニエの事は俺が一番分かっている。
 酷いことを言ったのも反省している。
 謝ろうと思っている。けど......

 「ロニエは俺の一番じゃないといけないんだよ。だからこそロニエに嘘はつけないんだ。ロニエが一番じゃないなら俺はそう言わないといけないんだよ、それなのにロニエが怒るから......ロニエの馬鹿。セレナの方が可愛くてどうするだよ」
 「当て馬みたいに私を扱わないでくれないかしら! 私はダーリンの何なのよ! 遊びだったの!」

 セレナは俺の何だろう? 言われて考えてそして思い出す。
 セレナに同じ事を問われた事を。そして俺が答られなかったことを。
 ニヤリと笑うセレナと目があった。
 目が合うと自然に言葉が出ていた。

 「セレナは俺の全てだよ。大切な嫁であり、居場所で一番で性奴隷で愛玩用で性欲のはけ口で......そして最愛の人だよ」
 「ふふん。素敵よダーリン。愛してるわ」
 「あ! 後都合の良い女かな?」
 「黙りなさい! 燃やすわよ!」

 あれ? おかしいな。
 セレナ程、都合の良い女は居ないのに、何でも抱けば許してくれるなんてセレナくらいなのに。
 それに

 「愛してるよ。セレナ。セレナ」
 「落ち着きなさい。大丈夫よ。私もダーリンを愛してるわ」
 「ほら。都合が良いよ」
 「燃えなさい!」
 「あばばばばばーー」

 抱き合いながら下降するセレナとまたこうして楽しく? 笑い会えるのが俺の求めていた物だった。愛した物だった。取り返したかった物だった。

 燃える視界の中で俺を抱きしめて離さないセレナに

 「あばばばばば」

 ありがとうと伝えた。

 「ふふん。聞こえたわよダーリン」

 耳を撫でるセレナの声が俺の心を潤した。
 永遠とも言える時間を感じてゆっくりと俺は燃えながら最終決戦の場所へと降りていく。燃えながら......

 「あばばばばば」
 「ダーリン。もう少し燃えていなさい。私を軽く扱った罰よ」
 「あばばばばば」

 
 ーーーー以下コメントーーー

 短めですが、今回はここで終わらせます。
 今回はセレナしか出て来てませんね。セレナ好きには喜ばしい事でしょう。
 次は......あの人が活躍します。多分。

 
 
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