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グラスにまた、カクテルを
愛、サイド・カー
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「もう……良かった、急に腕に包帯巻いて会社来るんだもん。タイピングできたの?」
「それぐらいは大丈夫かな」
「ほんと、良かったぁ……」
咲が警察へ被害届を提出し、病院で手当てを受け数週間後のGAZEにて。
「お待たせしました、『スクリュー・ドライバー』です」
「サンキュー」
「相変わらず、それなんだね、梨紗……」
「いいじゃん、好きだし。……で?」
「『でっ』て、何よ」
「二人はどうなったんですかー?」
「あー……」
聞かれると分かっていた、その言葉。
「……『サイド・カー』ですかね」
「うん、そうだね」
──いつも二人で。
「松野さん、また潰されないといいけど」
「いつものことだし、慣れてたりして……で、話した方が……いい?」
「うん、話して」
バーから翔のマンションの部屋へ移動した二人。ちょうど二週間前から同棲を始め、朝出勤する咲を翔が見送り、夜に会う、という形になっている。
「……高校時代にね、あの先輩と付き合ってたの。それが……その、私が先輩を好きになるか、っていう賭けだったみたいで。見事に当たっちゃったけど」
──そう、賭け。卑劣な、賭けだった。
「うん」
「それで別れ話を出した時に、色々言われて。それだけ」
「……そっか」
「……しばらく会ってなかったんだけどね、あの子──先輩の妹には、かなり気に入られてたみたいで」
「でも、もう会うつもりはないんだろ?」
念を押すように言った翔。その口調ではそうでなくともそうと言ってしまいそう──だが。
「無い。あるわけないし」
「なら俺はいいよ。二度と会わないし、会わせない」
「……うん、ありがとう」
不意に翔が立ち上がり、キッチンに向かった。冷蔵庫にあった牛乳をグラスに注ぎ電子レンジに入れ、加熱を始めた。
「──ふふっ」
「え、何?」
「いや、バーテンダーだなぁって」
「ココアなのに?」
「うん、ココアなのに」
棚から瓶に入ったココアの粉を取り出し、スプーンで三、四杯ほど入れた。
「そういえばさ、『ロングアイランド・アイスティー』って、知ってる?」
「え、飲んだ記憶がない……アイスティーって、紅茶かなんか?」
「カクテルで紅茶の味を再現した、奇跡のカクテル」
「奇跡のカクテル……飲んでみたいな」
「今度作るよ」
ありがとう、と笑う。
「……良かった」
「え?」
「なんでもない」
くすりと笑って、熱いグラスにココアを溶かす。
「──乾杯、かな」
「そうだね……何に乾杯する?」
「……ベタに、幸せ?」
「あははっ、らしくていいかも
──『サイド・カー』を、永遠に味わっていたい。
それが今の、二人の願いだ。
「それぐらいは大丈夫かな」
「ほんと、良かったぁ……」
咲が警察へ被害届を提出し、病院で手当てを受け数週間後のGAZEにて。
「お待たせしました、『スクリュー・ドライバー』です」
「サンキュー」
「相変わらず、それなんだね、梨紗……」
「いいじゃん、好きだし。……で?」
「『でっ』て、何よ」
「二人はどうなったんですかー?」
「あー……」
聞かれると分かっていた、その言葉。
「……『サイド・カー』ですかね」
「うん、そうだね」
──いつも二人で。
「松野さん、また潰されないといいけど」
「いつものことだし、慣れてたりして……で、話した方が……いい?」
「うん、話して」
バーから翔のマンションの部屋へ移動した二人。ちょうど二週間前から同棲を始め、朝出勤する咲を翔が見送り、夜に会う、という形になっている。
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──そう、賭け。卑劣な、賭けだった。
「うん」
「それで別れ話を出した時に、色々言われて。それだけ」
「……そっか」
「……しばらく会ってなかったんだけどね、あの子──先輩の妹には、かなり気に入られてたみたいで」
「でも、もう会うつもりはないんだろ?」
念を押すように言った翔。その口調ではそうでなくともそうと言ってしまいそう──だが。
「無い。あるわけないし」
「なら俺はいいよ。二度と会わないし、会わせない」
「……うん、ありがとう」
不意に翔が立ち上がり、キッチンに向かった。冷蔵庫にあった牛乳をグラスに注ぎ電子レンジに入れ、加熱を始めた。
「──ふふっ」
「え、何?」
「いや、バーテンダーだなぁって」
「ココアなのに?」
「うん、ココアなのに」
棚から瓶に入ったココアの粉を取り出し、スプーンで三、四杯ほど入れた。
「そういえばさ、『ロングアイランド・アイスティー』って、知ってる?」
「え、飲んだ記憶がない……アイスティーって、紅茶かなんか?」
「カクテルで紅茶の味を再現した、奇跡のカクテル」
「奇跡のカクテル……飲んでみたいな」
「今度作るよ」
ありがとう、と笑う。
「……良かった」
「え?」
「なんでもない」
くすりと笑って、熱いグラスにココアを溶かす。
「──乾杯、かな」
「そうだね……何に乾杯する?」
「……ベタに、幸せ?」
「あははっ、らしくていいかも
──『サイド・カー』を、永遠に味わっていたい。
それが今の、二人の願いだ。
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