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四月

ドキッ☆ 男だらけの健康診断。ラッキースケベは絶対回避! その3

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 一日は今からだというのに、下校時並みの疲れで全身を引きずりながら、俺は案内されるままに測定場である体育館まで向かう。しかしまぁ、流石はゲームの世界というべきか。
 どこの県営体育館だよと言いたくなるほどの巨大な体育館の、二階席。そこを埋め尽くしているのは、もちろんこの学校の女子生徒たち。なんでも、去年までは学年ごとに日を分けていたそうだが、今年からは全学年一斉に行ってしまうらしい。
 測定係が最初に入って、用意を済ませてしまうらしいのだが。入って俺は気づいた。

「なぁ、猫汰。あれって、保健委員だよな……?」

 そう俺が指差した先には、身長計やら体重計やらを用意し、机やら椅子やらを配置している女子生徒たちがいた。あれ? 女子って二階で見学じゃないの?

「彼女たちはS席を手にした生徒たちだよ。ちなみに二階がA席、P席は……あそこだ」

 猫汰が教えてくれた先を追えば。

「な、何、あの、演劇用のセット……」
「何って。さっき実演したじゃないか。あそこで僕たちは、男子生徒の相手役をするんだ。P席を手に入れた女子生徒は、それを間近で見ることが出来る」

 廊下のセットだったり、はたまた保健室のセットだったり、あっちには校門まである。いくらゲームだからって、何してもいいと思うなよ!?
 更にげっそりしていく俺に同情してか、猫汰が「御竿くん」と肩を叩いてきた。

「何……」
「安心しなよ。どれもただの芋だから。芋洗いすると思えばいい」
「芋ってかモブだろ……」
「ははは、本当に君は面白いことを言うなぁ。あ、そっちが御竿くんのセットみたいだよ。じゃあ、お互いモブの相手を頑張ろうか。ま、モブ相手に渡すつもりはないけどね」
「は、は、は……」

 引きつる顔になんとか笑顔を張りつけて、俺は与えられたセットへ向かう。教室に見立てられたそれは、窓際の席とその隣の席という、なんともありがちなものである。
 渋々窓際へ座ると、このセットを一望出来る位置に用意された椅子(P席だったか)に座る、鼻息の荒い観手の姿が見えた。

「おい、観手」
「駄目ですよっ、御竿さん。ちゃんと係の仕事しないと!」

 興奮しすぎて顔まで真っ赤になってやがる。顔は悪くないほうなのだから、それを自覚して振る舞えばいいものを……。
 と、そこで俺は、この事態を招いた要因のひとつであるこいつに、ちょっとした意地悪をしかけてやることにした。

「後でエスドエムドのてりやきセット奢れ」
「え、えぇ!? 貧乏女子高校生の財布舐めてんですか!?」
「さぁて仕事仕事。ちゃあんと係の仕事しないとなぁ」
「ちょっと! ねぇ、聞いてます!? 御竿さん!?」

 まだ喚く観手を無視していると、ほどなくして、体育館中に響き渡るほどの黄色い悲鳴が聞こえてきた。体育館の入り口を見れば、うんざりするほどの数の男子生徒が。その中の赤髪が「護!」と手を振ってきたのを、俺は聞こえないフリで無視をした。
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