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六月
掴み取れ! 勝利をこの手に! その2
体育祭の練習。なんてものは特になく、気づけば当日の朝になっていた。外からは花火の音が聞こえる。あぁ、あれだ。体育祭開催の花火だ……。
母さんが持たせてくれた弁当を鞄に詰め込んで家を出る。出た先に待ち構えていたのは、なんとなんとなんと。
「鏡華ちゃん!?」
「よう」
相変わらず飴を口に咥えているのか、白い棒がちょこんと出ている。いつもの白衣に、ヨレたシャツ、そして健康サンダル。皆さん、これが保健医です、信じられるか?
「鏡華ちゃんがなんでここに?」
「……おはようございます、だろ」
「へ?」
いきなり何を言い出すのかと思ったが、腕組みしたまま俺を見下ろす鏡華ちゃん。その目力は何かを訴えているようで、俺は少し考えた後「あ」と手を打った。
「おはよう、鏡華ちゃん。何してんの?」
「あぁ、おはよう。なぁに、ちっと終から頼まれごとをされてな」
「あ、そっすか。じゃ、俺先行きますんで」
あの双子(特に弟)が絡むとろくなことがない。俺は鏡華ちゃんに「また」と軽く手だけ上げ、足早に去ろうとしたのだが。
「鏡華先生! おそーい!」
ウザいセンパイが自動ドアの先から、ウザい台詞を言いながら出てきた。ちらりと俺を見たのは無視して、むしろ走ろうとした俺の腕に、まるでなんかの人形のようにセンパイがしがみついてきた。
「御竿護! ボクが出てくるのをわざわざ待っていたなんて。やっぱりボクの身体目当てなんじゃ……」
「ヤバい薬やってるならやめような。もう手遅れかもしれんが」
俺はため息をついてから、助けを求めるように鏡華ちゃんを見る。鏡華ちゃんは何か考えるように首を捻った後、
「目当ても何も、御竿が出てきたら引き留めろって言ったのお前だろ、終」
「ちょっと鏡華先生! なんで言っちゃうの! 折角、“あ、遅刻遅刻☆”って偶然を装ったパンアタックをかましてやれたのに!」
なんだこの面倒くさい奴は。てか、そんなん見たことないしされたこともない。なんかの読みすぎだ。
頭を押さえる俺に、鏡華ちゃんが同情するように苦笑いをした後、腕にまとわりつくセンパイに「終」と視線をやった。
「今日は何か出るのか?」
「そうそう、特別に一個だけ出てもいいって言われたんだよ! 友情道! ボクと組むの誰かなぁ。壱かな?」
「ゆ、友情道!?」
嬉しそうに顔を綻ばせるセンパイが、声を荒げた俺を少しだけ訝しんだ。いやいや、組むわけない、組むわけがない……。
「ったく、おめぇら双子をくっつけたら、人目気にせずやりだすだろ。同じ種目になるわけがねぇ」
「人目気にせずってなんだよ! 双子で何をやるんだってばよ!」
つい思ったことが口から出てしまい、ハッとセンパイを見た時には既に遅し。ニヤニヤと笑うセンパイと目が合ってしまった。
「ふぅん。御竿護、キミ、やっぱり興味あるんだ。いいよ。今日、種目の合間に相手してあげる……」
「いやー、早く学校行って準備運動しないとなぁ。それじゃ鏡華ちゃん、また!」
敢えてセンパイには“また”と言わず、俺は力の限りセンパイを振り切って、逃げるようにして走り出した。もちろん途中で息が切れて、最後らへんは歩いて校門をくぐったわけだが。
母さんが持たせてくれた弁当を鞄に詰め込んで家を出る。出た先に待ち構えていたのは、なんとなんとなんと。
「鏡華ちゃん!?」
「よう」
相変わらず飴を口に咥えているのか、白い棒がちょこんと出ている。いつもの白衣に、ヨレたシャツ、そして健康サンダル。皆さん、これが保健医です、信じられるか?
「鏡華ちゃんがなんでここに?」
「……おはようございます、だろ」
「へ?」
いきなり何を言い出すのかと思ったが、腕組みしたまま俺を見下ろす鏡華ちゃん。その目力は何かを訴えているようで、俺は少し考えた後「あ」と手を打った。
「おはよう、鏡華ちゃん。何してんの?」
「あぁ、おはよう。なぁに、ちっと終から頼まれごとをされてな」
「あ、そっすか。じゃ、俺先行きますんで」
あの双子(特に弟)が絡むとろくなことがない。俺は鏡華ちゃんに「また」と軽く手だけ上げ、足早に去ろうとしたのだが。
「鏡華先生! おそーい!」
ウザいセンパイが自動ドアの先から、ウザい台詞を言いながら出てきた。ちらりと俺を見たのは無視して、むしろ走ろうとした俺の腕に、まるでなんかの人形のようにセンパイがしがみついてきた。
「御竿護! ボクが出てくるのをわざわざ待っていたなんて。やっぱりボクの身体目当てなんじゃ……」
「ヤバい薬やってるならやめような。もう手遅れかもしれんが」
俺はため息をついてから、助けを求めるように鏡華ちゃんを見る。鏡華ちゃんは何か考えるように首を捻った後、
「目当ても何も、御竿が出てきたら引き留めろって言ったのお前だろ、終」
「ちょっと鏡華先生! なんで言っちゃうの! 折角、“あ、遅刻遅刻☆”って偶然を装ったパンアタックをかましてやれたのに!」
なんだこの面倒くさい奴は。てか、そんなん見たことないしされたこともない。なんかの読みすぎだ。
頭を押さえる俺に、鏡華ちゃんが同情するように苦笑いをした後、腕にまとわりつくセンパイに「終」と視線をやった。
「今日は何か出るのか?」
「そうそう、特別に一個だけ出てもいいって言われたんだよ! 友情道! ボクと組むの誰かなぁ。壱かな?」
「ゆ、友情道!?」
嬉しそうに顔を綻ばせるセンパイが、声を荒げた俺を少しだけ訝しんだ。いやいや、組むわけない、組むわけがない……。
「ったく、おめぇら双子をくっつけたら、人目気にせずやりだすだろ。同じ種目になるわけがねぇ」
「人目気にせずってなんだよ! 双子で何をやるんだってばよ!」
つい思ったことが口から出てしまい、ハッとセンパイを見た時には既に遅し。ニヤニヤと笑うセンパイと目が合ってしまった。
「ふぅん。御竿護、キミ、やっぱり興味あるんだ。いいよ。今日、種目の合間に相手してあげる……」
「いやー、早く学校行って準備運動しないとなぁ。それじゃ鏡華ちゃん、また!」
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