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七月
夏だ! 海だ! 無人島だ!? その12
「だから! 護は俺と寝るんだっつの!」
「君の意見は聞いてないんだよ。いい加減聞き分けたらどうだい?」
ついにはテントの中でバタバタ暴れ始めた太刀根と猫汰。太刀根が猫汰を組み敷こうと腕を掴むが、流石は柔道部。体格差なぞものともせず、猫汰は逆に太刀根を簡単に下へ引くと、太刀根の両手を片手でまとめ、空いた手で太刀根の横腹を撫でた。
「ひうっ」
「このまま寝てもらってもいいんだけど。それとも、屹立先輩と同じように暖めてあげようか? 幼馴染のよしみで優しくしてあげてもいいよ」
「だ、れが……」
太刀根も良いようにされるだけではないらしい。猫汰を力任せに蹴り飛ばすと、息を荒くしながら起き上がった。
対する猫汰は、テントの中だというのに器用に一回転し着地を決めると「やるようになったね」と口の端を持ち上げてみせる。つか、狭い中で何やってんのこいつら。
「お、おい、お前らいい加減に」
「護先輩! ウチ、怖いです!」
「おわっ!?」
どさくさに紛れ下獄が俺に抱きついてきた。その身体を支えられず、俺は下獄に押し倒される形になってしまう。間近に見る好みの顔に一瞬胸が鳴った気がしたが、待て落ち着けこいつは男だ。
「げ、下獄、頼むからどいてくれ」
「嫌です護先輩! お願いです、怖いです……」
そう言い迫ってくる好みの顔。下獄が「先輩……」と目を閉じる。長い睫毛だなぁとか、キメの細かい肌だなぁとか、柔らかそうな唇だなぁとか、そんなことを考えながら俺も目を閉じかけ――
「ハァッ、ハァッ」
ものすごい荒い鼻息が聞こえてそちらを見れば、背を向けて寝ていたはずの観手が目をカッと見開いてこっちをガン見していた。
「ぎゃあああ!?」
その血走った目が何よりも恐ろしく、我に返った俺は思わず下獄を突き飛ばした。
「っぶね。そうだ、ほだされたら終わりだ、落ち着け俺」
「もう少しだったのに~」
「お前も大人しく寝てろ!」
危うく、彼女も出来たことない俺がキスから先に進んでしまうところだった。自分で言ってて悲しいけど。
「下獄! お前今抜け駆けしようとしたな!」
「ご、誤解です、太刀根先輩。ウチはただお二人が怖くて……」
「なら不本意だけど僕のほうに来るといいよ。だから御竿くんから離れるんだ」
「い、嫌です! お二人から護先輩を守るのはウチの役目です!」
ついには三つ巴の戦いに発展してしまい、お互いがお互いを外へ放り出すために追いかけ回し。
「あ」
ガラガラガラガラ。激しい音と共に、一生懸命作った寝床は、ただの廃屋へと変わり果ててしまったのだ。
「……」
まだまだ夜も遅い中、俺たちは鏡華ちゃんたちから少し離れた場所で正座をしていた。下が砂浜だし痺れることはなさそうだが、それでも吹きつけてくる潮風は体に滲みた。
「巧巳のせいだ」
「僕だけじゃないよ。君も、下獄くんにも責任はある」
俺からすればそんなんどうでもいい。それよりも気になるのが、暗闇にゆらゆらと揺れる炎だ。先ほど猫汰に連れて行かれたセンパイが、豚の丸焼きのように器用に丸太に吊るされ、炎に炙られている。
「な、なぁ猫汰。あれ、センパイだよ、な?」
「あぁ、うん、そうだよ」
「なんでああなってんの」
一応言っておくと、センパイはちゃんと生きている。が、普通の人には絶対にしちゃ駄目なやつだ。
「なんでって……。暖めてるんだよ。それに、お腹が空いた時の非常食も大事だろう?」
悪気もなく言ったそれに、俺は「いやいや」と全力で首を横に振った。
「いくらセンパイをどうでもいいと思ってる俺でも食わねぇよ!? 人道的じゃないよ!?」
「あれは豚だよ、豚」
「駄目だって、猫汰。な?」
肩を掴んで必死の形相で訴えれば、猫汰は「君が言うなら」ととりあえずは頷いてくれた。けれどセンパイを降ろすつもりはないらしく、炙られたままだ。
「お。空見てみろよ」
太刀根が空を指差す。
「わぁ、綺麗ですね~」
その先に広がる満天の星たちに、観手が笑みを零して大の字に横たわった。俺もちょっとだけ星空を見上げて、それからはずっと観手の横顔を見つめていた。
「君の意見は聞いてないんだよ。いい加減聞き分けたらどうだい?」
ついにはテントの中でバタバタ暴れ始めた太刀根と猫汰。太刀根が猫汰を組み敷こうと腕を掴むが、流石は柔道部。体格差なぞものともせず、猫汰は逆に太刀根を簡単に下へ引くと、太刀根の両手を片手でまとめ、空いた手で太刀根の横腹を撫でた。
「ひうっ」
「このまま寝てもらってもいいんだけど。それとも、屹立先輩と同じように暖めてあげようか? 幼馴染のよしみで優しくしてあげてもいいよ」
「だ、れが……」
太刀根も良いようにされるだけではないらしい。猫汰を力任せに蹴り飛ばすと、息を荒くしながら起き上がった。
対する猫汰は、テントの中だというのに器用に一回転し着地を決めると「やるようになったね」と口の端を持ち上げてみせる。つか、狭い中で何やってんのこいつら。
「お、おい、お前らいい加減に」
「護先輩! ウチ、怖いです!」
「おわっ!?」
どさくさに紛れ下獄が俺に抱きついてきた。その身体を支えられず、俺は下獄に押し倒される形になってしまう。間近に見る好みの顔に一瞬胸が鳴った気がしたが、待て落ち着けこいつは男だ。
「げ、下獄、頼むからどいてくれ」
「嫌です護先輩! お願いです、怖いです……」
そう言い迫ってくる好みの顔。下獄が「先輩……」と目を閉じる。長い睫毛だなぁとか、キメの細かい肌だなぁとか、柔らかそうな唇だなぁとか、そんなことを考えながら俺も目を閉じかけ――
「ハァッ、ハァッ」
ものすごい荒い鼻息が聞こえてそちらを見れば、背を向けて寝ていたはずの観手が目をカッと見開いてこっちをガン見していた。
「ぎゃあああ!?」
その血走った目が何よりも恐ろしく、我に返った俺は思わず下獄を突き飛ばした。
「っぶね。そうだ、ほだされたら終わりだ、落ち着け俺」
「もう少しだったのに~」
「お前も大人しく寝てろ!」
危うく、彼女も出来たことない俺がキスから先に進んでしまうところだった。自分で言ってて悲しいけど。
「下獄! お前今抜け駆けしようとしたな!」
「ご、誤解です、太刀根先輩。ウチはただお二人が怖くて……」
「なら不本意だけど僕のほうに来るといいよ。だから御竿くんから離れるんだ」
「い、嫌です! お二人から護先輩を守るのはウチの役目です!」
ついには三つ巴の戦いに発展してしまい、お互いがお互いを外へ放り出すために追いかけ回し。
「あ」
ガラガラガラガラ。激しい音と共に、一生懸命作った寝床は、ただの廃屋へと変わり果ててしまったのだ。
「……」
まだまだ夜も遅い中、俺たちは鏡華ちゃんたちから少し離れた場所で正座をしていた。下が砂浜だし痺れることはなさそうだが、それでも吹きつけてくる潮風は体に滲みた。
「巧巳のせいだ」
「僕だけじゃないよ。君も、下獄くんにも責任はある」
俺からすればそんなんどうでもいい。それよりも気になるのが、暗闇にゆらゆらと揺れる炎だ。先ほど猫汰に連れて行かれたセンパイが、豚の丸焼きのように器用に丸太に吊るされ、炎に炙られている。
「な、なぁ猫汰。あれ、センパイだよ、な?」
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「なんでって……。暖めてるんだよ。それに、お腹が空いた時の非常食も大事だろう?」
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「駄目だって、猫汰。な?」
肩を掴んで必死の形相で訴えれば、猫汰は「君が言うなら」ととりあえずは頷いてくれた。けれどセンパイを降ろすつもりはないらしく、炙られたままだ。
「お。空見てみろよ」
太刀根が空を指差す。
「わぁ、綺麗ですね~」
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