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七月
夏だ! 海だ! 無人島だ!? その14
豪華なシャンデリアが吊り下がったホール、立派な暖炉(ただし今は夏)、雰囲気のありそうなよくわからん像、壁にはなぜか会長の自画像が一面に飾られていて、笑いを通り越して最早ホラーだ。
「か、会長、これは一体……」
先頭を歩く会長に問えば、会長は振り返ることもせずに、
「どうだ、素晴らしいだろう? 護くんとの愛の巣だ」
「うげっ」
つい吐き気が込み上げるが、大衆の前で吐くわけにもいかずなんとか堪えた。ま、吐いたとしても鏡華ちゃんが看てくれそうではあるけど。
つか、あれ? 待てよ、俺との愛の巣ってことは……。
「一日で作ったんすか?」
「屋敷自体は半日だ。家具の配置に手間取ってしまい、時間がかかってしまってな」
「半日……」
まだ会長が「壁紙は」だの「浴槽は」だのなんか言ってるけど、俺はそんなことよりも、これを半日で作ったという会長のチートっぷりに恐怖を感じていた。
「まぁいい。それよりも……」
会長が腕組みをしながらくるりと振り返る。その冷たい視線は俺に、ではなく、俺の後ろを歩く太刀根、猫汰、下獄に注がれている。
「愚民」
愚民、と会長が示したのはもちろん太刀根だ。
「ぁんだよ」
「オレは護くんと先生がた、それから子女を招いたのだ。まぁ、他がついてくるのは仕方がないとして」
この際弟は“他”に入るのか、それとも太刀根と同じく“愚民”に入るのか気になるところだ。いや、どちらに属したところで、あの弟なら喜びそうだが。
「太刀根攻、なぜ貴様まで当たり前のようについてきている。穢れるだろう」
「腹が減ったからに決まってんだろ。それともあれか? 生徒会長は、俺たち一般生徒のことなんて視界にすら入らねぇのかよ」
「ほう……?」
やめとけばいいのに、なんで太刀根はこうも会長にガン飛ばすんだ。いつも痛い目に合っているだろうに。いや、ここまでくると、むしろ合いたいのかもしれないとすら思えてくる。
だけど会長は気にした様子もなく、むしろ「それも一理ある」と優しく微笑んだ。いや。いやいや、絶対これ怒らせたって! どうすんだよ太刀根! とは言えないまま、俺たちは応接間らしき部屋へと案内された。
「わぁ……、あったかい飯だ……」
でかい長方形のテーブルに、焼き立てのパンやら肉やら牛乳やらが置いてある。どれもこれも美味そうで、俺はすぐに席へ着くと「いただきます!」と近くにあったクロワッサンを手に取った。
「たんと食べるといい。太刀根攻、貴様はこちらだ」
「は? お、おい何すんだよ!」
太刀根も椅子に座りかけていたが、会長に容赦なく引っ張られて更に奥の部屋へ連れて行かれていく。
「何、とは失礼な奴だ。貴様が言ったのだろう? 一般生徒のことなど視界に入っていないのか、と」
「はぁ? ちょ、ちょっと待てって。お、おい……!」
「このオレ、屹立壱が、どれほど生徒を観察し、見知っているかを、貴様に直接教えてやらねばならぬようだ」
バタン。締め切られた扉。
俺はクロワッサンを飲み込んでから、サラダに手をつけだした猫汰に、
「な、なぁ、大丈夫なのか……?」
と恐る恐る聞いてみた。猫汰はサラダにゴマドレとシソドレとマヨネーズをかけてから、
「それは会長が? それとも太刀根くんが?」
と興味なさげに言い放った。
「主に太刀根が、かな」
「それならほっといていいんじゃないかな。それよりもほら、牛乳注いでくれるって」
猫汰に言われ横を見れば、いかにも執事ですって服装のじいさんが、牛乳の入ったボトル(?)を持って朗らかに佇んでいる。
「あ、あぁ、どうも」
されるがままにコップに牛乳を注がれ、それに軽くお礼を伝えてから一口飲んだ。
「壱ぼっちゃんのお友達ですかな?」
「友達ではなく、まぁ、後輩なんすけど……ん?」
なんだ、なんだこの違和感は。
「ねぇ爺! ボクにはあったかいミルクティー出して! いつものでね!」
「はい、終ぼっちゃま。アイリッシュモルトでございますね」
「茶葉なんていちいち覚えてない。ほら、早く!」
執事のじいさんは「かしこまりました」と一礼すると、手際よく用意していく。そこで俺は気づいた。
「なぁ、爺って、どういう、こと?」
センパイは「何言ってんの」と椅子にふんぞり返ると、
「屹立家の爺に決まってるでしょ。全く、これだから頭の弱い愚民は」
と自慢するように鼻を鳴らしたのだった。
「か、会長、これは一体……」
先頭を歩く会長に問えば、会長は振り返ることもせずに、
「どうだ、素晴らしいだろう? 護くんとの愛の巣だ」
「うげっ」
つい吐き気が込み上げるが、大衆の前で吐くわけにもいかずなんとか堪えた。ま、吐いたとしても鏡華ちゃんが看てくれそうではあるけど。
つか、あれ? 待てよ、俺との愛の巣ってことは……。
「一日で作ったんすか?」
「屋敷自体は半日だ。家具の配置に手間取ってしまい、時間がかかってしまってな」
「半日……」
まだ会長が「壁紙は」だの「浴槽は」だのなんか言ってるけど、俺はそんなことよりも、これを半日で作ったという会長のチートっぷりに恐怖を感じていた。
「まぁいい。それよりも……」
会長が腕組みをしながらくるりと振り返る。その冷たい視線は俺に、ではなく、俺の後ろを歩く太刀根、猫汰、下獄に注がれている。
「愚民」
愚民、と会長が示したのはもちろん太刀根だ。
「ぁんだよ」
「オレは護くんと先生がた、それから子女を招いたのだ。まぁ、他がついてくるのは仕方がないとして」
この際弟は“他”に入るのか、それとも太刀根と同じく“愚民”に入るのか気になるところだ。いや、どちらに属したところで、あの弟なら喜びそうだが。
「太刀根攻、なぜ貴様まで当たり前のようについてきている。穢れるだろう」
「腹が減ったからに決まってんだろ。それともあれか? 生徒会長は、俺たち一般生徒のことなんて視界にすら入らねぇのかよ」
「ほう……?」
やめとけばいいのに、なんで太刀根はこうも会長にガン飛ばすんだ。いつも痛い目に合っているだろうに。いや、ここまでくると、むしろ合いたいのかもしれないとすら思えてくる。
だけど会長は気にした様子もなく、むしろ「それも一理ある」と優しく微笑んだ。いや。いやいや、絶対これ怒らせたって! どうすんだよ太刀根! とは言えないまま、俺たちは応接間らしき部屋へと案内された。
「わぁ……、あったかい飯だ……」
でかい長方形のテーブルに、焼き立てのパンやら肉やら牛乳やらが置いてある。どれもこれも美味そうで、俺はすぐに席へ着くと「いただきます!」と近くにあったクロワッサンを手に取った。
「たんと食べるといい。太刀根攻、貴様はこちらだ」
「は? お、おい何すんだよ!」
太刀根も椅子に座りかけていたが、会長に容赦なく引っ張られて更に奥の部屋へ連れて行かれていく。
「何、とは失礼な奴だ。貴様が言ったのだろう? 一般生徒のことなど視界に入っていないのか、と」
「はぁ? ちょ、ちょっと待てって。お、おい……!」
「このオレ、屹立壱が、どれほど生徒を観察し、見知っているかを、貴様に直接教えてやらねばならぬようだ」
バタン。締め切られた扉。
俺はクロワッサンを飲み込んでから、サラダに手をつけだした猫汰に、
「な、なぁ、大丈夫なのか……?」
と恐る恐る聞いてみた。猫汰はサラダにゴマドレとシソドレとマヨネーズをかけてから、
「それは会長が? それとも太刀根くんが?」
と興味なさげに言い放った。
「主に太刀根が、かな」
「それならほっといていいんじゃないかな。それよりもほら、牛乳注いでくれるって」
猫汰に言われ横を見れば、いかにも執事ですって服装のじいさんが、牛乳の入ったボトル(?)を持って朗らかに佇んでいる。
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