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八月
恐怖体験、コミックマーケット! その8
どうして。どうしてこうなった。
会場の外にある特設ステージに立つ俺と猫汰と会長。俺たちの足元には、同じくステージに立っていたはずのモブ演者たちの死体(死んでない)が転がっている。
俺たちの服装は俺の好きな戦隊物もののそれで、観客席からは声援が飛び交っている。その最前席に座る観手は、至極楽しそうにニヤついている。そんな観手をちらりと見て、俺は、深く、深くため息をついたのだった。
なんだかんだで無事に外へ出られた。新鮮な空気を思いきり体内に取り込めば、さっきまでの腐った何かが浄化されていくような気さえする。
「よし。あとは帰るだけだな」
「そうだね……ん?」
猫汰が何かを見つけたらしく、細い目を更に細くして凝視している。と。
「見つけました、御竿さん!」
「み、観手!?」
観手が鬼のような形相でこっちに向かってくる。ブースの売り子はどうした。
「ちょっとお願いがあるんです! というか、売り子はただの前座で、こっちが本命なんですよ!」
「いやいや、俺はもう帰るし。な、猫……巧巳」
「そうだよ観手さん。悪いけど、御竿くんには帰ったらモップリンに変身してもらわないといけないんだ」
「そのままお前らまとめて掃除してもええんやで?」
とんでもないことを口走る猫汰に釘をさし、俺は改めて観手に向き直ると、
「ということで、じゃ」
と横を通り過ぎようとした。もちろん捕まった。がっしりと掴む力は強く、女神どころかゴリラじゃねぇかと一瞬思う。口には出さなかったが。
この状態で何かしら交渉してくるかと思ったが、俺の予想とは反対に、観手は静観を決め込んでいた猫汰に笑いかけた。
「ねぇ、猫汰さん。御竿さんのモップリン、見たくないですか~?」
「……詳しく」
「実はですね、今日ステージでキラキュアショーをやる予定なんです。その主役であるモップリンを、御竿さんにしてもらおうと」
「よし、行こう」
「即答すんなよ!」
左側を観手に掴まれ、そして右側を猫汰に掴まれ、俺は抵抗虚しく、俺の意思なぞ関係なく。
気づいた時にはここ、ショーをやる予定だという特設ステージまで、悲しくも無慈悲に引きずられていったのだ。
「わぁあああ! 似合ってますよ、御竿さん!」
「……」
ここは特設ステージ裏にある控室だ。カーテンで遮っただけの、簡単なものだけどな。そこの姿見鏡に写る俺を見て、俺は酷く肩を落とした。
全体的に黄色を意識したモップリンのもので、短いスカートから覗く足は黒のスパッツで固くガードしている。多少激しく動いたところで、大きいお友達が喜びそうなものは見えない造りになっている。頭につけたサクランボイメージの髪飾りが、やけに再現度が高く乾いた笑いが出た。
「つか、俺お芝居とかやったことないし」
「大丈夫です! それとなくやってくれれば」
「そんなんでいいのかよ」
「いいんです、そんなもんです」
スカートの端を摘んでみる。スースーしていて落ち着かない。こんなん着てお掃除してるとか……、やっぱモップリンすげぇな。更に好きになったわ。
「それでですね、一緒に戦う仲間なんですが」
カシャン!
「誰だ! カーテン開けるなら一言……」
「待たせたな、太刀根攻! わざわざ来てやったことに感謝するといい!」
「へ……? 会、長?」
勢いよく開かれたカーテンから、両腕にこれでもかというほど、トートバッグやらビニール袋をぶら下げた会長が現れた。つか、今太刀根って言わなかったか、こいつ……。
会場の外にある特設ステージに立つ俺と猫汰と会長。俺たちの足元には、同じくステージに立っていたはずのモブ演者たちの死体(死んでない)が転がっている。
俺たちの服装は俺の好きな戦隊物もののそれで、観客席からは声援が飛び交っている。その最前席に座る観手は、至極楽しそうにニヤついている。そんな観手をちらりと見て、俺は、深く、深くため息をついたのだった。
なんだかんだで無事に外へ出られた。新鮮な空気を思いきり体内に取り込めば、さっきまでの腐った何かが浄化されていくような気さえする。
「よし。あとは帰るだけだな」
「そうだね……ん?」
猫汰が何かを見つけたらしく、細い目を更に細くして凝視している。と。
「見つけました、御竿さん!」
「み、観手!?」
観手が鬼のような形相でこっちに向かってくる。ブースの売り子はどうした。
「ちょっとお願いがあるんです! というか、売り子はただの前座で、こっちが本命なんですよ!」
「いやいや、俺はもう帰るし。な、猫……巧巳」
「そうだよ観手さん。悪いけど、御竿くんには帰ったらモップリンに変身してもらわないといけないんだ」
「そのままお前らまとめて掃除してもええんやで?」
とんでもないことを口走る猫汰に釘をさし、俺は改めて観手に向き直ると、
「ということで、じゃ」
と横を通り過ぎようとした。もちろん捕まった。がっしりと掴む力は強く、女神どころかゴリラじゃねぇかと一瞬思う。口には出さなかったが。
この状態で何かしら交渉してくるかと思ったが、俺の予想とは反対に、観手は静観を決め込んでいた猫汰に笑いかけた。
「ねぇ、猫汰さん。御竿さんのモップリン、見たくないですか~?」
「……詳しく」
「実はですね、今日ステージでキラキュアショーをやる予定なんです。その主役であるモップリンを、御竿さんにしてもらおうと」
「よし、行こう」
「即答すんなよ!」
左側を観手に掴まれ、そして右側を猫汰に掴まれ、俺は抵抗虚しく、俺の意思なぞ関係なく。
気づいた時にはここ、ショーをやる予定だという特設ステージまで、悲しくも無慈悲に引きずられていったのだ。
「わぁあああ! 似合ってますよ、御竿さん!」
「……」
ここは特設ステージ裏にある控室だ。カーテンで遮っただけの、簡単なものだけどな。そこの姿見鏡に写る俺を見て、俺は酷く肩を落とした。
全体的に黄色を意識したモップリンのもので、短いスカートから覗く足は黒のスパッツで固くガードしている。多少激しく動いたところで、大きいお友達が喜びそうなものは見えない造りになっている。頭につけたサクランボイメージの髪飾りが、やけに再現度が高く乾いた笑いが出た。
「つか、俺お芝居とかやったことないし」
「大丈夫です! それとなくやってくれれば」
「そんなんでいいのかよ」
「いいんです、そんなもんです」
スカートの端を摘んでみる。スースーしていて落ち着かない。こんなん着てお掃除してるとか……、やっぱモップリンすげぇな。更に好きになったわ。
「それでですね、一緒に戦う仲間なんですが」
カシャン!
「誰だ! カーテン開けるなら一言……」
「待たせたな、太刀根攻! わざわざ来てやったことに感謝するといい!」
「へ……? 会、長?」
勢いよく開かれたカーテンから、両腕にこれでもかというほど、トートバッグやらビニール袋をぶら下げた会長が現れた。つか、今太刀根って言わなかったか、こいつ……。
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