【完】BLゲームに転生した俺、クリアすれば転生し直せると言われたので、バッドエンドを目指します! 〜女神の嗜好でBLルートなんてまっぴらだ〜

とかげになりたい僕

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九月

大改造! 屹立パワーで大☆学祭! その9

 涎と鳥のフンってどっちが汚いかなとか。
 いやでも涎ってキスすればつくからまだマシじゃねとか。
 それって好きな子とだから嫌じゃないんだよなとか。
 つまるところ、

「お前はやっぱ無理なんだよ!」

と俺はセンパイの顎目掛けてアッパーを繰り出した。

「フゴッ」

 綺麗に入ったのか、涎を撒き散らしながらセンパイが倒れていく。宙に舞った涎が雨のように降ってくるのを、俺は無の心で身体に受けた。後で武道場のシャワーでも借りようかな。

「さっすが御竿ちゃん♪ アタシが見込んだだけあるわ」
「あ?」

 こいつ(失礼)は何言ってんだ。俺を売ろうとしやがったくせに。俺の睨みがよほど効いたのか、牧地は「今度焼肉行きましょ♪」とウインクをしてきた。
 さっき先生と生徒云々言っていた気もするが、まぁ焼肉食べれるならいいか。どうせゲームだ、誰も裁けはしまい。

「じゃ、食べ放題じゃないほうで」
「えっ」
「ごちになります」

 約束を取り付けてしまえばこっちのもんだ。
 とりあえず俺は、意識を失ったはずのセンパイに近寄り、顔を靴の先でつついてみる。反応はなかった。

「もう大丈夫、か……?」
「グ、グル、ル」
「おわっ。まだ生きてやがる!」

 ゴキ●リを潰したはずなのにまだ生きている。強いて言うなら、それに近い気持ちで言葉を吐き捨てて、俺はさらなるトドメをさそうと手にした報告書を丸くし、センパイを叩こうと――

「待ちたまえ、護くん」
「会長?」

 なんというタイミングか。会長が階段を上がってきた。手にはタオルが握られていて、会長にしては珍しく額には汗が浮かんでいる。

「会長、探してたんすよ! このゴ●ブリなんとかしてください!」

 当たり前だが、人をゴキブ●呼ばわりはよくないぞ。これはセンパイがマジもんの●キブリだから言っていいだけだ。
 だが会長は、仮にも弟をゴキ呼ばわりされたのを怒るどころか、むしろ愉しそうにタオルを宙に放った。落ちてきたタオルがセンパイの股間を隠した、ナイス。

「なんとか、か……。くくく、やはり護くん、キミは素晴らしいな」
「はぁ?」
「この状態のソレを抑えられる奴なぞ、鏡華ぐらいだと思っていたが……。やはりオレの目に狂いはなかった」

 何この強キャラ臭。いや、会長は強キャラどころかラスボスだったわ。
 俺はこれ以上関わってたまるかと、手に持っていた報告書の束を会長に突き出した。

「会長、確認お願いします」
「ふむ……、ほう、なるほど」

 会長は報告書を何枚かめくって、それからそのうちの一枚を抜き取ると、どこから出したのかわからない万年筆で何かを書き込んだ。

「会長、これって……」
「いや何、バスケ部が経費を上げろと煩かったものでな。今しがたオレ一人で叩き潰してきたところだ」
「うわぁ……」

 書き込んだ報告書だけ突っ返されたが、あとは受け取ってもらえたようだ。よし、今日の仕事は終わったな。いつもより早めに帰れそうだ。

「あぁ、護くん」
「はい?」

 倒れたままのセンパイを、会長がひょいと片手で軽々と持ち上げる。もう何も言うまい。

「今日はそれをバスケ部に渡してから帰るように。そのまま直帰してもらって構わん」
「は?」
「では失礼する」

 そのまま階段を上がっていく会長。俺は手に持った紙切れをくしゃりと握りしめ、

「あら? んもう、壱ちゃんたら♪」

と言った牧地と同じように紙切れを見れば。
 経費が上げられたバスケ部の報告書が、くしゃくしゃになって握られていた。
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