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九月
大改造! 屹立パワーで大☆学祭! その13
一年生の催し物を後にし、俺は次なる試練へと向かっていた。手元の紙には、剣道部主催の“剣道カフェ”について記載されている。まさかこんな形で行く羽目になるとは。
「あ。護!」
カフェの出入口には剣道着に身を包んだ太刀根がいた。犬が尻尾を振るみたいに手を振ってくるものだから、俺もつい反射で小さく手を上げた。
「来てくれたんだな!」
「まぁ、生徒会の仕事でな。何も問題はないか?」
俺自身が一年生の催しでやらかしたのはこの際カウントしない。
「とりあえず入ってみてくれよ」
「おう」
太刀根の案内で扉をくぐる。間違ってもカフェ。怖い思いも、謎解きも、ましてや変なビームなんて出るはずないだろう、たぶん。
なぜかカフェなのに全室個室になっていて、俺はそのうちの一部屋に通され座らせられた。
「これがメニューな」
「サンキュ。どれどれ……って、なんだこれは!?」
渡されたメニューを見てびっくり。なんとメニューには、食べ物どころか飲み物の名前すら書かれていなかったのだ。
代わりに“益州虎VS太刀根攻”というように、剣道部員の名前がずらりと並んでいる。よくよく見れば、男子同士、女子同士になっている。
「なぁ太刀……いや攻、これ何?」
「何って、メニューだろ? 早く選べよ」
「俺の知ってるメニューと少し、いやだいぶ違うけど……。じゃ、これで」
そう言って、俺は女子同士の名前を指差した。だが太刀根はすぐに「あー」と濁しながら、
「わり。その二人は、さっき注文入っちまったんだわ」
「注文入ったら注文出来ないってどんなシステム」
「いいからいいから。別の部員でよろしく!」
「じゃ……、こっち」
違う女子の名前を指してみる。
「あー、残念! さっき休憩入ったんだわ!」
「早くね!? まだ始まったばっかだよな!?」
「今空いてるのはオレらぐらいなんだ、わりぃな」
「結局そうなるのかよ! もういいよ、それで!」
半分ヤケクソだ。つかゲームの都合上、この二人以外やらせてくれる気配なんて微塵たりとも感じ取れないけどな。
「よし来た! 部長、注文っす!」
太刀根がノリノリで個室の外に叫ぶ。しばしの後、剣道着姿の益州先輩が「ご注文ありがとうございます」と静かに入ってきて、試合をする前のように頭を下げた。
「ん? 君は御竿くんじゃないか。君が注文してくれたんだな、嬉しいよ」
「いや、注文ってか余りもんっていうか」
「早速だが始めよう。太刀根、構えろ」
「たがら余りもんを……、いやもういいっす」
これはもう大人しく座っているしかない。どんよりする俺を置いて、太刀根は「はい!」と懐から巨大なハリセンを取り出したのだ。なんでハリセン?
ついていけない俺を気にする様子もなく、二人は竹刀を構えるように、ハリセンを真剣な表情のまま構えた。
「行くぞ!」
「きええええ!」
「ほああああ!」
パァンッ。
乾いた音が鳴り、益州先輩のハリセンが太刀根の上着を叩いた。
「くっ」
「まだまだ甘いな、太刀根」
太刀根は悔しそうに下唇を噛み締め、それから道着の肩部分をするりと落とした。程よく筋肉のついた身体が電気の元に明るみになる。
「え、ちょ、なんで脱いでんの」
「そりゃ脱がなきゃ注文出来ないだろ?」
「いや脱がなきゃ駄目ってどういう……ん?」
なんだ、太刀根の背中になんか書いてあるぞ。
「……オレンジ、ジュース?」
「オレンジジュース入りましたぁ!」
「はーい!」
可愛らしい元気な声がし、すぐに扉が開いて女子生徒がコップを乗せたトレイを運んできた。色から察するに、本当にオレンジジュースのようだ。
「次行くぞ、太刀根!」
「はい!」
再び二人でハリセンを構え、また太刀根が叩かれる。今度は足だ。嫌な、予感が……。
「部長、いきなりメインディッシュにするなんて。俺、まだ護に見せる準備出来てないっすよ……」
「そんなことを言っていては、いつまで経っても前へは進めんぞ! さぁ太刀根。今こそ、お前の全てを受け入れてもらえ!」
「はい! 護、受け止めてくれ!」
太刀根が袴の紐に手をかける。
「誰が受け止めるか、ど阿呆!」
すかさず俺はハリセンを取り上げると、二人の頭をスパーン! と力いっぱい引っ叩いた。
「あ。護!」
カフェの出入口には剣道着に身を包んだ太刀根がいた。犬が尻尾を振るみたいに手を振ってくるものだから、俺もつい反射で小さく手を上げた。
「来てくれたんだな!」
「まぁ、生徒会の仕事でな。何も問題はないか?」
俺自身が一年生の催しでやらかしたのはこの際カウントしない。
「とりあえず入ってみてくれよ」
「おう」
太刀根の案内で扉をくぐる。間違ってもカフェ。怖い思いも、謎解きも、ましてや変なビームなんて出るはずないだろう、たぶん。
なぜかカフェなのに全室個室になっていて、俺はそのうちの一部屋に通され座らせられた。
「これがメニューな」
「サンキュ。どれどれ……って、なんだこれは!?」
渡されたメニューを見てびっくり。なんとメニューには、食べ物どころか飲み物の名前すら書かれていなかったのだ。
代わりに“益州虎VS太刀根攻”というように、剣道部員の名前がずらりと並んでいる。よくよく見れば、男子同士、女子同士になっている。
「なぁ太刀……いや攻、これ何?」
「何って、メニューだろ? 早く選べよ」
「俺の知ってるメニューと少し、いやだいぶ違うけど……。じゃ、これで」
そう言って、俺は女子同士の名前を指差した。だが太刀根はすぐに「あー」と濁しながら、
「わり。その二人は、さっき注文入っちまったんだわ」
「注文入ったら注文出来ないってどんなシステム」
「いいからいいから。別の部員でよろしく!」
「じゃ……、こっち」
違う女子の名前を指してみる。
「あー、残念! さっき休憩入ったんだわ!」
「早くね!? まだ始まったばっかだよな!?」
「今空いてるのはオレらぐらいなんだ、わりぃな」
「結局そうなるのかよ! もういいよ、それで!」
半分ヤケクソだ。つかゲームの都合上、この二人以外やらせてくれる気配なんて微塵たりとも感じ取れないけどな。
「よし来た! 部長、注文っす!」
太刀根がノリノリで個室の外に叫ぶ。しばしの後、剣道着姿の益州先輩が「ご注文ありがとうございます」と静かに入ってきて、試合をする前のように頭を下げた。
「ん? 君は御竿くんじゃないか。君が注文してくれたんだな、嬉しいよ」
「いや、注文ってか余りもんっていうか」
「早速だが始めよう。太刀根、構えろ」
「たがら余りもんを……、いやもういいっす」
これはもう大人しく座っているしかない。どんよりする俺を置いて、太刀根は「はい!」と懐から巨大なハリセンを取り出したのだ。なんでハリセン?
ついていけない俺を気にする様子もなく、二人は竹刀を構えるように、ハリセンを真剣な表情のまま構えた。
「行くぞ!」
「きええええ!」
「ほああああ!」
パァンッ。
乾いた音が鳴り、益州先輩のハリセンが太刀根の上着を叩いた。
「くっ」
「まだまだ甘いな、太刀根」
太刀根は悔しそうに下唇を噛み締め、それから道着の肩部分をするりと落とした。程よく筋肉のついた身体が電気の元に明るみになる。
「え、ちょ、なんで脱いでんの」
「そりゃ脱がなきゃ注文出来ないだろ?」
「いや脱がなきゃ駄目ってどういう……ん?」
なんだ、太刀根の背中になんか書いてあるぞ。
「……オレンジ、ジュース?」
「オレンジジュース入りましたぁ!」
「はーい!」
可愛らしい元気な声がし、すぐに扉が開いて女子生徒がコップを乗せたトレイを運んできた。色から察するに、本当にオレンジジュースのようだ。
「次行くぞ、太刀根!」
「はい!」
再び二人でハリセンを構え、また太刀根が叩かれる。今度は足だ。嫌な、予感が……。
「部長、いきなりメインディッシュにするなんて。俺、まだ護に見せる準備出来てないっすよ……」
「そんなことを言っていては、いつまで経っても前へは進めんぞ! さぁ太刀根。今こそ、お前の全てを受け入れてもらえ!」
「はい! 護、受け止めてくれ!」
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すかさず俺はハリセンを取り上げると、二人の頭をスパーン! と力いっぱい引っ叩いた。
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