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十一月
絶体絶命! 予測不能の期末勉強!? その7
静かな保健室に突如として響いたノック音。俺とセンパイは互いに息をひそめ、それが空耳であることを望むように扉を凝視していた。
コン、コン、コン。
「み、御竿護……! やっぱり」
「しっ。静かにしててください」
センパイが騒ぎ出す前に口を塞いで、俺は再び扉に視線をやった。扉の磨りガラスには、向こう側にいるであろう人影がうっすらと見えている。
ツンツンとした赤い髪。あんなに目立つ色、俺の知ってる中では、いやこの世界では一人しかいない。
「おーい、護。いるんだろー? 開けてくれよー」
あぁ、やっぱりあいつだ。あいつの声だ。なら尚更開けてたまるか。
「おーい、おーい」
ガチャガチャと扉が揺れる。鍵を掛けてくれた鏡華ちゃんに感謝した。
……ん? そこで俺は思い出す。“誰が来ても開けるな”。そう鏡華ちゃんは言ってなかったか? なら鏡華ちゃんはこれを知っていた?
そんなことを考えていると、扉の向こうにいる影は諦めたのか、ふ……と消えていった。
「……ね、ねぇ」
センパイが震える声を出しながら、俺の体操服の端を掴んだ。どうやら口を塞いでいた手は、自分でも気づかない内に離れていたらしい。
いつもなら“触んな”と振り払うところだが、今の俺にはそんな余裕など微塵もなかった。
「今の、何……?」
「そんなの俺が知るか。気になるならセンパイだけ廊下に放り出しますよ」
「いい! 気にならない! そ、それより早く寝よ! ね!?」
ハナからそのつもりだし、俺は今度こそセンパイを振り払ってから、ベッドに向かおうと扉へ背を向けた。と――
コン、コン、コン。
まただ。また誰かがノックしている。センパイは「ヒイッ」と悲鳴を上げて、腰を抜かしたのかへなへなとその場に座り込んでしまった。
「……御竿くん、僕だよ。開けてほしいな」
今度は水色髪だ。背が小さいため、磨りガラスから頭が少し出る程度しか見えてないけど。
「ねぇ、ねぇ。いないのかい?」
その影はまた扉を何度かガチャガチャと揺らした後、扉の前から消えていった。
「……」
沈黙が流れる。
あれは一体なんなんだ? 幽霊? いや、その割に質量がありそうだし、そもそも幽霊って扉ガチャガチャする? つか扉を抜けてくるんじゃね?
「……それじゃセンパイ、俺寝ますんで」
「ボ、ボクも! ベッドまで運んでよ!」
「え、めんど」
コン、コン、コン。
また聞こえた。視線を扉にやる。磨りガラスには、黒髪が揺れるのが見えた。
「御竿さん、私です。わかりますよね? 開けてくださいな~」
「ぁ……あ、観手?」
気づいた時には名前を呼んでしまっていた。慌てて口を塞ぐが、扉の向こう側の人影は「ふふふ」と楽しそうに笑いを零した後、
「そうですよ、私です。観手ですよ。開けてくれますよね?」
と扉を強く叩き始めた。狂気ともいえる叩き方に、よく扉が壊れないななんて場違いなことを考える。
「ふふふ、御竿さん、怖がってるんですか~? 大丈夫です。怖くないですよ~。ふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
どう考えてもあいつじゃない! キモさや怖さは結構似てるけど!
「か、帰れよ! 俺は開けるつもりはねぇかんな!」
自分を奮い立たせ、叫ぶようにして扉に言葉をぶつけた。腰を抜かしたままのセンパイも続くようにして「そ、そうだそうだ!」と声を震わせて叫ぶ。
「み、御竿護は、いい今からボクと、いいいいイイコトするんだから!」
「するかボケ! 勝手なことを言ってんじゃねぇ!」
「可愛がる約束だってしてるんだから!」
「勝手に取りつけるな!」
センパイと言い合っているうちに、なんだか少し落ち着いてきたぞ。そっと扉に目をやれば、人影は「そうですか……」と残念そうに漏らし、また静かに消えていった。
でもその際の、
「おなごはだめかぁぁああ、おのこがいいいぃぃぃ」
には、訂正したい気分だった。
コン、コン、コン。
「み、御竿護……! やっぱり」
「しっ。静かにしててください」
センパイが騒ぎ出す前に口を塞いで、俺は再び扉に視線をやった。扉の磨りガラスには、向こう側にいるであろう人影がうっすらと見えている。
ツンツンとした赤い髪。あんなに目立つ色、俺の知ってる中では、いやこの世界では一人しかいない。
「おーい、護。いるんだろー? 開けてくれよー」
あぁ、やっぱりあいつだ。あいつの声だ。なら尚更開けてたまるか。
「おーい、おーい」
ガチャガチャと扉が揺れる。鍵を掛けてくれた鏡華ちゃんに感謝した。
……ん? そこで俺は思い出す。“誰が来ても開けるな”。そう鏡華ちゃんは言ってなかったか? なら鏡華ちゃんはこれを知っていた?
そんなことを考えていると、扉の向こうにいる影は諦めたのか、ふ……と消えていった。
「……ね、ねぇ」
センパイが震える声を出しながら、俺の体操服の端を掴んだ。どうやら口を塞いでいた手は、自分でも気づかない内に離れていたらしい。
いつもなら“触んな”と振り払うところだが、今の俺にはそんな余裕など微塵もなかった。
「今の、何……?」
「そんなの俺が知るか。気になるならセンパイだけ廊下に放り出しますよ」
「いい! 気にならない! そ、それより早く寝よ! ね!?」
ハナからそのつもりだし、俺は今度こそセンパイを振り払ってから、ベッドに向かおうと扉へ背を向けた。と――
コン、コン、コン。
まただ。また誰かがノックしている。センパイは「ヒイッ」と悲鳴を上げて、腰を抜かしたのかへなへなとその場に座り込んでしまった。
「……御竿くん、僕だよ。開けてほしいな」
今度は水色髪だ。背が小さいため、磨りガラスから頭が少し出る程度しか見えてないけど。
「ねぇ、ねぇ。いないのかい?」
その影はまた扉を何度かガチャガチャと揺らした後、扉の前から消えていった。
「……」
沈黙が流れる。
あれは一体なんなんだ? 幽霊? いや、その割に質量がありそうだし、そもそも幽霊って扉ガチャガチャする? つか扉を抜けてくるんじゃね?
「……それじゃセンパイ、俺寝ますんで」
「ボ、ボクも! ベッドまで運んでよ!」
「え、めんど」
コン、コン、コン。
また聞こえた。視線を扉にやる。磨りガラスには、黒髪が揺れるのが見えた。
「御竿さん、私です。わかりますよね? 開けてくださいな~」
「ぁ……あ、観手?」
気づいた時には名前を呼んでしまっていた。慌てて口を塞ぐが、扉の向こう側の人影は「ふふふ」と楽しそうに笑いを零した後、
「そうですよ、私です。観手ですよ。開けてくれますよね?」
と扉を強く叩き始めた。狂気ともいえる叩き方に、よく扉が壊れないななんて場違いなことを考える。
「ふふふ、御竿さん、怖がってるんですか~? 大丈夫です。怖くないですよ~。ふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
どう考えてもあいつじゃない! キモさや怖さは結構似てるけど!
「か、帰れよ! 俺は開けるつもりはねぇかんな!」
自分を奮い立たせ、叫ぶようにして扉に言葉をぶつけた。腰を抜かしたままのセンパイも続くようにして「そ、そうだそうだ!」と声を震わせて叫ぶ。
「み、御竿護は、いい今からボクと、いいいいイイコトするんだから!」
「するかボケ! 勝手なことを言ってんじゃねぇ!」
「可愛がる約束だってしてるんだから!」
「勝手に取りつけるな!」
センパイと言い合っているうちに、なんだか少し落ち着いてきたぞ。そっと扉に目をやれば、人影は「そうですか……」と残念そうに漏らし、また静かに消えていった。
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には、訂正したい気分だった。
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