【完】BLゲームに転生した俺、クリアすれば転生し直せると言われたので、バッドエンドを目指します! 〜女神の嗜好でBLルートなんてまっぴらだ〜

とかげになりたい僕

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十二月

七匹のオオカミと一人の人間、そして牡蠣? その5

 席に座りそこらへんにいる人集ひとだかりを眺めていると「お久しゅうございます、護様」と聞いたことのある声が聞こえてきた。
 そちらを見れば、夏に無人島 (ではなかったが) でお世話になった執爺さんが朗らかな笑顔で立っていた。

「ども、久しぶりっす」

 短い返事だけして、俺は再び人集りに視線を戻した。あまりいい態度ではないと思うのだが、執爺さんは特に気にした様子もなく、

「何かお口にされますか?」

と手にしていた分厚い紙みたいなものをテーブルに置いた。
 それを見れば、飲食物がずらりと書かれている。なんだかお洒落な名前ばっかりが並んでいて、正直何がどんな料理なのか見当もつかない。

「よくわかんないんで、適当なやつでいいっす」
「ほう。では好き嫌いやアレルギーなどはございますかな?」

 俺は少し考えてから「ない、かな」と躊躇いがちに答えた。パッと思い浮かばないのだ、何が来ても食べれるだろう。あ、でもゲテモノだけは勘弁だ。
 執爺さんは「かしこまりました」と頭を下げ、どこかに行ってしまった。その背中を適当に見送っていると、テーブルに乗った牡蠣が「ククッ」と不敵な笑いを押し殺しているのに目がいった。

「どうした」
「いや。あいつ、だいぶん丸くなったなぁと思ってな」
「何、知り合い?」
「言ったろ? おれの人生は色々あったって」

 そんなことも言ってた気がする。まぁ、あまり考えないでおこう。疲れる。
 どうやら、料理は席についたら係(屹立家の使用人か?)が注文を取りに来るらしく、大体の奴らが仲のいい友人と同じ席についていた。料理を食べない奴らは、適当なスペースで談笑するなり、待ち合わせするなりしているようだ。

「皆楽しそうだよなぁ」
「マモルも楽しめばいいじゃん。例えばほら、来たぜ……?」

 声を低くした牡蠣に「誰が?」と聞くよりも先に、聞き慣れた声が俺の名前を呼んだ。

「護! ここにいたのか、待たせたな!」
「いや別に待ってな……ん!?」

 いつも通りの塩対応をしようと、肘をつきながら声の主のほうを見る。
 そして俺は固まった。

「は!? おま、そのカッコ……」

 開いた口が塞がらないというのは、まさにこの状態を言うのだろうか。
 ブーメランパンツを肩まで伸ばしたような、俗に言う変態野郎が着てそうな服(いや布か?)を着て、顔は僅かばかりの仮面で隠している。
 大事な部分三点セットはきっちり隠しているのだから、これは逆に見事と言うべきか?

「そ、それ、どうしたんだよ……」

 なんとか口を動かす。喉が乾いているのか、やけにヒリヒリした気がした。

「色々考えたんだけど、護に喜んでもらうならこれかと思ってさ」
「俺の喜ぶ基準、認識間違ってない?」
「ここ、座るな?」
「だから聞けって。違うとこ行けよ」

 構わず隣に座ろうとした太刀根が、急に身体をビクンと震わせ「あっ」と座り込んでしまった。手すら差し伸べるのも躊躇われ、俺は引き気味で様子を伺っていると、

「だ、だめぇ。服が、食い込んで……っ、ああっ」

と勝手に身悶え始めやがった。

「護、助けて、くれ。身体が、あぁっ、そんなに激しく食い込むなんて……!」

 助けるも何も、一人で勝手に盛り上がってよがってるだけだ。つか助けたくもない。
 早くこいつをここからどかしたい。料理も来ることだし。

「マモル、マモル」
「どした」

 牡蠣がテーブルの上で跳ねる。

「“ロックオン”って言ってみ?」
「なんだそりゃ」
「いいからいいから」

 なんだか楽しそうだが、とりあえず従ってみるか。俺は多少戸惑いながらも「ロック、オン……?」と小さく呟いた。
 ウイーンと起動音がして、あの緑色の円が太刀根を捉える。続いて、ピピピと円の色が緑から赤に変わった。

「赤色になったけど」
「じゃ、“クオーターファイヤ”だ」
「それ大丈夫?」
「信じろって」

 自信ありげな雰囲気とは反対に、微妙に笑いを堪えてる感じがなきにしもあらずだが……。とりあえず従うか。

「クオーター、ファ、ファイヤ」

 ピピピピピピピピピピピピ……!

『了解、出力、二十五%固定クオータードライブ。放射』

 シュンッ――

「……?」

 一瞬。それは一瞬だった。
 カメラのレンズ部分から出た光は、一瞬だけ閃を描いて、太刀根に当たったようだ。

「た、太刀根……?」

 死んでないだろうか?
 内心焦りながら視線をやれば、ただでさえ少ない布面積がゼロになった太刀根が、恍惚の笑みを浮かべながら転がっていた。
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