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二月
涙の防災訓練、今からお前の追放する!? その8
草むらから出てきたのは小さな猪だった。見た目に可愛いいので、動画でもよく見て癒やされた記憶がある。
「いやいや、てことは親が絶対いるじゃん!」
そう、この類の獣は近くに親がいるのが常識だ。そして大抵、親は気が立っていてまともに話し合えたものじゃない(通じるかは問題外だ)。
「ふぐる、ふぐるる……」
お腹を空かせているのか、ウリ坊は涎を垂らしながらとことこと近づいてきた。俺もそれに合わせてじりじりと距離を取る。
「にーとにき、こんなちっこいのがこわいの?」
「怖くないならお前がなんとかしてくれ」
「ちっちゃいこに、てはだしちゃいけませんってにんげんいってた」
「お前のその人間談どっからきてんの!」
「しゃかいにとけこむために、べんきょうした」
ふふん、とラスは自慢そうに鼻を鳴らしてみせたが、正直今それ必要か!? つか、人間って誰から習ったんだよ!
「ふぐる、ふぐるる」
「あー! 来たぁああ!」
ちっこい鼻先をむにゅむにゅとズボンに押しつけて、匂いを嗅ぐようにふんふんと息を荒くしている。まさか異世界で人生終了になるなんて。
母さん、ごめん。今日の夕飯、牡蠣にでも食わせてやってくれ……。
諦めた俺は悟りを開いた僧侶の如く、目を閉じて祈るように手を組み、空を仰いだ。せめて痛くありませんように。
「見つけたぞ、ウリ丸。母君が心配している。早くこちらに……、おや? 護くんではないか」
「え」
そうっと目を開けてみる。
「ぎゃっ!」
見えたのは、視界に収まりきらないほどにデカい猪。どう見ても母親だ。ウリ坊より立派な口とデカい鼻先を、俺を値踏みでもするように押しつけてきている。
そしてそんな母猪に跨っているのは、我らが学校の生徒会長である。教科書でしか見たことのない原始人みたいな格好に、これまた鉄器時代に使われていたような槍を持っている。
「会長! 何してんすか!?」
「ん? 見てわからんか?」
「わかるか!」
猪に跨る原始人の考えてることなんてわかりたくもないが、とりあえず命拾いはしたようなので「まぁ、助かったっす」とだけ小さく言っておく。
会長は「うむ」といつもと変わらない返事をして、軽々と猪の背から降り立った。様になっているのがさらに苛立つ。
「さ、ウリ丸。母君の背に乗るといい」
「ふぐるー」
ウリ坊は会長を拒否することなく、大人しくその手に抱かれると、すごすごと母猪の背に登っていく。きちんと乗ったのを確認してから、母猪は会長に「ぶぐる」とまるでお礼をするように頭を少し下げてから、林の奥へと消えていった。
「で、会長はここで何を」
「あ! いろいろおしえてくれた、にんげんのひとだ!」
「人間の人って何。ん? 教えてくれた……?」
ラスの爆弾発言ともとれるそれに、俺は顔を引きつらせながら会長を改めて見た。
「一週間前に会ったおチビではないか。どうだ? 元気で上手くやれてるか?」
「うん! いわれたとおりのことをしたら、このにーとにきをうまくつれたの!」
「はっはっはっ、それはいいことだ。人生、楽しんだ者勝ちだからな」
「わーい、わーい!」
なんだ? どういうことだ?
この様子だと俺は上手いことのせられたのか? 唖然とする俺に、ラスはトドメといわんばかりに「さくせん、せいこー!」と満面の笑顔で跳ねた。
もちろん俺は、力一杯ぶん殴った。意味はなかったけど。
「いやいや、てことは親が絶対いるじゃん!」
そう、この類の獣は近くに親がいるのが常識だ。そして大抵、親は気が立っていてまともに話し合えたものじゃない(通じるかは問題外だ)。
「ふぐる、ふぐるる……」
お腹を空かせているのか、ウリ坊は涎を垂らしながらとことこと近づいてきた。俺もそれに合わせてじりじりと距離を取る。
「にーとにき、こんなちっこいのがこわいの?」
「怖くないならお前がなんとかしてくれ」
「ちっちゃいこに、てはだしちゃいけませんってにんげんいってた」
「お前のその人間談どっからきてんの!」
「しゃかいにとけこむために、べんきょうした」
ふふん、とラスは自慢そうに鼻を鳴らしてみせたが、正直今それ必要か!? つか、人間って誰から習ったんだよ!
「ふぐる、ふぐるる」
「あー! 来たぁああ!」
ちっこい鼻先をむにゅむにゅとズボンに押しつけて、匂いを嗅ぐようにふんふんと息を荒くしている。まさか異世界で人生終了になるなんて。
母さん、ごめん。今日の夕飯、牡蠣にでも食わせてやってくれ……。
諦めた俺は悟りを開いた僧侶の如く、目を閉じて祈るように手を組み、空を仰いだ。せめて痛くありませんように。
「見つけたぞ、ウリ丸。母君が心配している。早くこちらに……、おや? 護くんではないか」
「え」
そうっと目を開けてみる。
「ぎゃっ!」
見えたのは、視界に収まりきらないほどにデカい猪。どう見ても母親だ。ウリ坊より立派な口とデカい鼻先を、俺を値踏みでもするように押しつけてきている。
そしてそんな母猪に跨っているのは、我らが学校の生徒会長である。教科書でしか見たことのない原始人みたいな格好に、これまた鉄器時代に使われていたような槍を持っている。
「会長! 何してんすか!?」
「ん? 見てわからんか?」
「わかるか!」
猪に跨る原始人の考えてることなんてわかりたくもないが、とりあえず命拾いはしたようなので「まぁ、助かったっす」とだけ小さく言っておく。
会長は「うむ」といつもと変わらない返事をして、軽々と猪の背から降り立った。様になっているのがさらに苛立つ。
「さ、ウリ丸。母君の背に乗るといい」
「ふぐるー」
ウリ坊は会長を拒否することなく、大人しくその手に抱かれると、すごすごと母猪の背に登っていく。きちんと乗ったのを確認してから、母猪は会長に「ぶぐる」とまるでお礼をするように頭を少し下げてから、林の奥へと消えていった。
「で、会長はここで何を」
「あ! いろいろおしえてくれた、にんげんのひとだ!」
「人間の人って何。ん? 教えてくれた……?」
ラスの爆弾発言ともとれるそれに、俺は顔を引きつらせながら会長を改めて見た。
「一週間前に会ったおチビではないか。どうだ? 元気で上手くやれてるか?」
「うん! いわれたとおりのことをしたら、このにーとにきをうまくつれたの!」
「はっはっはっ、それはいいことだ。人生、楽しんだ者勝ちだからな」
「わーい、わーい!」
なんだ? どういうことだ?
この様子だと俺は上手いことのせられたのか? 唖然とする俺に、ラスはトドメといわんばかりに「さくせん、せいこー!」と満面の笑顔で跳ねた。
もちろん俺は、力一杯ぶん殴った。意味はなかったけど。
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